末っ子には甘いヨコハマです(笑)
——今年の4月には〈ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 9th LIVE ≪ZERO OUT≫〉が開催されましたね。ライヴにはどんな気持ちで臨んでいるんですか?
神尾:CDの音源を再現するよりも、ライヴならではの音が出せるとおもしろいなと思ってやっています。今回のライヴは、かなりマイクに前のめりに歌っていた気がします。
——9th LIVEでは、久しぶりの声出しありでのライヴということもあり、すごい歓声でしたね。
神尾:そうですね。Day1とDay2で曲も変えていましたし、ずっとできなかった駒田くんとの2人曲“Private Time”も披露できました。この曲ができることがあまりにも嬉しすぎて、公園に行って枝を拾いに行って出ていったんですが、結局笑いが起きてしまって(笑)。落ちている頑丈な桜の木の枝を拝借しましたよ。しかもヨコハマの「Y」の字のやつです。それをもってライヴ会場に向かうときが1番恥ずかしかったですね(笑)。
——前作のアルバム収録曲も披露していましたが、ヨコハマ・ディビジョンの曲は大人の色気を感じさせる曲が多いですよね。
神尾:“Scarface”とかそうですよね。いろんなジャンルの曲がありますが、他のディビジョンが「一緒に盛り上がろうぜ」というなかで、ヨコハマは「当然盛り上がってくれるよなあ?」という感じなんですよ。実際盛り上がってくれるので、ライヴはすごく楽しいですね。
——他のディビジョンそれぞれでカラーが違って面白いですよね。
神尾:浅沼さんは演出家でもあるので、いろんな演出案を出してくださるんです。カメラに抜かれていないところでも、キックやパンチを合わせようかとか、そんなことも話しています。駒田くんが「ターンしたい」って言っていたりもしましたね。「ヨコハマらしくないんじゃない?」って話していたんですけど、結局やりました。末っ子には甘いヨコハマです(笑)。
——そういう打ち合わせはリハのタイミングで行うんですか?
神尾:リハのときに合わせることが多いです。役者さんの域を超えそうだったら、演出家さんに相談して確認しますね。ライヴを支えてくれるスタッフさんや制作さんのやりたいことがしっかりあるので、それに対して僕たちはちゃんと応えていきたいなと思っています。

——他のディビジョンでおもしろいなと思う部分はありますか?
神尾:ライヴでのイケブクロの存在は面白いですね。木村昴(山田 一郎役)、石谷春貴(山田二郎役)、天﨑滉平(山田 三郎役)という3人が集まると、やっぱりすごい波になるんですよ。一気に空気を作ってくれます。昔は「昴くんがライヴを盛り上げてくれたな」という印象が強かったですけど、いまでは「イケブクロが盛り上げてくれたな」に変わりましたね。その熱が伝播していって、それぞれのディビジョンが得意なものを出していっています。出演していないときも楽しいですね。
——いい現場ですね。
神尾:ヒプマイは、「こんなに役者さん自身が観るのは珍しいんじゃないか」というくらいみんなライヴを真剣に観ているんですよ。前室でもモニターでも会場下でも観ている人がいます。ヒプノシスマイクに向き合おうという熱量を、みんながしっかり持っている現場ですね。年齢層も下は20代、上は60代までいますけど、すごくピースフルです。

——8月23日には、ヒプノシスマイクとしては初のEP「The Block Party -HOMIEs-」 「The Block Party -HOODs-」が2枚同時リリースされます。今回のドラマトラックでは、ヒプノシスマイクが使えなくなってしまい、第3回ディビジョン・ラップバトルが中止になってしまう、というストーリーが展開されていますね。
神尾:ヒプノシスマイクが使えなくなって、暗い感じなのかなと思われる方もいらっしゃるかもしれないんです。でも、聴いている人も演者も一緒に楽しんでもらえると嬉しいですね。
——今回のEPは、ラップが入っていない楽曲も収録されていますし、それぞれの楽曲の作家陣もこれまでと違っておもしろいですよね。
神尾:そうですね。伊弉冉 一二三 with HOODsの楽曲“ポジティブ my life”の作詞がKis-My-Ft2の宮田俊哉さんという事実に、まず心が震えましたね。オオサカ・ディビジョンの白膠木 簓&躑躅森 盧笙のふたりの曲(“毎度!生きたろかい! ~OSAKA Big Up~”)が銀シャリさん作詞というのにも驚きました。
——今回の作品はマッチアップが非常に面白いです。
神尾:2枚組のEPで、作詞作曲編曲でこれだけジャンルが違う曲を作るのも「ケイオス」ですよね。1人で歌っていますけど、聴いている皆さんと組んでいる気持ちにもなれます。