
あなたの見逃しているOTOTOYがここにある!
「つ、つ、つ、ついに出会ってしまった!! 俺はおまえを探していたんだー!!!!!!!!!!!!!!」
サーバーに刺さったハード・ディスクの隙間から、夜な夜な聞こえる、聞こえるはずのない奇声…… それは膨大なOTOTOYのアーカイヴ・データのなかを己の本能と嗅覚だけを便りに駆け巡る、ライター前田の声にならない声であった!
今週の発掘音源はこちら!!



加護亜依『no hesitAtIon』、『AI KAGO meets JAZZ ~The first door~』V.A.『キラキラ・魔女ッ娘・CLUV』
2004年の設立より、サーバーにたまりにたまったOTOTOYの膨大な音源のなかから、ライター前田が必死の形相で集めた、名音源、珍音源をみなさんに、ど、どーんと紹介いたします。いまや、OTOTOY以外では入手困難なあの音源から、いまこそドンピシャなレア・グルーヴな音源まで、男、前田が、あなたに変わって見つけ、真心こめてご紹介します。
OTOTOY編集部も驚きの好評をいただいているため、前回バナーなどをリニューアル! TOKYO NEW WAVE3連発と異色の芸人音源の後、どんな音源が待っているのか… 。ちなみに、当コーナー、ネタが尽きたら終わりです。なので、ユーザーのみなさんのお力をぜひともお借りしたい! みなさんの発掘タレコミ、心よりお待ちしております!! (敬礼)
文 : 前田将博
第5回 加護亜依『no hesitAtIon』、『AI KAGO meets JAZZ』+α
加護亜依 / no hesitAtIon
【配信価格】
mp3 単曲 200円 / まとめ購入 800円
【Track List】
1. no hesitAtIon / 2. Children of the night / 3. no hesitAtIon(カラオケ) / 4. Children of the night(カラオケ)
加護亜依 / AI KAGO meets JAZZ ~The first door~
【配信価格】
mp3 単曲 150円 / まとめ購入 1,500円
【Track List】
1. HOW HIGH THE MOON / 2. NIGHT AND DAY / 3. BLUE MOON / 4. SUNNY / 5. YOU' D BE SO NICE TO COME HOME / 6. SOMEONE TO WATCH OVER ME / 7. WHEN YOU WISH UPON A STAR / 8. FLY ME TO THE MOON / 9. OVER THE RAINBOW / 10. ALL OF ME / 11. 17才よさようなら
こちらの作品にも参加! V.A. / キラキラ・魔女ッ娘・CLUV
【配信価格】
mp3 単曲 150円 / まとめ購入 1,800円
【加護亜依の参加楽曲】
2. ラムのラブソング (加護亜依 × Mr.Hardgroove(Public Enemy) / 16. ひみつのアッコちゃん (加護亜依 × Paolo Scotti)
結婚や妊娠ごときで、彼女が残した多くの名曲の数々の価値が揺らぐわけではない。
第5回に紹介する音源は、前回のエスパー伊東に引き続き、OTOTOYのイメージからは少し意外な音源でしょう。加護亜依が2009年にリリースしたシングル『no hesitAtIon』である。いまでこそ、BiSやベルハーをはじめとした数多くのアイドルを配信しているOTOTOYではあるが、これが発売された当時はまだほとんどその手の音源を取り扱っていなかった。加護は2000年にモーニング娘。に第4期メンバーとして加入後、その秀でた歌唱力と甘い歌声が買われ、タンポポやミニモニ。、W(ダブルユー)などの数多くのユニットに参加。その後、2004年にモーニング娘。を卒業、2007年に芸能活動停止。このシングルは、彼女の芸能活動復帰後、初の音源であった。
表題曲は、まるでGLAYのように爽やかなギターのイントロからはじまり、サビで一気に弾けるキャッチーなメロディが心を掴む、純度の高いアイドル・ポップス。モーニング娘。時代に聴くことができた加護の透き通るような歌声は健在で、あの頃から少しだけ色気を増している。歌詞は彼女自身によるもので、〈曇り空を追い越したら / どこにだって行けるから〉という、芸能界復帰への前向きな思いが綴られている。この曲のMVでは、ミニモニ。の頃から大人になった、少しドキドキするような彼女の仕草や表情を観ることができる。胸がキュンキュンするので、視聴する際は気をつけたほうがいいだろう。
ところで、今回、加護亜依の音源を紹介するにあたって、ひとつ話しておかなければならないことがある。私と彼女との出会いについてだ。これまで紹介してきた音源は、どれも個人的に好きなアーティストばかりだ。例に漏れず、加護もその1人だ。
