「いいものを作ってる」だけでいいんだよ
──紆余曲折を経て、メンバーも変わって、コロナ禍もサバイブして。あえてこういう言い方しますけど、ここまでしてバンドをやるモチベーションってどこにありますか?
カイタ : やっぱり楽しいんだよね。作りたいものもまだあるし、「大変だな、嫌だな」と思ってたら続かないから。楽しいことが大事なんじゃないかな。
440 : このバンドは、リハが終わると毎回みんなで飲むんですよ。これはけっこう珍しいことで。飲み会がやりたくてやってるわけじゃないんだけど、ちゃんと楽しくしようとしてるというか。重要なことだと思いますね。
カイタ : 突き詰めすぎると壊れちゃうものもあるし、続けていけないからね。
──コジマさんはどうですか?
コジマ : うーん、カイタほど「楽しいから」とはパッと言い切れないかもしれない。
──むしろ、「カイタがやってるからやってる」に近い?
コジマ : それはありますね。この人がやるならやるよっていう。趣味的に楽しいからやってるんじゃなくて、楽しくないと続かないし、続かないと新しいものも作れない。そういう感じですかね。
──こういったオルタナティブなバンドを続ける理由を聞かれて、説明してもわかってもらえないこともけっこうありますよね。「コスパ悪くない?」みたいな(笑)。一方で、「なんで説明しなくちゃいけないんだよ?」とも思うんです。
カイタ : ああ、そうだね。いいもの作ってるからいいんだよ。「メジャーよりおれらのほうがかっこいいじゃん」って。それだけでいいよ。
440 : 音を出すだけで単純に楽しいってこともあるから。普通に曲作るだけなら、スタジオにあんなにでかいアンプもドラムセットもいらないけど、大きい音が気持ちいいっていう(笑)。
──ライヴが減って、「楽しい!」を実感できる機会が少なくなったのはキツかったですか?
カイタ : やっぱりしんどかったよね。
コジマ : ただスタジオ入って練習してるだけだとね。
──そういう意味だと、このアルバムがあったのはよかったかもしれないですね。
カイタ : そうだね!「これをリリースするまでは解散できない」っていうモチベーションになったかもしれない(笑)。
コジマ : 確かに(笑)。
440 : まだなかなかライヴにも行きづらい人も多いと思うんで、「来たら楽しいよ」とは言いたいですね。レコ発もあるんで。
カイタ : ちゃんとデジパック仕様にして、ブックレットもこだわって作ったからCDで聴いてほしいですよ。サブスクでしか音楽聴かない人もいると思うけど、ピピピッてやってるだけだと記憶に残らないから。
──「CDを買う」ことも含めて音楽体験になると。
カイタ : そうそう。そういえば、10年前のアルバムと聴き比べてさ、「さぞかしギターとか上手くなってるだろう」と思ったら、全く変わってなかった(笑)。技術的には全然進歩してないんだけど、めちゃくちゃいいアルバムになったから。手に取ってほしいですよ。

編集 : 西田健
worst taste、10年ぶりのアルバム『悪夢に笑え!』
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worst taste ディスコグラフィー
PROFILE:worst taste

2001年埼玉で結成された三人組オルタナティブパンクバンド。
これまでに三枚のアルバムをリリース、ライヴイベント「東京BOREDOM」の立ち上げに参加。
幾多のメンバーチェンジ、渡米、失踪、等を経たのち2016年現在の編成で再始動。
もはや若手ではなくなった今も便宜の彼岸で吠え続ける男タナカカイタを中心に繰り出される、すべての生き急ぐ人生のチンピラたちのための音楽。逃避行は終わらない。
Twitter : https://twitter.com/_WORSTTASTE_
website : https://worsttaste1.tumblr.com/
bandcamp : https://call-and-response.bandcamp.com/album/--3