タイトル決まるまでに半年かかった
──2014年にはSpacial Magicのライヴ盤がリリースされてますね。
カイタ : 2012年と2013年の活動をまとめておこうと思って。そのレコ発でいったん区切りになったんですよね。タニくんも京都に引っ越すことになり、MEMAIも辞めると。そこで440くんとサエキくん(Ba、jailbird Y)を誘ったんだよね。
440 : サポート・ドラムのつもりで引き受けたら、「今までの曲はもうやらない。ライヴは全部新曲でやる」って言われて。ライヴまで2ヶ月くらいしかないのに(笑)。
コジマ : 区切りもついたし、新しいモードでやったほうがいいってなったんですよね。
カイタ : めっちゃがんばって2ヶ月で6曲くらい作って、ライヴやったら観にきた人に「この10年で一番良くないライヴだった」って言われた(笑)。
──コジマさんが日本に帰ったきたのはこの時期ですか?
コジマ : いえ、当初は2年の予定だったんですけど、結局3年半アメリカにいました。
440 : 「来年コジマが帰ってくるから」って言われて参加したのに、全然帰ってこない(笑)。
カイタ : dead kくん(Gt、Green Mlik from the Planet Orange)に入ってもらってベースレス編成になったり、宮武さん(Han Han Art)に電子オルガン弾いてもらったりしながら、コジマが帰ってきたのが2015年の11月。worst tasteとして活動を再開したのが2016年の春でした。
──今までは新しい編成になってもすぐにライヴをやってましたが、このタイミングでは準備期間があったんですね。
カイタ : おれはすぐやりたかったけど、コジマが嫌がってた。
コジマ : 「全然よくない」とか言われたくなかったから(笑)。
──3年半ぶりにバンドに合流してどうでした?
コジマ : 思ったより違和感なくできるなと。離れていたぶん、俯瞰的にバンドを見ることもできるようになって、それもプラスに働いたかなと思います。あと、カイタの機材が増えてた(笑)。
──経済的に安定してきたのもあるんじゃないですか?このころ、「カイタが仕事で覚醒して稼いでるらしい」という噂がライヴハウスシーンに流れてました(笑)。
カイタ : ああ、そうかも(笑)。Special Magicのときにベースがいないから色んな音を出したくて機材はいろいろ買ったかな。DJも入ったから機材は色々興味が出てきて。もう今はめんどくさくてあんまり持っていくこともなくなったけど。
──再開してからは順調でした?
コジマ : 2016年は「worst taste復活!」みたいな盛り上がりがあったんですけど、2017年から2018年に『ウルトラパワー』のカセットをリリースするまでが一番辛かったかもしれないです。worst tasteで昔に作った曲、Special Magicで作った曲、再開してから作っている新曲という、持ち曲に3つの時間軸が出来ちゃって、それをすり合わせるのがなかなか大変で。メンバーのモチベーションも下がってる時期だったんですよね。
カイタ : そうだっけ?楽しかった気がするけどな。
コジマ : いやいや、カイタも下がってたよ(笑)。仕事でもトラブってたみたいで、自分もフラストレーションが溜まってたし、「家行くから、今から話そう」って押しかけたりしました。
──そういう話し合いってものすごく大事ですよね。それぞれの仕事や生活があって、ライフステージも変化していく年齢でもありますし。特にビジネスとして音楽をやっているわけではないし、ちゃんとモチベーションを確認する手間を惜しんでフェードアウトしちゃうバンドもたくさんいますから。
コジマ : そうやってなんとか続けつつ、2017年末くらいに「ウルトラパワー」が出来て、パンって抜けた感じがしたんですよ。この曲はカイタがけっこうアレンジを固めた状態で持ってきたのもあるけど、すんなり完成したんですね。カセットリリースしようという話は前からあって、既存の曲をレコーディングするつもりだったけど「ウルトラパワー」にしようと。
──そこからは今作『悪夢に笑え!』のモードになり、ライヴを重ねつつ曲を増やしていったんですね。このアルバムは2020年初頭の録音なんですよね?
440 : コロナでいろんなことがストップする前だったから、2020年の3月ですね。緊急事態宣言が出る前にギリギリ全曲録れたっていう。
──「アルバムも録って、これからリリースして新しいモードでツアーだ!」と思った矢先に、コロナ禍に突入してしまったと。
カイタ : そう。集まれなくなっちゃったから、ミックスとマスタリングも出来なくなって、音源が完成したのは6月終わりくらいだったかな。
コジマ : そこから2年経っちゃったね(笑)。
カイタ : あの時期は自主企画とかイベントも中止とか延期とかよくなってたから。「今じゃないな」って。
コジマ : アルバムタイトルを決めるのにも時間がかかったんです。いつもはカイタが「これにするから」って持ってきてそれに決まるんですけど。
カイタ : コジマが「タイトルは『Special Magic』がいいと思う」って言ってたんですけど、おれは嫌だったから(笑)。
コジマ : それでタイトルが決まるのに半年かかって、そこからジャケットとかの作業を始めてまた半年、レーベル業務をCALL AND RESPONSE RECORDSに頼んでまた半年、でやっとこのタイミングになった感じかな。
──あれ?だったらここまでリリースが延びたのは、コロナあんまり関係ない?
カイタ : まあ……、そうかも(笑)。
コジマ : でも、結果的にレコ発も出来そうだし、今でよかったですよ。
