INTERVIEW :fhána
2023年5月31日(水)にfhána、17枚目にしてレーベル移籍後初となるシングル『Runaway World』がリリースされる。同曲はTVアニメ『逃走中 グレートミッション』の主題歌にタイアップされており、原作は放送開始より19年続く人気バラエティ番組という事でご存知の方も多いと思うが、そんな作品のテーマに沿ったアグレッシブな疾走感は、爽快にすらも感じるアップテンポなナンバーに仕上がっている。メンバーの離脱、レーベル移籍と激動の1年を過ごしたfhánaがたどり着いた新境地について、佐藤純一、towana、kevin mitsunagaの口から語られた。
インタヴュー・文:前田勇介
“アニソンを作る醍醐味”を再認識できた
──レーベル移籍初のシングルという事で、伺いたい事はたくさんあるのですが、まずは今回のリリースについてからお願いします。これまで数多くのタイアップを担当されていますが、いわゆる“ニチアサ”の主題歌は初めてだと思います。制作する上や歌唱する際に心がけた点など、何かありますか?
佐藤純一(以下、佐藤):楽曲に向けてのアプローチとしては特別何かを変えた、というような事はないんですけど、やっぱりおっしゃる通り、基本これまで僕らがタイアップさせて頂いた作品は深夜アニメが多かったので、キッズ層というか、ファミリー向けのニチアサ枠でのタイアップは初だったので、新しい層に向けて僕らの音楽を届けることができたらいいなというのはまず思いましたね。
towana:端から見ていて思ったのは、今回は曲作りが難航してたんじゃないかな〜って。
──そうだったんですね!具体的にお聞きしてもよろしいですか?
佐藤:fhánaとしても、作曲家としても多くのアニメにタイアップを提供させて頂いてるんですけど、過去一でリテイクが多かったかもしれませんね(苦笑)。でも別にボツが多かったということではなくて”修正”ですね、曲の方向性みたいなものは一発でOKを頂けたんですけど、そこから細かい部分を詰めていく作業がとても多くて大変だった……と。
──fhánaとしてもレーベル移籍1発目ですし、気合いが入ると思います。
佐藤:実は、当初はもっと爽やかなイメージの曲だったんですけど、やっぱり”逃走中”ということなので、ハンターに追われる緊迫感だったり、バトル要素もあるので力強い感じなんかも取り入れようって話になったり。その作業をやっていたのがちょうど去年の年末から今年の年明けにかけてで、そういう意味でも思い出に残っていますし、いいものに仕上がったなと思っています。監督さんを始め、制作サイドとの「ああしたい、こうしたい」というやりとりが、自分らが思ってもいなかった方向へと音楽の魅力を高めてくれるので、そこにアニソンを作るおもしろさを感じているんですけど、久々にその醍醐味を再認識できましたね(笑)。
──長年、ギターを務めていらっしゃったyuxuki wagaさんの離脱もあり、バンドとしても変化があったと思うのですが、個人的にはそれでもやっぱり”fhánaらしさ”はブレずにしっかりと感じました。まさに”バトル要素の力強さ”の部分だと思うんですが、サビ終わりにかけてのギターが印象的で、今回レコーディングにはどなたが入られたんでしょうか?
佐藤:表題曲の『Runaway World』に関してはHoneyWorksの中西さんに、カップリング曲の『Spiral』はインナージャーニーの本多秀さんにお願いしました。
──後ほど伺おうと思っていたのですが、既に発表されているツアー『fhána Looking for the New World Tour 2023』の方にもサポートメンバーとして出演されますよね。
佐藤:そうなんです。中西さんは、何度か一緒にお仕事させて頂いた経験もありまして、人となりも分かっていますし、個人的に彼のギターが好きだったので、実は最初はツアーのギターをお願いしようと思ってオファーしたんですよ。その後に今回のシングルを制作することが決まりまして、それで楽曲の方にも中西さんに参加して頂く流れになった感じですね。本多さんも、もちろんお仕事をしたことがあるんですけど、彼はまだ21歳の若き才能で。でもアイデアも豊富でバンド感のある音を出すしグルーヴがしっかりしていて、素晴らしいギタリストです。