2025/01/03 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.306 2024年リリースもライヴも良かったアーティスト

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


2024年リリースもライヴも良かったアーティスト

あけましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。ありがとうございました。

年明け担当となりました。2024年、音源も良かったけどライヴに行ったらそれ以上に良かったアーティストたち、でいきましょう。

・・・

2024年はsidenerdsに尽きます。本当は1st シングルの3曲・1st EPの5曲すべてをプレイリストに入れたいくらいですが、そういうわけにもいかず。でも敬意を評して特別に2曲を。もう、音源もライヴもあんなにカッコいいとはなにごとかっていう。例えばプレイリスト1曲目の “入水”、音源を先に聴いたひとは、ライヴでは、あのボーカルは、あのサビのVo.とバッキングのグルーヴは、あのサビ後のツイン・リードギターは、あのアウトロの轟爆音は、どうなるんだろう? って思うじゃないですか。ライブでは…… そのままどころじゃない、マシマシです。気持ち良さに直結する4つの楽器と2つの声のアンサンブル、素晴らしいが過ぎます。“入水” は文句なく今年のマイ・ベスト。

2024年といえばHammer Head Sharkも欠かせません。ライヴが良いのは以前からですが、今年はさらに一段高みに。ながいひゆの切迫感と血の通う温かさが綯い交ぜとなった心を鷲掴みにされるヴォーカル、ときに歌い・ときに叫び・ときに囁く藤本栄太のリードギター、メロディアスで (ながいが評するように) 筆で描いたような心地よい足跡をかたちづくる後藤旭のベース、バンドのダイナミズムとグルーヴを体現する福間晴彦のドラム、すべてが格別です。そしてもうひとつ心に残るのが、2024年は明確にそこに、優しさや温かさや愛が表現されるようになったことです。昨年はインタヴューとライヴ・レポートをやりました。今年も活動が楽しみです。

Hammer Head Shark──音像と皮膚の境目がなくなるとき、そこは僕と君の居場所

【ライヴレポート】「ただいま」「おかえり」「会いたかったよ」─Hammer Head Sharkワンマン公演

2024年、待望の1stアルバムをリリースした、しろつめ備忘録。彼女たちのライヴも観るたびどんどん良くなりました。Gt./Vo.のおはらはなの歌とギターの際立ちたるや。おはらはなは以前のソロ活動のときから観ていたのですが、こんな格好良いバンド活動をしてくれるとは嬉しい驚きでした。okgのギターが抜群に良い、ていうか個人的に好き過ぎる。スネアの音が気持ち良いドラムも、歌とギターが沸騰する時は安心をもたらし歌とギターが平穏な時は内なる沸々たる熱を表現するベースも素晴らしい。今年はもっと良いライヴを観せてくれることでしょう。

11月に3rdアルバムをリリースしたSACOYANS。東京でのライヴは貴重なのですが、それでも段々と変化していくのが感じとれました。これはどういうことなのかと思っていたら、3rdアルバムが、まるで答え合わせのように。めちゃくちゃうるさくて、ぜんぜんうるさくない。すごく歪んでいるのに、すごくクリア。キラキラの絶妙な半歩手前に留まりながら重層的な綺羅びやさが際立つギター・ワーク。そして圧巻のコーラス・ワーク。2月の東京でのリリパが楽しみです。その前に、ちょうどこの記事公開の翌週の金曜日、Zepp FukuokaでGinger RootのO.A.です。やっちまってください!

ponderosa may bloom、とにかく曲が良い、歌唱パフォーマンスも良い、そしてライヴが良いです。大仰な言いかたをすると、ロック/ポップ/アイドル歌謡、三者の対立と闘争を調和と神性へと導く新たな提案。一見アイドルの体をしていて、もちろんちゃんとアイドルなんですけど、同時に正体不明のナニモノかが生まれつつあります。ライヴでの “遊色効果” 大サビ・落ちサビの御妃桜夕→桜庭莉々華のリレーは2024年の東京で聴くべきもの十指に入るのでは、とさえ思います。昨年はデビュー・ライヴのレポートを書きました。

【ライヴレポート】ponderosa may bloom、あざやかなデビュー・ライヴ──「僕らを繋ぐ歌があるから」

11月のワンマン・ライヴのフル動画が公式で上がっていますので、興味があればぜひ。

Beachside talks、昨年リリースされたシングル4曲、どれもがクオリティが高く、それぞれに異なる色合いを持ち、とても印象的でした。そしてライヴも音源以上の良さがありました。ライヴでの引き算(?)の音作りが巧みで、とても心地よい。今年はたくさんライヴがみたいです。

Hoach5000はそもそも2月リリースの2nd EPが最高。どの曲も頭数秒、音が出た瞬間に胸がキュッとする。そのうえで前を見て力強く歩いている感が沁みます。ライヴもまさにその通りなのですが、どうやら私が観ていない9月のライヴがとても良かったらしい。うう…… 今年は欠かさず観たいです。

HOMEも音源以上にライヴが魅力的なグループ。広い音楽地図の上に適当な◯を書いて「ここら辺」とか言うのは、ありがちで陳腐な行為ですが、HOMEは3人がてんでバラバラの3点に杭を打ち、そこから脚を長く伸ばした3脚の上に彼らの音楽があります。「4隅を抑える」とかではないので、不安定で歪で総花ではなく選択的で、でも断然と意志がある。カッコいいライヴを観せてくれました。

