スペシャル・フォトギャラリー
パピプペポは難しいワンマンライブ2023〈フラッシュバック〉のスペシャル・フォトギャラリー。
LIVE REPORT : パピプペポは難しいワンマンライブ2023〈フラッシュバック〉

取材&文 : 西田健
撮影 : 宇佐美亮
2023年1月17日。この日、6人組アイドル・グループ、パピプペポは難しい(通称、パピムズ)が、Zepp DiverCityという夢の舞台に立った。
パピムズが普段ライヴをしている会場の規模から考えると、ここZepp DiverCityでライヴを行うことはかなりの挑戦のように思われた。しかし、彼女たちには、この場所にどうしても立たなくてはならない理由があったのだ。
開演時刻になると、まずは、パピムズと同じ事務所の後輩グループのPetyとキャッチミーによるオープニングアクトがスタート。それぞれ順番にステージへ現れて、会場を温めていく。彼女たちにとってもZeppという大きな舞台だったはず。それにも関わらず、堂々としたパフォーマンスに驚かされた。彼女たちがこの経験を糧にして、これから大きく成長していく予感がした。
定刻を迎えると、産声、チャイム、それらが入り混じったような混沌としたSEが鳴り響き、パピムズメンバーが現れる。セットリストの1曲目はパピムズ屈指のスーパーど真ん中なアイドル・ソング“ち・ちん・ぷい”。これからのはじまる素敵なライヴを幕開けを告げるかのごとく、会場全体に音楽の魔法をかけていく。続く“だるい日”ではカラフルな照明に照らされるなか、元気いっぱいに笑顔でのパフォーマンスを行う。
驚かされたのは、3曲目に披露された“スーパーSAMURAI忍者・カラテマン”だ。この曲の冒頭でなんと大勢のバックダンサーが出現したのである。広いステージを縦横無尽に動きまわり、まるでヒーロショーさながらの殺陣を披露。さらに、彼女たちはこの日のために作られた新曲“パピプペポイズンLOVE中毒”を叩き込む。MOSHIMOの岩淵紗貴と一瀬貴之によって制作された爽快なバンドサウンドに乗る、「パピプペポイズンLOVE中ドックン」というサビのメロディーが耳から離れない。タイトル通りの中毒性満点のキラーチューンで、ライヴは最初からクライマックスだ。


最初のブロックを終えると、この日最初のMCへ。まずはひとりずつ自己紹介から入るのだが、大きな舞台でも自分のペースを崩さず、リラックスした雰囲気で終始笑顔を振り撒いていたのが印象的だった。ライヴは、次のブロックへ。パピムズ屈指のエモ楽曲“神様のきまぐれ”、“ロンリーバード”へと繋ぐと、先ほど“スーパーSAMURAI忍者・カラテマン”で登場したバックダンサーが再び現れ、ワンダフルダンスショーと称したダンスショーケースへ。まるで、おとぎ話の登場人物のような衣装へと着替えたメンバーが現れ、ファンタジックな世界観を音楽とダンサーで展開。ここに、パピムズの持っているエンタメ性が爆発していた。
ライヴは、「ズンチ・ズン・ズンチ」というコミカルかつファニーな歌詞とダンスが印象的な “ホニャララ・アンビシャス”へ。そこからさらに、“一軒家住みたいな”、“ビバ・トーキョー”とぶち上げるダンス・チューンを叩き込む。パピムズの持ち味のひとつであるビートの強い楽曲は、「絶対に大箱で鳴らされるべきだ」とリキッドルームのワンマンの頃から感じていたが、ここZepp DiverCityのサウンドシステムで鳴らされると、その迫力も倍増した。パピムズのサウンドは、今日この日新たな進化を遂げたのである。