私は学生時代、アイドルが大嫌いだった。好きなバンドとアイドルが同じチャートに入っているだけで吐き気がした。 「なぜ、こいつらと同じフィールドで私の好きな音楽が評価されなければならないのか」、「やつらが日本の音楽シーンをダメにしている」と蔑視していた。テレビに出ているアイドルを目にすれば、その瞬間にチャンネルを変えた。加護とは、そんなときに出会った。それは忘れもしない2001年、いまから12年前のことだ。
時代は21世紀へと突入したばかり。LUNA SEAやJUDY AND MARY、THE YELLOW MONKEYなど、90年代に活躍していたドーム・クラスの大物バンドが次々に活動休止や解散を発表。インディーズ・シーンではHi-STANDARDが築き上げた礎のもと、MONGOL800やGOING STEADYなど、次世代を担おうとする熱を帯びたメロコア、パンク・バンドが次々と頭角を現していた。私も、当時はそんなバンドたちに熱中していた。
その頃、メジャー・シーンでは浜崎あゆみと宇多田ヒカルが火花を散らし、モーニング娘。を中心としたハロー! プロジェクト(以下、ハロプロ)のアイドルたちが一時代を築こうとしていた。そんななか、2001年に加護が参加しているハロプロのユニット、ミニモニ。が結成される。デビュー曲は「ミニモニ。ジャンケンぴょん! 」。ますますアイドルが嫌いになった。音楽を、いや、人類そのものを舐めているように感じた。しかし、オリコン・チャートでは堂々たる1位を獲得。もうこの国の音楽は終わりだ。むしろ、この世の終わりだ。私はそう確信した。
ある日、テレビに大嫌いな「ミニモニ。じゃんけんぴょん!」のMVが流れていた。「またこの曲か、くだらない、早くチャンネルを変えよう」。 そう思い、テレビの画面に目をやったその時だった。
「… な、なんだ… これは…!!!!!!!」
私は、それまで生きてきたなかで味わったことのない不思議な感覚に見舞われていた。自らの胸の奥から湧き上がる奇妙な暖かい感情。それを抑える事ができなかった。テレビ画面には、制服、ツイン・テール、眼鏡の加護亜依が映っていた。
「いや、まさか… ちょっと待て… これは俺の大嫌いなミニモニ。ではないか…。お前はいままで自分が愛してきた音楽を裏切るのか!?」
認めたくはなかった。だが、認めざるを得なかった。そう、この胸の奥から湧き上がる感情。それは間違いなく、恋だった。私は、加護亜依に恋をした。
その日から私の人生は変わった。テレビでは、いつも加護の姿を探した。モーニング娘。をはじめとした、ハロプロのアイドルのCDを集めた。改めて聴いてみると、どれも名曲ばかりだった。ますます好きになった。ミニモニ。の一見ふざけたように雑多な音楽性も、音楽業界に対する新たな挑戦なのだと思うようになった。これは、加護の革命なのだ。
ファンクラブにも入り、ライヴにも行った。暗闇の中で沢山のサイリウムが輝いていた。ステージの上の加護は誰よりも眩い輝きを放ち、客は皆「オイ! オイ!」と絶叫していた。これこそ、私が長年探し求めていた本物のパンクだと悟った。気づけば私も夢中で叫んでいた。ハロプロの全てに魅了された私は、モーニング娘。やタンポポ、松浦亜弥、メロン記念日、藤本美貴の曲を、毎日狂ったように爆音で聴いた。そう、加護亜依は、間違いなく私の青春だった。
閑話休題。
その後、活動休止期間を経て、加護は冒頭の『no hesitAtIon』のほかに2枚の音源をリリースしている。加護亜依の高い歌唱力を存分に堪能できるジャズのカヴァー・アルバム『AI KAGO meets JAZZ ~The first door~』。そして、エレクトロ・アレンジされた魔女っ娘アニメの主題歌をキュートに歌い上げたオムニバス・アルバム『キラキラ・魔女ッ娘・CLUV』だ。どちらの音源も、OTOTOYで配信されている。
ちなみに、加護亜依は結婚、妊娠したこともあり、これ以降に音源のリリースはない。私は、彼女が幸せであればそれでいいと思っている。結婚や妊娠ごときで、彼女が残した多くの名曲の数々の価値が揺らぐわけではない。しかし、これで彼女の才能あふれる歌声が聴けなくなってしまうのはあまりにも惜しい。だからこそ、彼女の歌手活動の復帰を、いつまでも待ち続けようと思う。そのときは、ぜひともまたOTOTOYで配信させてほしい。その日が来るまで、『no hesitAtIon』を皆でエンドレス・リピートし続けよう。加護亜依よ、青春をありがとう。
PROFILE
加護亜依
モーニング娘。の元メンバー (4期)。休止期間を挟み、現在は女優、歌手、タレントを兼任して活動中。
>> Twitter : @lovbus
>> 加護亜依オフィシャルブログ
Wr.前田がこれまで発掘したレア音源はこちら
第1回 東京カランコロン『東京カランコロン』
第2回 オワリカラ『OWARIKARA 2009 DEMO CD 3rd』
第3回 太平洋不知火楽団『live@shinjuku motion』、『そうだ、海え帰ろう!!』
第4回 エスパー伊東『バイク王』