harhaの思い描く”未来”とは──何回でも、子供の頃の昂りを

2024/10/13 19:00

今の世界は、全然健康じゃない

──次の“恋はずみ”は歌詞がかわいいですよね。

ハルハ：この曲は“草縁”と同時期くらいに作った曲ですね。harhaが始まった時はショート動画を上げていたんですが、その時の楽曲です。

──harhaの楽曲は、タイトルに珍しい言葉を持ってくることが多いですよね。

ハルハ：そこがフックになると思って、意識しています。2つの言葉を繋いだ時にそれぞれ別の意味の言葉がセットになって、より豊かな表現になるのがすごく好きなんですよ。僕は谷川俊太郎さんが好きで、高校生の頃はずっと詩集を持ち歩いていたんです。詩集はどこのページを開いても読めるんで、時間があったら本を開いて、「この言葉、いいな」みたいに思ってました。歌詞のルーツもそこにある気がします。

ヨナべ：“恋はずみ”は、恋をした時の感情を込めて歌わないといけない気がして、ボイトレの時に先生と歌詞の朗読会をしました。この曲は恋してる気持ちで歌うべきだと思ったので、なんらかを好きという気持ちを持ってレコーディングには望みました。

harha - 恋はずみ(Music Video)

──“すてきなぼくら”はどんなイメージで作られたんですか?

ヨナべ：この曲は歌う前に、「年明けの色々な話を見て作った」と聞いてたので、歌うときは地球の自転を感じながら、大きく広く歌いました。

ハルハ：今年に入ってから、災害や大きな事故があったり、社会的にネガティヴだったじゃないですか。そんな今の状況に対して言葉を紡がなければならないなって思って書いた曲です。この世界は情報が溢れていて、全く関係ない国の悲惨なことも入ってくる。見ず知らずの人の悲しみまで背負わなきゃいけなくなっていて。それを悲しみとして感じないならば、異端みたいな空気もある。でもそれって全然健康じゃないじゃないですか。本当は今目の前にあることが大事だし、それが幸せであればいい。今をただ生きてるだけでも素敵なんです。それでもこの世界は自分らに責め立ててくるというのが、この曲の主なところですね。

──現代社会を考えながら作っているんですね。

ハルハ：今までのharhaの楽曲ってポジティヴに映っているけど、僕の根本はネガティヴなんですよ。これまで活動してきて、ようやくネガティヴな部分を曲にしてもいいと思える時期に来た気がしています。アレンジもディストピアっぽい感じをイメージして作りました。

──この曲は、本当に“すてきなぼくら”のタイトルが似合いますね。

ハルハ：僕らは素敵なんですよ。僕の地元のラッパーの仲いい奴が「素敵になろうぜ」って言葉をよく歌詞に入れていて。それがなんか心にずっとあったので、「すてきなぼくら」というタイトルにしました。漢字よりも柔らかく幼く見せたかったのもあったのでひらがなにしています。

──最後の曲は“現し世”ですね。

ヨナべ：これは歌詞を最初にもらった時から、ハルハ君らしい歌詞だなって思ってたので、歌詞を真っ直ぐ受け止めて歌いました。

ハルハ：こういう曲のヨナべさんの歌声ってすごく良いんですよ。もともとアカペラでもすごく良い歌を歌う人だから、楽器数が少ないとよりそれが際立つんですよ。

──確かに。すごく歌声が際立ちますね。歌詞にはどんな想いを込めたんですか?

ハルハ：この楽曲は、とにかく周りが幸せならいいっていうことを歌っています。2番の「生きている僕らが未来のことなんてあまりに荷が重いや」という歌詞は、最初僕の中でこの『未来再来』っていうテーマに反してるなって思ったんですよ。でも、『未来再来』には「今生きなきゃ未来は来ないし、今が楽しくなきゃ未来も楽しくない」という思いもある。その一歩手前のようなことを歌詞にした曲ですね。

harha「アンデルセン」(blackboard version)

harha - film (MusicVideo)【シャルロット(原神) 同人イメージソング/Charlotte(Genshin Impact) Fan Song】

──最後に、harhaとしての活動は今後どうやっていきたいですか?

ヨナべ：今後をあんまり考えたことはないんですけど、これからも歌でどれだけ感情を伝えれるかを頑張っていきたいです。harhaはすごく良い歌詞ばかりで、それを聞いて何かを感じる人はたくさんいると思うんです。それに対して自分がどこまで声を乗せて伝え切れるかが大事ですし、引き続き頑張っていきたいなと思います。

ハルハ：まずは、このEPのタイミングでより存在をアピールしたいです。これからはライヴもやっていきたいですし、「こういうことを歌ってるよね」っていう内側のところまで伝えていきたいですね。