13、4年ぶりのワンマンライヴへの気合は十分
──“メイン・テーマ“は、フルサワさんが原案/監督/撮影/編集を手がけたMVも作られていますね。
フルサワ:最初は普通に演奏シーンのMVにしようかと思っていたんですけど、せっかくならとことん自分でやってみようかなって思いまして。映画も好きですし、カメラもやっていたので一眼レフのカメラで全部撮れるなっていうことで、メンバーに承諾を得て、全部ひとりでやりました。これも「時間の経過」が一貫したテーマなので、メインは車や自転車、電車が動く様を撮りたいと思って作ったんです。早朝5時台の映像からはじまって、だんだん日が暮れてくるんですけど、最後は夜になって、最初にスタートした場所にまた戻ってくるっていう映像になっています。例えば右から左へ車が動くのも、手前から奥に行くのも、朝から風景が変わって行くのも全部「時間の経過」っていうことなんです。
──後半でバンドのライヴシーンも入ってきますよね。
フルサワ:メンバーの映像を出そうというのは最初から決めていたので。ただあのシーン、僕の構想では本当はmudyのいままでのライヴ写真が連続でバババババって変わっていくようにしたかったんですけど、メンバーにラフ案を見せたところ「結婚式の余興みたいだね」って言われまして……(笑)。「いや、それがポイントなんだけどな」と思ったんですけど、ライヴ演奏シーンの方が良いんじゃないかっていう話が出て、映像をはめてみたら意外とこれはこれでわかりやすいと思って、結局ライヴシーンにしたんです。
──観る人によっていろんなことが想像できるMVですけど、 僕はメンバーひとりひとりの視点があって、最後にライヴハウスに集まったのかなって思いました。
フルサワ:ああ、なるほど。実はそういう話がこの案より前にあったんです。5人それぞれが車を運転して、ひとりひとりの視点で1か所に集まって、最後大爆発して終わるっていうMVを作りたかったんですよ。まあ実現不可能だったので、ああいうMVになって。ただ「視点」というのはすごく意識にありましたね。
──実際にMVを手掛けてみていかがでしたか?
フルサワ:すごく楽しかったですね。撮ってるときはすごく面倒くさかったんですけど、素材をあちこちこうやって、編集しているのがすごく楽しかったです。なのでまたやってみたいです。
──その感覚は、DTMで曲を作るときと共通していました?
フルサワ:単純に絵と音をはめるのか、そうじゃないのかとか、映像に関しては素人ですけど、映像にもやっぱりリズムがあるとは思いましたね。
──お話を聞いていて、映像や映画好きっていうところがインストバンドをやってることにも繋がってるのかなって思いました。インストの作品って架空のサントラみたいな考え方もあると思うので。
フルサワ:確かに。いま思えばメンバーに曲のことを伝えるときは「ここのセクションはこういう感じ」って映像で伝えてました。それは昔からなんで自然とそういうところはあったかもしれないですね。
──アルバム最後の曲“エンドマークはうたない“は フルサワさんがひとりで作っているんですか。
フルサワ:この曲は自分の部屋でアコギをマイクで録音して、ドラムを打ち込んだんですけど、アコギとドラムだけはちゃんと録った方がいいなって途中で思いだして、実際はドラマー(伊藤 浩平)に叩いてもらいました。ピアノは全部打ち込みですけど、土台が全部打ち込みだとちょっと嘘っぽいかなと思ったんで、ドラムとアコギは生にしたんです。

──リリースされてから時間も経って現在はツアーもはじまっていますが、アルバムの反響はいかがでしょう。
フルサワ:僕はライヴが終わったら物販に立つので、そこでお客さんと喋るんですけど、そこで聞いたりSNSを見たりすると“SUPER!!!!“が人気なんです。この曲はライヴでみんなが楽しく踊ってる姿を見たいと思って作ったので、そこはしてやったりというか、思った通りだなって(笑)。ただ、作ってる側としては“SUPER!!!!“はわりといままでのセオリー通りに作ったので「やっぱり慣れてるものの方がいいのかな」とも思って。
──5人で集まって演奏する楽しさっていうのはずっと変わらない?
フルサワ:なんだかんだいってそうですね。もう17年ぐらい一緒にやってるんで、“ため感“とかは僕ら5人にしかないグルーヴがあるので、そこはやっぱり気持ちいいなと思います。
──今回アルバムを作って色々考えたと思いますけど、いまのフルサワさんにとってmudy on the 昨晩はどんなバンドですか?
フルサワ:やっぱり「どこにも属せないインストバンド」だなっていうのは、改めて感じましたね。昔もいまもそうですけど、例えば今回のツアーに出てもらうのは、全部歌のあるバンドで。いままでもインストバンドとの共演は意図的にあまりやっていないんです。ただ、やっぱりインストはインストなので、今後もそこの折り合いをどうやってつけていくのか。そこは自分でも不思議ですね。
──対バンを決める上でのコンセプトはありましたか。
フルサワ:同じ話になっちゃいますけど、これも「時間の経過」というテーマに引っかけてます。cinema staffは僕らが名古屋で初めてライヴしたときぐらいから一緒にやってたバンドで、インディーズ時代は同じレーベルだったんです。THE NOVEMBERSは僕らが全国に行き出した頃によく対バンしてツアーに呼んだり呼ばれたりしていたバンドで、この2組は昔からの繋がりということで呼びたいと思いました。大阪はなにか違うものにしたいということで、僕らがアルバムを出していなかった11年の間のライヴで出会ったバンドのなかから、かっこいいバンド、僕が好きなバンドを呼びました。それがKOTORIです。

