INTERVIEW : 神尾晋一郎(毒島 メイソン 理鶯役)

インタビュー&文 : 西田健
撮影: つぼい ひろこ
キャラクターから離れた人間的な部分を生み出せるのがおもしろい
——ヒプノシスマイクは今年で6周年を迎えます。かなり息の長いプロジェクトになってきましたが、実感としてはいかがですか?
神尾晋一郎(以下、神尾):当初は、めちゃくちゃ長く続くか、速攻終わるかのどちらかだと思っていたんですよ。それくらい尖っていたコンテンツだと思っていました。でも勢いはそのまま今に至るので「まだ6年だったんだ」くらいな気がします。
——ラップも重要な要素になっているヒプノシスマイクですが、楽曲についてはどのように向き合っていったんですか?
神尾:最初のソロ曲“What's My Name?”がいちばん難産でしたね。UZIさんが作ってくださったデモの時点で、仮歌がすごくカッコよかったんですよ。低音ほど低くもない感じがどうしても出したくて、色々なヴァージョンで録った記憶があります。
——試行錯誤だったんですね。
神尾:セリフのときの音、全体で歌うときの音で分けていたのに、さらにソロで歌うときの音が現れたので大変でした。でも理鶯としての声が入っていくように、だんだん自分のなかでミックスされていきましたね。人っていろんな声を出せるから、理鶯というキャラクターもいろんな声が出せると思っているんですよ。僕は、仮歌を忠実に再現したい人間なので、理鶯を入れつついろんな歌い方をしちゃっていますね。ひとつのキャラクターから離れた人間的な部分を生み出せるのが演じてみておもしろいです。
——理鶯の曲は低音でのラップが特徴的ですよね。
神尾:そうですね。低音についてはかなり意識しているんですけど、ヒプマイには大先輩の速水奨(神宮寺 寂雷役)さんや黒田崇矢(天谷奴 零役)さんという低音ボイスのすごい方がいらっしゃいますし。さらには、低音だけじゃなくてガナリも出せる竹内栄治(天国 獄役)さんも入ってきたので、脅かされてばっかりです(笑)。

——他のメンバーと歌うときとソロで歌うときは意識する部分も変わりますか?
神尾:変わりますね。理鶯を演じる上で気をつけているのは、ヨコハマ・ディビジョンのメンバーと一緒にいるときのシナジーの現れ方と、敵と認めたときの感情の昂り方を明確に分けているところです。ストーリーが進むにつれて、中には仲良くなっている人もいますが本人がヨコハマとそれ以外を区別している分、バトル曲のようなものには「殺意」の部分が自然と出ていると思います (笑)。
——ヨコハマ・ディビジョンのメンバーでもある浅沼晋太郎(碧棺 左馬刻役)さん、駒田航(入間 銃兎役)さんはどんな印象ですか?
神尾:浅沼さんは左馬刻と同じく根は優しいところが似ています。でも、それ以外は真逆なんです。本当に穏やかな方ですね。ただ意外なところで方向音痴です(笑)。でもその欠点すらも可愛らしいと思える素敵な先輩ですね。駒田くんは太陽みたいな人です。彼がいると、その場が明るくなるんですよ。一家に一台欲しくなる男と言っても過言ではありません。食費はかかりますが。
——理鶯を演じる上で、ご自身と似ていると思う部分はあるんですか?
神尾:どちらかというと理鶯は常識あるバランサーだと思うんですよ。僕もヨコハマ・ディビジョンの声優陣の中ではバランサーなのでポジションとしては似ているのかなと。あとは理鶯といえば昆虫食なんですが、僕は平気な方なので、そこも似ているかな。この前、ヨコハマ・ディビジョンの3人で中華食べに行ったんですが、そのときタランチュラを食べたんですよ。駒田くんは「わー! いらないです」と言って、浅沼さんはちょっとちぎって食べたり。僕は「なんかカニみたいですね!」って言ったりして(笑)。
——一緒に中華食べにいったりするんですね。
神尾:ヨコハマ=中華街ということで、よく行くんです。今年もこの前のライブのお疲れ様会的に、DJのU-ICHIさんも一緒に4人で打ち上げしにいきましたね。6年一緒にバトルもやって、3人で歌うときがデフォルトですし、ソロでも他の2人が合いの手を入れるような関係なので、どの声優さんよりも濃い関係になりますね。
