70曲全曲やろうとしてました
──そして28曲約50分という脅威のメドレーが前半に登場します。
北川:それでも(レパートリーの)半分はいかない。
──それでも28曲ですよ(笑)。
友田:せっかく10周年記念だし映像化も初めてなので、いろんな曲を知ってもらいたかったんです。「この曲やりたいね、やっぱこの曲もいいよな」となりながらも、泣く泣く「じゃあこれは入れられないか」みたいな曲も結構あって、僕らの中では絞りに絞った28曲(笑)。
北川:70曲全曲やろうとしてましたからね(笑)。

──曲順の決定は大変だったんじゃないですか?
山本:まずメンバーひとりひとりが各アルバムの好きな曲を4曲挙げて28曲を決めました。28曲をどう繋げるかっていうところの構成の設計図は僕が担当しております。まず表を書いて曲の始まる音と始まるコードとその曲がマイナーなのかメジャーなのか、始まる音と終わる音、テンポ情報など全部書いて、どことどこが繋がるとシームレスにうまくいくか等の設計図をまず作りました。すごい雑に切り貼りした設計図なんですけど、なんだか作り終わったら50分になっていました(笑)その後クリックとシーケンスを前半部分を友田くん、後半部分を北川くんにお願いして、曲間の時間もなんとなく決めてもらって。で、それが完成したら次は兼子くんに譜面を全部書いてもらって、という風に4人でしっかり共作で作りました。
友田・北川:(笑)。
山本:まあまあ大変でした(笑)。曲がシームレスに行くところ、あえて落ちて行くところ、演者の楽器の持ち替え、この人の体力を酷使しすぎたからちょっと休みを、この人の曲が続いたから次はこの人、、、とかそういうのも考えながら作っていきましたね。
──いや、凄まじい工程です。既に存在している曲ではあるけれど、この演奏のためにもう1回再構築というか?
山本:そうですね。組曲みたいになりましたね。
──メドレーにしたことで改めて気づいたことってありますか?
山本:DEZOLVEっていろんな曲があるんだな(笑)、いい曲があるなって。
友田:メドレーって不思議で聴き方がちょっと変わって、1曲1曲やるのと違って前の曲のカラーがあるから次の曲も普段と違う聴き映えになるというか。色鮮やかに見えて面白かったよね?
山本:確かに。
北川:あとは4人がそれぞれ自由に曲を書いて個性も違うのに、全然違うバンドの曲な気は全くしない、DEZOLVEの曲としてシームレスに繋がってるのはなんでなんだろう?すごいなと思いましたね。
──メドレーまでが一部という感じで、ゲストを迎えるセクションでは改めて小栢さんのキャラの濃さに驚きました。
山本:懐かしかったよねえ。
北川:あの感じ。

──小栢さんが加わることによって兼子さんのキャラクターもわかる気がして。もちろんツインベースも見どころでしたね。
山本:そうですね。2人でいるといい意味の比較ができる。「あぁ、この人はこんな音だった」っていうのがベース単体で聴くよりも二人のベーシストが並んで演奏することによって改めて感じられて「どっちも素敵だな」と気付けた場面でしたね。
──後半は本田雅人さんやなぎなぎさんがゲストで参加されて。そもそも本田さんとのコラボの経緯は?
友田:本田さんには4枚目のアルバムに最初に参加してもらって、その後からよくDEZOLVEと一緒にやらせてもらっております。僕らのバンドにお呼びしたり逆に本田さんのライブに呼んでもらったり。本田さんもDEZOLVEの音楽にリスペクトを持ってくださっていて、10周年のコンサートがあれば絶対お呼びしようと思っていました。本田さんとはこれからも一緒にできたらいいなと思いますね。
──そのタイミングのアルバムが『AREA』ですよね。この頃は楽器を増やしたかったんですか?
山本:ゲストを呼びたいぐらいな感じではあって、ちょっと変化があったら面白いかなっていう感じでしたね。
北川:メジャーデビューして1枚目(『PORTRAY』)はDEZOLVEの4人だけで「これがDEZOLVEだ」という意志表示をしたので、2枚目(『AREA』)はちょっと変えようという流れだった気がしますね。
──さらにやなぎなぎさんがボーカル参加された「re:fruition」は初めて歌詞のある楽曲です。
山本:前々から歌は入れてみたいなという気持ちはあったんです。それで『Frontiers』というアルバムのタイミングで満を持して歌を入れようという話になり、歌手を決める際DEZOLVEのメンバーが携わっていて、かつDEZOLVEの音楽を歌いこなしていただける方って誰だろう?って考えたら、やなぎなぎさん以外見つからなくて。それでオファーしたら、快くお返事いただいてって感じですね。
──やはりアニソンやボカロのニュアンスも加わるというか、そういう面白さがありました。
山本:この曲は歌を楽器のように扱って作ってるので、いわゆる歌モノよりはインストライクなものになっているのかな?という気はします。