やっぱり人間が考えてるフレーズがいい
──それで現在のナナイロの形が完成したわけですね。ナナイロとしてはじめて作ったのはどの曲ですか?
まきお : 最初に作ったのは、ファースト・アルバムに入っている“螺旋”です。
ゆい : ちょうど2年前くらいですね。
──歌詞はゆいさんが?
ゆい : 歌詞が付けられた状態で、まきおさんから送られてくることもあるんですけど、基本は私が書きます。
──元々作詞はしていたんですか?
ゆい : そうですね。小学生の頃から作詞ノートを作っていたくらいなんですが、意気込んでいたというよりもその延長で好きで書いていました。メモ帳に浮かんできた言葉を書き留めたりはしています。
──昨年リリースされたフルアルバム『SCREEN』を聴かせていただいたんですが、例えば、ヨルシカさん、緑黄色社会さん、aikoさんのようなすごくポップな印象を受けたんです。
まきお : 自分は結構、メロディがシンプルなものが良い曲だなと思うんですよ。あとは作りながらライブを意識してるんです。だからみんなで歌えるパートを作ったりもしましたし。そういうところからポップさも生まれていったのかなと思います。
──まきおさん、ゆいさん、鉄さんの3人はラルクが好きとのことだったんですが、ラルクっぽい音楽をやっているというわけではないですよね。
まきお : 多分僕らがラルクさんを好きすぎて、イメージがそれぞれの中で違うんですよ。なので、まるまるラルクさんみたいなバンドをやりたいとは全く思ってなくて、自分のやりたい音楽の中にラルクさんの要素を入れる感じです。ラルク好きの方が聴いてくれたら、「ここ絶対意識してるじゃん」みたいな楽しみ方もできると思います。
ゆい : 私の場合は、hydeさんの作詞に影響を受けているので、そういう部分が実は滲み出るのかなと思いますね。


──楽曲はどのように制作しているんですか?
まきお : 家でなんとなくギターを弾いて、良いフレーズとかが浮かんだら一旦打ち込んで、そこからイメージを膨らませていく感じです。それである程度固まったら、メンバーにオンラインで共有していきます。というのも、鉄ちゃんが徳島に現在も住んでいまして。普段みんな仕事をしているので、ライヴ活動を頻繁にやるよりは、音源を作って投稿する方に重きを置いています。元々はもっとラフにやるつもりだったのもあって、データでやりとりしていますね。オンラインでやっているので、なおさら「どういうイメージで作ったのか」というのを共有しないといけないと思っています。
──当初はナナイロとしてはライヴをするということはあまり考えていなかったんですか?
まきお : 考えてなかったです。ライヴに出たきっかけも〈大塚Hearts +〉でアニバーサリー・イベントに出て欲しいというオファーがあったので、せっかくの機会なので出たのが最初でした。鉄ちゃんとあきままはステージで弾くこと自体が初めてだったんです。
ゆい : 鉄ちゃんが徳島に住んでいたのでベースはサポートを呼ぼうかなとも考えたんですけど、事情を説明したら、「出ます!」って言ってくれたんですよ。すごく感動しました。
まきお : 本番だけだったらまだしも、練習もしないといけないので、来ないだろうなと思っていたんです。でも来てくれて嬉しかったですね。そのタイミングで初めて対面で話しました。
──そうだったんですね。スタジオで合わせたときの感想は?
まきお : 楽しかったです!ゆいさんも本格的にバンドをするのははじめてだったし、鉄ちゃんも他の人と合わせること自体が初めて?
鉄 : そうです。ライヴの練習で初めて他の人とスタジオに入ったんです。楽しかったですね。
まきお : 純粋に楽しくて楽しくて。メンバーが楽しそうにしている姿を見てるとこっちまで楽しくなるしナナイロでの練習はすごくフレッシュにできました。
──そもそもの話なんですけど、いまの時代は、ボーカロイドやDTMで曲を作って、ひとりで曲を発信したりすることでも表現ができるじゃないですか。そんな時代になぜあえてバンドをやりたいと思ったんですか?
まきお : ボーカロイドのソフトも買っていたんですけど、曲が完成しても自信が持てなかったんですよね。でもゆいさんの声を入れたときにビシッと完成した感動があったんです。やっぱり人間が考えてるフレーズがいいなと思ったので、バンドである必要があるのかなと思います。スタジオに入って一緒に音を鳴らすというのもバンドでしか味わえない良さですね。