そして最後に、2024年といえば欠かせないのがAnorak!のアルバムでした。チャレンジの志とその到達点の高さ。7月のワンマン・ライヴでは二部構成形式で1stと2ndの曲を分けてやっていましたが、アジア・ツアー、北米ツアーを経た後の12月のライヴでは、旧新の曲を混ぜた流れの組み立てが相当こなれていて、未知の領域を成立させつつありました。あれはすごい。昨年はインタヴューを行いました。

常に4人で面白いと思えるところへ──ANORAK!、試行錯誤で挑んだ“ダンス・ミュージック”

REIMEI SESSIONのライヴ動画がありますので、ぜひご覧ください。

昨年一年間、もちろんここに載っていない方々も含めて、たくさんの素敵なライヴを観せていただいて、本当にありがとうございました。

・・・

今年もOTOTOYをよろしくお願いいたします。

この記事の筆者
高田 敏弘 (takadat)

Director。東京都出身。技術担当。編集部では “音楽好き目線・ファン目線を忘れない” 担当。

OTOTOY各スタッフ+αがそれぞれ選ぶ、2024年の10作品

OTOTOY各スタッフ+αがそれぞれ選ぶ、2024年の10作品

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.307 ロックだとかポップだとか

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.307 ロックだとかポップだとか

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.306 2024年リリースもライヴも良かったアーティスト

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.306 2024年リリースもライヴも良かったアーティスト

Hammer Head Shark──音像と皮膚の境目がなくなるとき、そこは僕と君の居場所

Hammer Head Shark──音像と皮膚の境目がなくなるとき、そこは僕と君の居場所

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.290 Please, Please, Please

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.290 Please, Please, Please

常に4人で面白いと思えるところへ──ANORAK!、試行錯誤で挑んだ“ダンス・ミュージック”

常に4人で面白いと思えるところへ──ANORAK!、試行錯誤で挑んだ“ダンス・ミュージック”

疑いながら答えを積み重ねていくdownt──自身を貫いた先で待つ名盤に向かって

疑いながら答えを積み重ねていくdownt──自身を貫いた先で待つ名盤に向かって

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.266 ロスレスをdigる

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.266 ロスレスをdigる

「ついに日本でやるんだ」──アジアの観客とアーティストたちが〈BiKN Shibuya〉で灯した光

「ついに日本でやるんだ」──アジアの観客とアーティストたちが〈BiKN Shibuya〉で灯した光

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.231 夏です

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.231 夏です

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.219 アズテック・カメラから、ウェブ経由、The 1975まで

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.219 アズテック・カメラから、ウェブ経由、The 1975まで

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.201 2022年をふりかえる

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.201 2022年をふりかえる

やりたいことが増えて満足してないです──バンドになったcolormalが目指す色彩と普遍

やりたいことが増えて満足してないです──バンドになったcolormalが目指す色彩と普遍

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.161 私立恵比寿中学と時と私

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.161 私立恵比寿中学と時と私

名盤を50年かけてでも作りたい──NaNoMoRaLが放つ、渾身の自信作『ne temo same temo』

名盤を50年かけてでも作りたい──NaNoMoRaLが放つ、渾身の自信作『ne temo same temo』

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.149 今年刺さった楽曲・アーティスト

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.149 今年刺さった楽曲・アーティスト

三方幸せな必然的邂逅──バンドとして深化したSACOYANSの2年間

三方幸せな必然的邂逅──バンドとして深化したSACOYANSの2年間

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.126 優しく力強い、確信

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.126 優しく力強い、確信

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.97 making our future

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.97 making our future

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.74 延期(中止)になったもの

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.74 延期(中止)になったもの

長期戦になるけど、またみんなに会うために──いまこそ下北沢にエールを!

長期戦になるけど、またみんなに会うために──いまこそ下北沢にエールを!

宅録とバンド、両岸を軽やかに渡り歩く喜びを分かち合う、colormal

宅録とバンド、両岸を軽やかに渡り歩く喜びを分かち合う、colormal

小樽発、plums──せめぎ合う3つの凛とした“メロディ”

小樽発、plums──せめぎ合う3つの凛とした“メロディ”

熊本発。3人のソングライターが織りなす透明感と強さ──Shiki

熊本発。3人のソングライターが織りなす透明感と強さ──Shiki

絡み合うふたりのヴォーカル。発見と驚き──メレ

絡み合うふたりのヴォーカル。発見と驚き──メレ

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.45 20年代の希望、ここにあります

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.45 20年代の希望、ここにあります

パンキッシュなアティチュードと甘美なメロディ、そして貫かれる美学──Waater

パンキッシュなアティチュードと甘美なメロディ、そして貫かれる美学──Waater

【REVIEW】The 1975 「People」、世界を驚かせた激情と抵抗

【REVIEW】The 1975 「People」、世界を驚かせた激情と抵抗

その天性のヴォーカルはあなたの心に痕跡を残すだろう──afloat storage

その天性のヴォーカルはあなたの心に痕跡を残すだろう──afloat storage

TOP