INTERVIEW : DEZOLVE

90年代生まれのフュージョン/インストゥルメンタルバンドDEZOLVE。超絶技巧をはじめとするスキルフルな演奏力、普遍的なポップさを持つメロディや体験的な構成が高いレベルで融合する音楽性で人気を誇る彼らが結成10周年記念のホールコンサートを実施し、今回2時間半に及ぶ初の映像作品としてリリースする。28曲50分に及ぶメドレーや、オリジナルメンバーであるベーシスト小栢伸五やサックスプレイヤーの本田雅人、シンガーソングライターのやなぎなぎとの共演など全編見どころしかない特濃盤だ。プレイヤーとしては鬼神(!)のような彼らのストレートな音楽愛をインタビューから受け取ってほしい。(ベースの兼子拓真は海外での活動のため欠席なのが残念!)
インタヴュー・文:石角友香
インプットとアウトプットをいいバランスに
──10周年なので改めてお聞きするんですが、それぞれプレイヤーやコンポーザーとして活躍していらっしゃる中、DEZOLVEを結成した動機はなんだったんですか?
山本真央樹(Dr):もともと好きな音楽が近しい仲間と高め合えるようなバンドを作りたいなと思って小栢くんと僕で始めて、友田くん呼んで北川くん呼んで、みたいな感じで始まりました。コンセプトとしてはスタジオミュージシャンとしていろいろな方のサポートをしつつ、僕らが好きな時に好きなことをやるために遊びに帰ってこれる“場所”を作る−極端な喩えですけど、公園に集まって遊ぼうぜぐらいの(笑)。そのみんなで集まる“公園”みたいな感じのバンドとしてDEZOLVEを始めたというのがきっかけですね。その音楽に賛同してくださったり好きで聴いてくださっているお客さんが増えていったらいいよねというスタンスで続けてきたらおかげさまで10周年を迎えられたという感じです。
──オリジナルアルバムを7作もリリースされてきたわけですが、いま1stアルバムを聴くと、どういうバンドだなと思われますか?
友田ジュン(Key):1stは本当に始まりの頃なので、DEZOLVEとしてのサウンドがまだ確立してない時期ではありました。とりあえずいくつかオリジナル曲が集まったからレコーディングしてみようという時期なので、いろんな形を模索してるところだと思いますね。1stのアルバムに関してはまだ北川くんも本メンバーになってないので、それで言うと2ndアルバムから「DEZOLVEのサウンドってこういうものだよね」みたいなのが見えて来た気がしますね。
──1stアルバムはテクニックも曲調も滾っているというか、若さの圧や存在感を見せる感じだったのかなと思いました。確かに2ndアルバムの『SPHERE』はダンスミュージックなど要素が広がってますよね。
山本:方向性が固まってきた感じがあって、こういうカラーではこういう音使いをするとDEZOLVEらしいかもなっていうのが明確に見え始めたのが『SPHERE』。多分ちょうどその時に4人のメンバーカラーが定着したからかもしれません。
──北川さんにとってDEZOLVEはどういう存在でしたか?
北川翔也(Gt):みんな大学生だったんですけど、僕がいちばん下で他の3人は音楽学校に在学しながらもう仕事もして作曲もしていて。僕はギターは弾いてたんですけど、曲は譜面に書いて作るぐらいで。パソコンで作って自分のパート以外の楽器もアレンジして音源を作ることはやったことがなくて。でもその時点で3人はもうそれを仕事にしていたので、すごく刺激になって、頑張って追いつきたい気持ちでこのバンドに入りたいと思ってましたね。

──なるほど。
北川:演奏はもちろんすごいんですけど、楽曲をしっかり作り込んで聴いてる人に曲の良さを伝えたいという姿勢があったので、そういう意味ですごくシンパシーを感じましたね。
山本:みんな好きな音楽のジャンルは違うんですけど、DEZOLVEに昇華すると「DEZOLVEの音楽」になるんです。それに各々の好きな雰囲気を知ってるので、ちょっと寄せに行ったり、各々の得意分野の世界観にすることによって、インプットとアウトプットをいいバランスにしているところはあって。インプットは完全に「これとDEZOLVEを掛け合わせたら絶対面白いな」みたいなのを自分で見つけて、アウトプットする時に「でも北川くんはこういうプレーをするから、こういうギターの方が合うな」とか「友田は絶対こういう音色のほうが映えるな」とか考えて作ってるからDEZOLVEの音楽になるのかもしれません。
──10周年記念のリリースをベスト盤じゃなくてコンサート映像にしたのは?
山本:もともと10周年コンサートをやろう、そして映像作品にしようという気持ちがあったんです。そうなると記念碑的なライブになるので特定のアルバムの曲に特化したライブではなく満遍なく振り返るベスト盤みたいな空気にもなって一石二鳥だったりしますからね。
──確かにベスト盤はプレイリストで代替できなくもないですし。
山本:いまは配信サービスに加入されている方は大体聴けますし、その曲達を自分でプレイリストを組んで並べ替える事も出来たりして。それならベスト盤を出すのではなく今のスキルの僕たちをライブで聴かせて、観せた方が面白いのかな?というところはあったかもしれないです。
──セットリストはどう決めたんですか?
友田:まずは一つのガイドラインとしてミュージックビデオになった曲を選出する流れになりました。1曲目の「Night of Megalopolis」はMVになっていませんが、これは代表曲として入れようということで意見が一致しました。あとは基本的にアルバムの時系列に沿ってセットリストを組んだ感じになってますね。