Zepp DiverCityを大きなダンスフロアへと変貌することに成功した彼女たちは、再びMCヘ。カワシマユカがこれまでのパピムズの歴史をフラッシュバックさせるように、それぞれのメンバーとの出会いについて語る。彼女たちは長い間この6人で走ってきた。体制の変化が激しいライヴアイドルシーンにおいて、4年近く同じメンバーでやってこれるのは、本当に珍しい。きっとそれはメンバーみんなが同じ方向を向いているからなのだと思う。
ライヴはそこから、“決まりごと”でメンバーのエモーショナルな熱唱が会場を包んだのも束の間、さきほどのワンダフルダンスショーの世界を拡張させたかのような、耳慣れないファンタジックな楽曲へと続く。なんとこの某テーマパークを思い起こさせるハッピー・チューンは、この日初解禁の新曲“ワンダフル・パレード”とのこと。ダンサーによる組体操で「お城」をつくる演出には、とにかく驚いたし「こんなことができるのか!」と感動した。また、この高揚感を演出しているのは、彼女たちのとびっきりの笑顔のパワーによるものだ。この曲は、パピムズがこれまでやってきたエンターテイメント性をMAXまで引き上げた、まさに真骨頂だ。
この日のライヴで素晴らしかったのは、空間演出ユニットhuezが手がけた照明での演出、そして、大勢のバックダンサーの存在である。煌びやかな照明に彩られたステージで、楽曲を表現するダンサーたちの姿は、パピムズワールドを表現する上で欠かせないものとなっていた。ちなみに、照明とバックダンサーは、クラウドファンディングによるもので、この日のライヴはお客さんと一緒に作り上げたといっても、本当の本当に過言ではないのだ。

パピムズが大事に歌い継いできた“charm”、“ラブげっちゅ! -お誕生日のお歌-”と曲で、ライヴはフィナーレへ。客席からは、割れんばかりの拍手が贈られる。最後のMCのなかで、メンバーは時折涙を流しながらこの日の感謝を伝えていたのが印象的だった。「Zepp DiverCityでライヴをやります」と発表してからのこの半年の間、彼女たちはこの日に向かってまっすぐ進んできた。そして、その道は平坦なものばかりではなかったかもしれない。時には、心が折れてしまいそうになっていたのかもしれない。しかし、彼女たちは進み続けた。
集大成であるこの日のライヴを、客席全体が大号泣するようなエモーショナルなものにすることもパピムズならばできたはず。しかし、この日はとにかく見ていてワクワクするような、本当に見ていて楽しいライヴだった。


なぜ、彼女たちは大きな挑戦をしてまで、Zepp DiverCityに立たなくてはならなかったのか。それはきっと、「パピムズがZepp DiverCityの舞台に立つ」という夢を人々に見せるためだったのだと思う。それは、もちろんライヴを見に来てくれる観客のためでもあり、オープニングアクトを務めたPetyとキャッチミーに先輩として背中を見せるためでもあり、この日客席に来ていたアイドルたちのためでもあり、応援してくれる家族や友人のため、そして、何より自分たちのためだ。だからこそ、この日のライヴは、夢のように楽しいものにする必要があったのだ。
この日の光景はきっと彼女たちの目に焼き付いて、ある日その思い出がフラッシュバックするだろう。Zepp DiverCityは目標であってゴールではない。パピプペポは難しいの夢は、まだまだこれからも醒めはしないのだ。

■セットリスト
パピプペポは難しいワンマンライブ2023〈フラッシュバック〉
2023年1月17日 at Zepp DiverCity
M1.ち・ちん・ぷい
M2.だるい日
M3.スーパーSAMURAI忍者・カラテマン
M4.パピプペポイズンLOVE中毒
M5.神様のきまぐれ
M6.ロンリーバード
M7.世界の終わりには牛丼つゆだくをあなたと食べたい
ワンダフルダンスショー
M8.ホニャララ・アンビシャス
M9.一軒家住みたいな
M10.ビバ・トーキョー
M11.決まりごと
M12.ワンダフル・パレード
M13.ようこそゴーストハウスへ
M14.アイマイニー
M15.charm
M16.ラブげっちゅ! -お誕生日のお歌-
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LIVE INFORMATION

〈パピムズFES〉
2023年6月10日(土)
下北沢ライヴハウス全5会場
会場:下北沢シャングリラ/下北沢ERA/下北沢MOSAiC / flowers LOFT / 下北沢CLUB251
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PROFILE
パピプペポは難しい

パピプペポは難しいは2018年6月にステージデビューし、都内を中心に活動しているエレクトリック・グループ。メンバーのカワシマユカが運営責任者とプロデュサーを務めており、曲の歌詞も担当している。「パピプペポは難しい」の名前のようにキャッチーで可愛くかっこいい楽曲と癖になる振付のライブパフォーマンスが魅力のグループである。
【公式HPはこちら】
https://www.ppppphm.com/
【公式ツイッターはこちら】
https://twitter.com/ppppphmofficial