──それこそ10年ぐらい前に別のメディアでcinema staffの取材をしたときに、「他のバンドからヒントを得たり刺激を受けたりすることはありますか?」という質問に三島想平さんが、「先輩のmudy on the 昨晩です」って答えていて。正直、僕はそこで初めてmudy on the 昨晩を知ったんですよ。
フルサワ:へえ~! そんなことを。
──今回も節目のライヴで対バンされたわけですが、長年の盟友みたいな関係でしょうか。
フルサワ:最初は後輩でセンスのいい奴らっていう感じだったんですけど、僕らが休んでるこの11年間で、彼らがひたすらコツコツ頑張ってきた結果が、〈OOPARTS〉っていう岐阜でやってる大きなイベントとかに結実してるさまを見ると、すごく遠いところに行ったような感じがします。でもcinemaが頑張ってくれてたおかげで僕らもいま頑張れてるし、逆に引っ張ってもらっているという感覚もあって。実は僕ら、この10年のなかで1年間スタジオにも一切入らない、もう連絡も取らないっていうなににもしなかった活動休止のような時期が2回ぐらいあったんです。そこも結局cinemaが「そろそろやりましょうよ!」って声をかけて企画してくれて、ライヴに引っ張り出してくれて。だから、本当にcinemaがいなかったら解散してたかもしれないんですよね。最初は後輩だったんですけど……なんだろうな、ちょっとひと言では言い表せない、mudyにとっては大事なバンドですね。
──それを聞くとツーマンが尚更エモく感じます。
フルサワ:そうですね。まさに10年前のレコ発ツアーもcinemaと名古屋のクアトロでツーマンをやってるんですよ。それもあって今回も呼びました。
──ツアーファイナルの5月20日(土)渋谷La.mamaではワンマンライヴが控えています。ワンマンはいつ以来ですか?
フルサワ:前作のアルバムのレコ発のときは、ワンマンをやってないので、さらにその前以来で13、4年ぶりのワンマンライヴです。チケットは無事に売り切れました。「もうちょっと広いところでやれば」とは言われるんですけど、この11年間でLa.mamaだけが唯一ずっと誘い続けてくれて、東京のライヴは全部La.mamaだったんですよ。今回のアルバムのひと区切りとして、最後にここでワンマンをやってチケットを売り切って、次のステップに行こうという思いがあって。なので結構気合は入ってるつもりです。すごく久しぶりのワンマンなんで最後まで演奏できるかちょっと不安ですけど……(笑)。
──これを機に音源をもっと積極的に世に出していこうとか、今後の展開はどんなことを考えてますか。
フルサワ:ちょっと気の早い話なんですけど、mudyは2026年で結成20周年を迎えるんです。僕らは10年目も15年目もなにもやってこなかったので、20年目こそなにかやりたいねっていうことで、そこまでにはアルバムを絶対また作ろうという話は軽くしてはいます。今後またみんなで集まって、ちゃんと話はしたいなと思ってるんですけどね。11年ぶりの次が3年ぶりのリリースになるなら、まあ上出来かな(笑)。
──3年後って、たぶんあっという間ですよね。
フルサワ:そうなんですよ。あっという間に20周年になっちゃいそうなので、いまから作らないといけませんね。

編集:梶野有希
「時間の経過」をコンセプトにした、10年ぶりの新作!
mudy on the昨晩の過去作はこちらから
ライヴ情報
サード・フル・アルバム『An Instrumental』リリース・ツアー2023〈 "A TOUR"〉

TOUR FINAL ONE MAN LIVE!!
日付:2023年5月20日(土)
開場 / 開演:18:30 / 19:00
場所:渋谷La.mama
PROFILE : mudy on the昨晩
名古屋を拠点に活動するトリプルギターインストバンド。2023年3月8日、実に10年ぶりの新作アルバム『An Instrumental』を発売。東名阪ツアーを開催し、5月20日(土)にはワンマンライブも開催する。
■公式Twitter:https://twitter.com/mudy_official
■公式HP:https://sakuban.themedia.jp/