2024/01/19 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.256

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


スクリューに気づいた!

夜の読書のお供にと、最近買ったAIWABEATZのミックスCDを再生。AIWABEATZはトラックメイカーでもありながら、DJとしても方々で活躍していまして、彼のプレイは「スクリュー」が特徴的。そのミックスCDも、現場でのプレイをそのまま収録したもので、現場ならではのライヴ感はありながらも、彼のスクリューへの造詣の深さがバシッと伝わるというか、すっかりスクリューのヤバさに気づいてしまいました。

スクリューこと「チョップド&スクリュード」は、DJ Screwが90年代に考案したとされており、ターンテーブルにおいて片方のピッチを落としながら半拍ずらしてもう片方を差し込む手法は、1つのDJ技法から飛び出し楽曲制作にも取り込まれていきます。ピッチどうこうのほうが強調されて、楽曲のピッチを極端に遅くさせることで陶酔感を引き出す、要するに、ある種最も手っ取り早いリミックスなのかなと。ヴァイナルなら回転数を落とす、今のデータならもっとお手軽にできますね。

ヒップホップやダンスミュージックでは、サンプリングとしてネタを引っ張るときに使われたり、DJプレイとして、楽曲自体に別の表情をつけたいときなどに使われたりと、あらゆる場面で活躍しているわけですが、AIWABEATZはこの技法をさらに自己流に落とし込んで、和モノをもスクリューしてしまうヤバさがありまして。例えば先のミックスCDでは、赤い鳥という日本のフォークバンドの楽曲をもスクリューで料理していました (1曲目に挙げたので聴いてみてください)。フォークもスクリューできるんだったら、なんでもスクリューさせればいいんじゃないか (もちろんなんでもではないが) と、スクリューの無限の可能性を予感した瞬間でした。

ということで自分もAIWABEATZに倣って、ジャンルや年代に関係なく、「スクリューしたら化けそう」といった曲をチョイスしてみました。ピッチを遅くするだけで、新しい曲が立ち上がってくるって素晴らしい。遊び感覚でできてしまうのがいいことでもあり、だからこそ奥が深いです。

この記事の筆者
Kusaka. Ryu

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