2024/11/08 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.298 人間だった

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


人間だった

先月、森アーツセンターギャラリーにて開催中の〈さくらももこ展〉へ行ってきました。『ちびまる子ちゃん』や『コジコジ』など代表作の生原稿や、エッセイの直筆原稿などものすごいボリュームで大大大満足の展覧会でした。実際に生の原稿をみて驚いたのは、ももこ先生の絵の表現力の高さ。印刷されたものしか見たことがなかったため、線の強弱やトーンの使い方で細かなニュアンスが描き込まれた漫画の実物の原稿はまったく違った印象を受け、とても見応えがありました。

好きな画家などの原画をみにいくのが好きなのですが、それは作品を通して作者をいちばん身近に感じることができるからかもしれません。作者が手を動かした痕跡を見つけると、それが実際に描かれた風景が頭に浮かび、画家という肩書きを越えて自分と同じ生身の人間なんだと感じることができます。大好きなオーストリアの画家エゴン・シーレの原画をみたときも、100年も前に描かれたものがいま自分の目の前にあって、シーレが筆を持ってこれを描いたんだ……! と、そわそわしつつも本当に感動しました。時を超え、原画を通して作者と繋がれる (ような気持ちになれる) のは、何度体験しても不思議でときめく瞬間です。

音楽に置き換えるとどうだろうと考えたのですが、これというのに辿りつけませんでした。でも、ピアノでクラシックの曲を弾いているときにそれと近い感覚になることはあります。譜面を追って自分の指で押した鍵盤からびっくりするほど美しい旋律が鳴ると、おいおいこんなの作るあなたおかしいよね?! と作曲者の並外れた才能をリアルに感じ、単に鑑賞するのとは違った変なテンションになります。これがバンドでコピーとなると、また違うのかなと思うのですが、バンドを組んだことがないのでなんとも言えません。早くハードコア・バンドやりたい。

この記事の筆者
石川 幸穂

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