Pianeti Sintetici 『Esplora II』
LABEL : Hypnus
ディープでミニマルなテクノをもう1枚。スウェーデンは〈Hypnus〉からディープ・テクノ・ユニット、Primal Codeとしても知られるPianeti Sinteticiの、「人工惑星」と冠する3部作プロジェクトの第2弾をお届け。「Esplora I」と比べると音数が少なく、より奥行きのある世界観が感じられる。A2の“Orbita”はタイトルからも想起されるような、宇宙に彷徨いこんでしまったかのようなディープテクノ。それでも自分はハーフステップ気味な“Georitmo”のスロウなグルーヴにノックアウトされてしまった。DJツールとして考えるならば、ダークなダンスホールとミックスしてみてもいい感じにハマって面白そうなんて思ったりもします。シリーズ最後となる第3弾もリリースが待ち遠しい。
Piezo 『Cyclic Wavez EP』
LABEL : Nerovous Horizon
2023年は積極的にリリースを重ねているWallwork&TSVI主宰〈Nervous Horizon〉、イタリア人プロデューサー、Piezoが新作を投下。〈Nerovous Horizon〉らしいスタイリッシュなバランス感覚と、Piezoの奇想天外なアプローチが交わった傑作だ。様々なタイプのダンス・ミュージックを吸収しトラックに落とし込むことに長けている彼だが、今作はベース・ミュージック経由のダンスホールが目立つ印象。浮遊感のあるシンセとパーカッションが飛び交うA1“Cyclic Wavez”、音の足し引きでコロコロ移り変わっていく“Skinner”やハーフステップからジューク・テイストの180BPMバンガーに変貌する5曲目の“Zap-ism”など、独自のサウンドデザインで変幻自在に展開するトラックが満載。来日公演は惜しくも観られず。
Uninamise 『Fear Flex』
LABEL : No label
Flex Dance Music(FDM)というジャンルをご存知だろうか。ブルックリン由来のダンスホールで、「フレキシン」というストリートのダンスの伴奏として、1990年代後半からローカルに発展していったらしい。今回ご紹介するのはFDMのパイオニア的存在Uninamiseの新作。UninamiseはBoiler Roomにも出演しており、フロアでフレキシンが繰り広げられている映像が見られる。さて、本作は全体を通して黒く煙たいムード。近年のFDMは特にブルックリンドリルやトラップとの近接も感じられ、“Scary Hours”なんかはまさにそう。銃撃音が散りばめられており、よりアグレッシヴに。JPドリル・シーンの隆盛やダンスホール/レゲトンシーンとの交錯を鑑みれば、日本でもFDMが受け入れられる土壌はできつつあるのでは。