きっとわかる人にはわかるだろう
──3曲目の“Paper Drive”は、さきほどおっしゃった通り、かなり以前からある曲なんですよね。かなりサビが耳に残る曲だなと。
kiki vivi lily:そうですね。この曲は自分の中で完成形がはっきりしていたので、過去最速くらいでアレンジしました。すごく効率よく完成して、自分達でもファーストの『vivid』の頃からの成長を感じられました。
──kiki viviさんの楽曲って旅するものが多い印象ですが、この曲は逆に「どこにもいけない」ことがテーマなのかなと。
kiki vivi lily:深夜の悶々としている感情で完結させた曲ですね。深夜に遠くに行きたくなるんですけど、運転できないからどこにもいけなくて、心情的にはどんどん沈んでいくようなイメージです。
──なるほど。曲調はかなりポップなので、落ちてる感じはあんまりしないですが、歌詞を見ると確かにそうですね。
kiki vivi lily:そうなんですよ。でも爽快感があってバランスのよい曲だと思います。
──「中央フリーウェイ」という歌詞は荒井由美(松任谷由実)さんの楽曲から?
kiki vivi lily:そうなんですよ。特にこの曲を作っているときにたくさん聞いていたので影響されていたんです。松任谷由実さんは私のシンガーとしてのルーツにもなっていますし、大好きな曲です。
──シティポップの文脈で“中央フリーウェイ”も、ここ最近また人気になっていますよね。
kiki vivi lily:確かに。でもそういうブームより前にこの曲は作ったことはしっかり伝えていきたいですね(笑)。
──ご自身はもうペーパードライバーではないんですか?
kiki vivi lily:そうですね。高校生のときにとって、そこから運転していなかったんです。でも来週くらいに新しい車が来るので、そこから練習します(笑)。
──続いて、“Invisible”についてもお伺いしたいです。
kiki vivi lily:この曲はEPと関係なく、割と最近に作りました。他の曲は物語みたいですが、この曲は心情を吐露しています。
──英語の歌詞を取り入れた意図は?
kiki vivi lily:日本語で歌ったら少し押し付けがましいかなと思って、英語にしました。えぐみを出さないけれど、きっとわかる人にはわかるだろうと思います。
──この楽曲の歌詞からは女性たちをエンパワーメントするようなメッセージを感じます。そういった気持ちは以前からあったんですか?
kiki vivi lily:ずっと思っていました。これまで活動していくなかで経験も増えたので、そろそろ片鱗を出してもいい頃合いかなと思って入れました。この曲をデヴューアルバムに入れても聴いてくれる人はいないかなと思っていたので、ある程度説得力が出るときまで待っていたんです。でも割と自然な流れです。
──ラストの“星喫茶店”。タイトルは、韓国でスターバックスのことを指すんですよね。この曲も「出会いと別れ」っぽいイメージがあります。どう制作していったんですか?
kiki vivi lily:まず「星喫茶店」という名前がいいなと思って、構想を広げて書いた曲です。「セイレーン」はスタバのロゴの人魚で、「JoyfulなMelody」もジョイフルメドレーティーラテからとっています。少し遊んでみました。
──スターバックスへはよく行くんですか?
kiki vivi lily:行きます。よく人間観察していますね。
──歌詞はどういうイメージで書いたんですか?
kiki vivi lily:スタバってカップルが多いじゃないですか。付き合いたてのふたりの初めてのデートとかで行くイメージもあって。だからちょっと軽い感じというか。純喫茶のどっしりとしたものとは違う恋をイメージして書きましたね。
──楽曲のアレンジはどうやって進んでいったんですか?
kiki vivi lily:モノンクルの角田さんに作ってもらいました。要望を伝えてから、意図を汲み取ってくれましたね。比較的、アレンジはおまかせして作ってもらった曲です。
──最後に別れを匂わせるような曲で終わるのも印象的だなと。そのあたりは意識しているんですか?
kiki vivi lily:していないようでしている気がします。こういうのを最後の方にもってきたくなるんですよ。最初の1、2曲では元気を出してほしいから、必然的に悲しい曲が後ろに回ってくるんだと思います。こういう作り方は1作目からしているかもしれないですね。
──なるほど。でも「また会いましょう」というニュアンスもありますよね。
kiki vivi lily:そうですね。ループしてまた1曲目に戻ってくれば、また元気になると思います。
──6月23日にLIQUIDROOMにて、本作のリリースライヴがありますね。
kiki vivi lily:ワンマンはすごく久しぶりですね。声出しもできるようになったので、みんなで楽しめるようなライヴにしたいですね。ぜひ、遊びにきてください。

kiki viviの純度高い最新EP
LIVE INFORMATION
【kiki vivi lily 「Blossom」Release One Man Live】
【日時】 2023年6月23日(金) 開場18:00/開演19:00
【会場】 東京・恵比寿LIQUIDROOM
kiki vivi lily 過去の記事はこちら
kiki vivi lily ディスコグラフィー
PROFILE:kiki vivi lily
福岡県出身。
スウィートで魅惑的な歌声と類稀なるメロディーセンスで彩度の高いポップネス・ソウルを奏でる注目のシンガーソングライター。
2019年6月に1st Full Album『vivid』を発表、音楽専門誌「MUSIC MAGAZINE」のレビューでは10点満点を獲得するなど話題を呼び、玄人のみならず幅広い音楽愛好家を魅了。
同年12月にビートメーカーSUKISHAとの共作『Over The Rainbow』を発表、Apple Music R&Bチャートでは2年に渡りランクインを記録し続けるほか、スペインでの海外初公演を行うなど、国内外から支持を集めた。
2020年12月にリリースしたEP『Good Luck Charm』では、収録曲の「ひめごと」が三井アウトレットパーク「SURPRISE SALE」のCMソングに抜擢され、 ロングセールスを記録。また、nobodyknows+との「ココロオドル」のコラボレーションも大きな話題となった。
2021年10月には、日常生活で味わう様々な感情を味覚と重ね合わせて描いた全9曲からなる2nd Full Album『Tasty』をリリース。収録曲の「Lazy」が全国30局のFMパワープレイに選出、ラジオオンエアチャート(2021/10/4~10/10)にて1位を獲得、若者を中心にInstagramのリールで楽曲が使用されスマッシュヒットを記録。ジャンルにとらわれない幅広い音作りはより味わいを増し、進化を遂げている。
2023年5月に新作EP『Blossom』を発売。
■公式HP https://columbia.jp/kikivivilily/
■公式ツイッター https://twitter.com/ki_vi_ly