こういう美しい爆発、美しい崩壊みたいなことをずっと歌いたかった
──2025年以降に発表された楽曲群についても聞かせてください。「バニラ」は綾瀬さんの作詞で、「おまもりは、のろいは青で出来てる?だけど / 効き目ない おまじない ことばにつまって / もうピンクにでもなってしまおうかな!」という歌詞もありますが、どういう気持ちで書いたんですか?
綾瀬 : 私の裏テーマとしては、「青を手放す」にしたくて。「リサイズ」という曲に「君が優しくないから僕はまた強くなれる」っていう歌詞があって、すごくCYNHNっぽいなって思ってて。壊すことも愛情だと思うんです。大事なものがずっとあるから宝物なんじゃなくて、それを作ってきたから宝物なのであって。CYNHNは、選ばれなかったり、夢が叶わなかったり、そういう瞬間にも、私たちは青をずっとずっと抱えて活動していかなきゃいけなかった。それが私たちを救ってくれたこともあったし、反対にそれが私たちを壊した瞬間もすごくあって、そういうちょっと暴力的な愛情みたいなものを表現したかったんです。
──CYNHNに対しての暴力的な愛情でもあると?
綾瀬 : でも、これは私が今まで抱えたことのない莫大な愛なんです。CYNHNに対して、自分の人生をいくらかけたかわからない、それはメンバーみんなそうだと思うんですけど、だからこそ書ける言葉だったのかなと思ったんです。(ピースサインをして)イェーイ!(笑)
──照れ隠しがピースサインなんですね。
綾瀬 : ファンのみんなも聞いて「悲しい~、悲しいよ!」ってなってたんですけど、そうしたかったんですよね、私は。「CYNHNが盛り上げるぞ!」みたいな曲が多かったなかで、「忘れちゃいねーか!? 私たちのちょっとダークな部分を!」と相手に伝わってほしかったので、正しかったなと思いました。
──「バニラ」のMVも繰り返し見ています。葛西臨海公園での4人がすごく儚げですよね。
綾瀬 : 当たり前の日常が一番、寂しくて儚くて愛しくて切ないんですよ。(声を大にして)私たちの今は一番価値がある! だから、それを見せたかったんです。
──他のメンバーは「バニラ」の歌詞を見てどう思いました?
青柳 : 本当に綾瀬が言ってる通りで、いつか今を振り返った時、輝いている日々でいたくて、それが表現されてるし、それを今見てほしいってすごく思うから、気持ちが一緒なんだなって思いました。「私たちの曲だ」って思いました。根底にあるものがこの曲なのかなって思います。
広瀬 : 「しきちゃんが歌詞を書いてくれました」って送られてきて、きっとファンの人と同じ気持ちで、すごく寂しい気持ちになったんです。でもそれって、しきちゃんが言ってたみたいに、本当に日々の日常がすごくキラキラしてるっていうことに気づけた瞬間でもあって。私も日々一生懸命過ごしていると、その最中にいる時って、日々を俯瞰して見れないじゃないですか。
綾瀬 : 分かる。「青の世界にいたら青には気付けない」(CYNHN『水生』の歌詞より)。
広瀬 : 本当にそれを感じたんですよ。CYNHNとして今のメンバーと大切に過ごしていきたいなって改めて思ったし、1日1日を大切にしなきゃと強く感じました。
月雲 : 今までみたいに人からいただいた曲じゃなくて、当事者にしかわからない感情が出てるなと思いました。当事者って、本当の意味では私たち4人しかいないじゃないですか。本当の意味ではみんな理解できないような、すごく重たい歌詞なんですよ。でも、聞いてくれてる人に「寂しいけど、美しいな」って思われるような歌詞だなとも思いました。
──「息のしかた」は、切々としていて、穏やかさや明るさもある曲ですが、どういうふうに歌いましたか?
青柳 : この曲は「こんなこと歌っちゃっていいんだ?」って思いながら歌ったことを覚えてます。すごい歌詞だと思って、サビとか「歌っていいんだ?」って(笑)。
綾瀬 : 「嬉しい、こういう言葉を言いたかった、ずっと」って思いましたね。こういう美しい爆発、美しい崩壊みたいなことをずっと歌いたかった。「2時のパレード」という曲を大事にしていて、あの曲にすっごい救われてここまでやれてきたところがあるんですけど、誰かに伝えたかったけど言えなかったことが「息のしかた」にも入ってて、しゃべるような感じでAメロを歌いましたね。
広瀬 : 水とかガラスの破片とか透明なもので、ちょっと鋭利なものがパラパラしている感じがします。しきちゃんが言っていた「美しい爆発」みたいなものを感じて。この曲はすごく繊細に演じるみたいな気持ちで歌ったのを覚えています。壮大さもあって、言葉を伝えられるように意識して演じました。
月雲 : まだライヴで披露してない分、こっからまた変わりそうというか。ライヴで初披露する時に向けて、どういう方向、どういう仕上がりにするか、今後考えていきたいですね。