NPLGNN 『Fujakka / Skankin'』
LABEL : Hundebiss Records
ナポリ / バルセロナ拠点のNPLGNN がまたしても攻撃力抜群のシングルを発表。割れたハードドラム調のキック&パーカッションと、ブレイクコアの匂い漂うドラムンとの間を行ったり来たり、重なっては離れたりと展開する。A2はうねるような野太いベースが全体を覆っており思わずニンマリ。昨年これまたマンチェスターのレフトフィールド・レーベル〈YOUTH〉から出した「Hazy Pit / Inna Danza」と地続きになっているような仕上がりとなっている。ミュータント・ダンスホールとハードコア・ブレイクビーツの交点に位置するような、まるで突然変異で誕生してきた化物のようなシングル。「最近聴いた2003年のShiro The GoodmanのミックスCD(『踊り狂って飯が腐るのだ』, 2003)の中に入ってそう」と勝手に重ねてしまうのは自分だけだろうか。
Hajj 『No Soul, No God, No Devil, No Existence』
LABEL : YOUTH
先のNPLGNNでも触れたマンチェスター発〈YOUTH〉は手のつけられない凶作揃い。Florent HadjinazarianことHajjの最新作も御多分に漏れずな仕上がりに。ダブやサンプリング、コラージュの手法によって毎曲3分33秒のトラックは構成されており、ドス黒いインダストリアル・サウンドがそれらをもろとも吸収している。『The Angels' Melancholia』というホラー映画に影響を受けたらしいが、A3“Heaven’s Calamity”では息づかいや不穏な声が散りばめられ緊迫感のある音像になっていたりと随所にその影響を感じるものの、恐怖よりもむしろ畏怖に近い感情を想起させる印象。ドリルに接近していたり、近年のトランスやトリップホップの隆盛/再評価とも共鳴しそうなのも非常に興味深いところ。
V.A. 『DOROHEDORO Original soundtrack』
LABEL : Sad Disco
2016 年の発売から長らくプレミア化していた、漫画『ドロヘドロ』のサウンドトラックが門脇綱生主宰の〈Sad Disco〉から待望の再発。Vex'd(2005年の『Degenerate』は私的ベスト・ダブステ名盤)の片割れRoly Porterによるディストピア・トラック“Don’t Think, Just Kill”、ダーク・アンビエント~ゴルジェ~アシッド・サウンドへと移ろうDead Faderの“Kaimans Head”など、ノイズ、アンビエント、ダブ、ゴルジェといったさまざまなアプローチからの12曲が『ドロヘドロ』の世界観を見事に構築している。そんな中、一推しはShackleton の“Transformations”。ダブ処理のかかったヒプノスティックなアンビエント~スローテクノな12分には痺れます。CD/LP特装版もあるので、好きな形態でひとつは手元に置いておきたいものですね。