”fhánaが繰り返し伝えてきたメッセージ
──続いて2曲目「永遠という光」です。この曲はタイアップになってるっていうのもあると思うんですけど、 自分的にはいい意味でめちゃくちゃ美少女ゲームのオープニングっぽいイントロだな~と思っていて。
佐藤 : そうですね。まさに美少女ゲームのオープニングにふさわしい曲かなと(笑)。
kevin : あの音色だったり、そうなんですよね~。美少女ゲームというより、泣きゲーっぽさですよね。
──わかります。なんか2000年代ぽさもありつつ、共感覚としてあるんだけど、うまく言語化出来ないんですが……。
towana : いや、私はそれをめちゃめちゃ通ってきたわけでもないし、それを意識して歌ったわけでもなかったので、そういうカルチャーの人たちにどう受け止められているのか、正直、不安な部分もあって。
佐藤 : 既にこの曲と「Last Pages」の2曲はオープニング映像だったり、ゲームのPVで公開されてて、その感想を見る限り、すごく好意的でしたよ。
──そうですね。そういう心配は全然、必要ないかなというか。逆に言うと、もう横に2人、めちゃめちゃ好きな方がいらっしゃるんで、なんか違ったら、一番横槍が入るんじゃないかなって(笑)。
towana : 確かにそうかもしれない。というかなんだったらそもそもfhánaのボーカルに選ばれてないかもしれないですね(笑)
一同 : (爆笑)
佐藤 : 曲を作る時、結構自然体で作れたんですよね。あんまりこねくり回してないっていうか。あとゲームなんで、テレビアニメほどの秒数の制限とかもなくて、それもあってスッと作れましたね。
towana : この曲は「Last Pages」もセットでお話した方が良いかもしれないです。
──では続いて「Last Pages」に移りましょうか。こちらは『ONE.』のEDとしてタイアップとなっていますが、『ONE.』の曲でもあり、ちゃんとfhánaの曲でもあるなっていうのも意識できるというか、「枝分かれする」みたいな歌詞の部分だったりもご自身たち経験をちゃんと踏まえて出てきた言葉だし、すごく説得力があるというか、タイアップだけど、ちゃんとfhánaらしさをヒシヒシと感じれたのも、個人的にはすごく刺さりましたね。
佐藤 : 確かに「Last Pages」は特にfhánaっぽいかも。fhánaの中でも「white light」とかの系譜だと思っていて、ライブの終盤に演奏するエンディング感があるかな。ギターがあって、ストリングスも入っていて、壮大な感じなんですけど、 「Last Pages」はオルタナティブでラウドなギターだけで結構攻めてて、いいのが作れたなというストレートな手ごたえがありました。
──この2曲は、先日のライブで初披露だったと思うんですけど、ライブでの演出がめちゃくちゃ印象的で、ひたすら歌詞が後ろに流れてくるみたいな……
towana : はい!私が考えました!(笑)。初披露の曲だから、歌詞から入ってほしいなと思いまして。
佐藤 : この曲はゲームのエンディングでもありつつも、よりfhánaに引き寄せてる部分というか、重なり合ってる部分も多くてサビ終わりの「最後のページ開く時」って歌詞もラスサビでは「新しいページ開く時」に変わるのですが「どんな時でも希望は残っているよ」みたいなのって結構fhánaが繰り返し伝えてきたメッセージだったりもするし。
──続いては「Beautiful Dreamer」行きましょうか。BPM的にfhána史上最速の記録を更新した、なんて話もありましたけれども。
佐藤 : 更新しちゃいましたね(笑)。この曲の制作秘話なんですけど、音楽のサブスクサービスで1年の最後にレポートみたいなの来るじゃないですか。「あなたは何回この曲を聞きました」みたいな。1位はfhánaで、2位が坂本龍一さんで「うん。まあまあ、それはそうだな」と。fhánaは練習するときとかライブのセトリを組むときに沢山再生しているので、実質1位が坂本さんで、その次ですよね、3位がELLEGARDENさんだったんですよ。「こんなに自分ってエルレを聞いてたんだ」っていう驚きがこの曲に表れてます(笑)。
──あー、なるほど(笑)。いや、僕自身このEPの中で1番好きになった曲がこの曲だったんですけど、完全に合点がいきました。まさに私が思春期に聞いて育ってきたのが、その辺りのバンドだったんで、冒頭のギターのリフとか「めちゃくちゃ気持ちいい~」みたいな感じで。
佐藤 : このEPを作るってなった時に、5~6曲のうち1曲はこういう速いギターロックの曲を作りたいという構想は初めから頭の中にあって、その枠を最初から設けてたから、それ用に作ってみたところ、結構手応えがあった。しかも、なんかドリーマーっぽくない?みたいな(笑)。その、夢追い人的な意味ですね。夜寝てる時に見る方の夢じゃなくて。そしたらこの曲を「Beautiful Dreamer」として、これを表題にしちゃおう!みたいな感じでしたね。
──この曲も夢と現実を行き来しているんですが、どちらかといえば現実寄りで、最初の歌詞なんですけど「僕ら夢の中にいた」と言ってたのに、漠然とした夢が、一気に叶えたい夢に自分の中で変化していくのにある瞬間から気付くじゃないですか。
佐藤 : 確かに。1曲目の「夢」にもつながってくるんですけど、将来の「私がこうしたい」とか、夢っていうのは、言葉にした瞬間に、あなた1人だけのものじゃなくて、共有されていく。みんなの夢になるんだよ、みたいな。そういう、すごいポジティブなメッセージをこの曲には込めましたね。やはりfhánaとしても、最初に話したように、10周年ライブでひと区切りして、新しい夢を語って、それをみんなで共有して進んでいくんだ。というフェーズに今僕らはいるので、このタイミングで1番伝えたかった事だったのかもしれませんね。
