騒がしくてうるさい、落ち着きのない子どもでした
──なるほど。今回最後に収録されている楽曲 "ゆめをきかせて"だけはご自身で書かれたということですが、この曲を聴いたときに、文庫本のあとがきや解説みたいな感じの印象を受けたんですよね。
そらる : そうですね。最終的なまとめみたいな立ち位置の曲ですね。これはアルバムに入っている他の曲を聴いたうえで書いた曲なんですけど、このアルバムを締め括る1曲というか。他の曲を聴いたうえで自分がどんな曲にするかっていうのは自分にしかできないことなので。あとは単純にそのアルバムのなかに自分の曲も入っていて欲しいなっていう感じですね。
──今回の人選はどのようにして決まったんでしょうか?
そらる : 単純にこの人にお願いしたいと思っていた方にお願いしましたね。
──制作はどのようにして進んでいったんでしょう?
そらる : それぞれ違いますね。お願いの仕方も、1曲目“リユニオン”のYASUHIRO(康寛) さんとかは自分がドラムとかを打ち込んで、「こんな感じにして欲しいんですけど」みたいなことまで言ったりもしましたし、逆に全然指定とかもせずに好きに書いて欲しいってお願いをした方もいます。人によってこの人にはこういうお願いの仕方がいいんじゃないかっていうところで、結構違いますね。“ぽんこつ白書”のNeruさんとかには曲調すら「自由にやっちゃってください」みたいに言っていたかもしれない。
──いろんな楽曲が送られてきたと思うんですけど、曲が届いたときに驚いた楽曲はありますか?
そらる : 基本的にはイメージ通りだったんですけど、ツミキさんが書かれた“burnable”とか、すりぃさんが書かれた“Reanswer”とかは結構「こういう感じでくるんだ!」みたいなのはありました。最終的に音源が完成してみて、それはそれでいい味になっているというか。
──ツミキさんの楽曲“burnable”は、本当に歌詞の部分もすごいですよね。文学的というか。
そらる : そうですね。本のなかの1ページみたいな。
──今回「子どもの頃の悩んでいる自分に送る1曲」がテーマですが、実際そらるさんご自身の子どもの頃はどういう子だったんですか?
そらる : 小中学生から高校生前半くらいまでは、クラスの中心ではないですけど、騒がしくてうるさい、落ち着きのない子どもでした。小学生のころから空手を長くやっていて、その先輩が入ってたという理由で中学校では柔道部に入っていました。ずっと武道をやっていましたね。
──今回のテーマの「子どもの頃」は、どのへんの年代をイメージされていたんですか?
そらる : イメージ的には小学生ぐらいになるかな。やっぱり、大人になると徐々に悩みって薄れていくというか、いままで悩んでいたことが「なんであんなちっちゃいことで悩んでたんだろう」ってそんなに大きな悩みじゃなくなってくるタイミングがあるんですよね。子どもの頃ってすごく繊細で、ちっちゃいことがすごい気になっちゃったり。だから悩みもすごく多くて、そういう時期の自分に向けた曲っていう感じですね。
──そらるさん自身は、子ども時代にどんなことで悩んでたんですか?
そらる : 多くは人間関係ですかね。あとは、本当にちっちゃいことで、自分が着ている服が気に入らないとかがすごく気になっちゃったりとか。
──その悩みは大人になっていくうちに、だんだん減っていったんですか?
そらる : そうですね。人との接し方がわかっていったり。あとは単純に関わる人の数が少しずつ限られていって、同じ人と長く一緒にいる時間が増えていきがちだったっていうのもあるかもしれないですね。深く関わる人っていうのは大人になるにつれて限られていく人が多分多いと思うんですけど、それによって徐々に悩みが減っていくってのもあるかもしれないですね。
──なるほど。
そらる : 単純に毎年クラス替えがあるとすると、毎年30〜40人ぐらいの人と同じ空間で生活をしなきゃいけないわけじゃないですか。それってなかなか大人になるとないなっていうのはありますね。あとは、子どものころって失敗を経験していないので、なにをしたら良いことなのか、悪いことなのかっていうのもわからないし、手探りで生きていかなきゃいけない。おとなしくてあんまり自分から人と関わらない性格なら、もしかしたらもうちょっと悩みは少なかったのかもしれないですけど、自分はうるさくて、空手とかやってたこともあって人のこと怪我させちゃったりとか、先生とかに目をつけられがちだったりので、そういう悩みもありましたね。