不確定要素が確定になった瞬間に喜びを感じる
——このEPの最後にはライヴでの人気曲“輪”のリミックスが収録されています。
Bimi:これは「味変」シリーズとしてやっていきたいと思っています。前から聴いてくれているファンもいるし、メジャーにいったことをプラスにしたいので、「味変」という名目で続けていこうかなと。ライヴでは“輪”が盛り上がるので最初はこの曲にしました。
——ボーナストラック的な位置付けなんですか?
Bimi:そうです。「心色相環」のテーマには一切関係ないですね。ラストのお口直し的な感じです。
——今作は「喜怒哀楽」をテーマに作られたんですよね。
Bimi:そうですね。でも裏テーマとして、全部が喜怒哀楽だけで表現できないということを伝えたいと思っているんです。「喜」の中にも哀しみがあったり怒りが混じっていたりすると思うので、4曲を「喜喜喜喜」でも「怒怒怒怒」でも好きなように聴いてもらえれば。チャップリンの名言で「人生は近くで見ると悲劇だが遠くから見れば喜劇である」というのがあるように、感情は全て表裏一体になっていると思います。大きなテーマではそれぞれ「喜怒哀楽」を表現していますけど、どんな解釈で聴いても意味が通るようにはしていますね。
——なるほど。
Bimi:そして最後の“babel”で、「自己開発 共鳴法 磨く 喜怒哀楽 表現 その美学」 と言っていることが全てです。自分を曝け出すことによって相手に共鳴してもらって、人とつながれたらいいなという解釈ですね。

——今回のインタヴューでは、Bimiさんの普段の「喜怒哀楽」について話を訊きたいと思っています。まずは「喜」ですね。Bimiさんが「喜び」を感じる瞬間はありますか?
Bimi:パチンコ、スロットですね(笑)。
——やはりそうですか(笑)。
Bimi:人からモテるとか、仕事が成就するとかは頑張ればできると思うんですよ。でもギャンブルは全てが平等じゃないですか。ギャンブルの神様が振り向いてくれたときが1番たまらないですね。
——運の要素があるからこそハマってしまうんですね。いろんなギャンブルがある中で1番好きなのはパチスロ?
Bimi:そうですね。他の人と一緒にやるようなものは、人との心理戦になった時点で感情が芽生えてしまうのであまり好きじゃないです。しかも色々テクニックもあるし。パチスロは設定が良かろうが悪かろうが、勝てるときは勝てるというか、自分の運でなんとかなるからやってやろうと思えますね。
——パチンコやスロットが精神統一にもなれるのは、余計な要素が介入してこないからなのかもしれないですね。
Bimi:無心で打てるんですよ。ただぼーっとしているときって至福な時間だし、それを当たったときの音で起こしてくれた瞬間も気持ちいいですね。辛いのはずっと座ってるから腰痛くなるくらいです。
——やっぱりギャンブルが喜びなんですね。
Bimi:釣りも好きなんですけど全部同じで、自分が仕掛けたものに対してたまに来てくれるあたりがすごく好きです。あ、オーディションに受かった瞬間も嬉しいですよ。不確定要素が確定になった瞬間に喜びを感じるのかなと。

——「怒り」はどんなときに感じますか?
Bimi:日頃から怒っていますね。理不尽なことが多すぎて、もう何に怒っているのかわからないんですよ。いま戦争が起きていることにも怒っているし、誹謗中傷で人が亡くなるみたいな状況にも怒っています。今の世の中は「逆POISON」なんだなと思うんですよ。「言いたいことも言えない」んじゃなくて、言わなくていいこともみんな言っちゃう。誹謗中傷する人は論外ですけど、そういう人がいることで知り合いに対しても疑念を抱くようになっちゃうのが、嫌ですね。あとは早く売れない自分にも怒っていますよ。
——自分にも怒るんですね。
Bimi:自分にはいつも鞭入れていますよ。あとはパチンコ負けたらすごく怒ります。気分が悪くなりますね(笑)。
——そうですよね(笑)。「哀しい」という感情はどういうときに湧き上がりますか?
Bimi:怒りと似たような場合が多いですね。最近だと、満員列車で人がつまらなそうにしているのを見て哀しくなりました。平日のスクランブル交差点とかもそうです。みんな負のオーラをもっていて、人混みいると哀しくなりますね。
——人混みが苦手なんですね。
Bimi:自分に興味ない人を見るのがあまり好きじゃないんだと思いますね。自分、かまってちゃんの究極系なのかもしれない。
——Bimiさんはライヴだと客席の中にも自分から入っていくわけじゃないですか。あれは会場には自分に興味がある人しかいないから、哀しさを感じることなく、逆にテンションが高くなるんですか?
Bimi:そうですね。でも終わった後に、「あの中に本当に自分に興味ある人どのくらいいたんだろう」と考えてしまうんですよ。あとは、新幹線とか高速道路から見る街並みは哀しくなります。自分はここにいる人たちと交わることはないんだろうなと。1人1人が生きているんだなと思うと、やるせない気持ちになるというか無力感に苛まれるんですよ、なぜか。
——それは、そういう人たちと交わりたいからこそ哀しくなるんですかね。
Bimi:まあ、交わったら交わったで面倒くさい気がします(笑)。でもまだ見ぬ可能性を潰している気がして。全部見たいんですよね。
