
2013/3/6~3/13の注目4作品をレビュー!!
もう春も間近!! そんな新しいシーズンを迎えようとしているこの時期にふさわしい音源たちが続々とリリース! 興味はあるけど、全部は聴いていられない! そんなあなたのために、このコーナーでは、OTOTOY編集部がオススメする今週の推薦盤を2~3枚ピックアップし、ライターによるレビューと共にご紹介いたします。 音源を試聴しながらレビューを読んで、ゆったりとした時間をお楽しみください。あなたと素敵な音楽の出会いがありますよう。
アナログフィッシュ『NEWCLEAR』
アナログフィッシュ / NEWCLEAR
【配信形式】
mp3
【価格】
単曲 200円 / アルバム 2,000円
アナログフィッシュの新作、『NEWCLEAR』がリリースされた。前回のベスト盤から1年、フル・アルバムとしては1年半ぶりとなる。前回のフル・アルバム『荒野/On the Wild Side』が好評を得て、NO NUKES 2012への出演を果たしたり、今作に収録されている楽曲「抱きしめて」が後藤正文(ASIAN KUNG-FUGENERATION)が発行するTHE FUTURE TIMESにて、フリー・ダウンロード配信されるなど、ますます注目が集まっている。1曲目の「Super Structure」からこのアルバムの世界に引き込まれてしまう。下岡晃(Vo、G)の書く物語のような歌詞、そしてシンプルながら研ぎ澄まされ、時々ハッとさせられる演奏は素晴らしい。アナログフィッシュの曲は、自分の中にすっと入り込み、自分を物語の主人公へと当てはめてしまう。とても伝わりやすいのだ。6曲目の「奇跡のような日」では作詞が下岡で、歌っているのは佐々木健太郎(Vo、B)となっていて、佐々木の力強い声が楽しめる。そして7曲目の「I say」に出てくる“愛されたいより愛せ”というフレーズが胸に残る。この曲は遊び心もありながら、確かなメッセージがある。このアルバムは多くの人に聴いてもらいたい。そして今一度、生きること、愛することについて考えて欲しい。(text by 益子直人)
KEYTALK『ONE SHOT WONDER』
KEYTALK / ONE SHOT WONDER
【配信形式】
mp3
【価格】
単曲 200円 / アルバム 2,000円
で語っていたように、KEYTALKの人気を一気に押し上げたのは、耳に残るメロディーとわかりやすい曲展開でライヴ映えしていた「トラベリング」だった。「トラベリング」から3年、待望のフル・アルバムとなる今作に収録されている楽曲の中で、ド直球なダンス・ナンバーは「S.H.S.S.」くらいだ。暖かい歌声に包まれるバラードの「茜色」、激情系ポスト・ロックのようなリフと曲展開を見せる「B型」、王道ポップの「summer tail」など、2種類の声、2種類のギター、変幻自在のリズム隊を駆使して、楽曲の幅広さを見せつけている。各パートが自由に動き回っている中でも、筋の通ったKEYTALKらしさが貫かれているのは、楽曲の中心にいるキャッチーなメロディーのせいだろう。各パートのテクニカルな絡み合いや、キメキメのリズム・パターンも、メロディーのお陰ですんなりと受け入れられる。3月から6都市でのワンマン・ライヴを含めた全国ツアーに出る彼ら。これからもKEYTALKの挑戦は続き、それが誰にも止められないことを確信させてくれる、そんなエネルギーと可能性に満ちた一枚だ。(text by 櫻井希)
PLAGUES『Swamp riding』
PLAGUES / Swamp riding
【配信形式】
mp3
【価格】
単曲 200円 / アルバム 2,400円
本作は、今年でデビュー20周年を迎えるPLAGUESの歴史を総括するベスト・アルバム。インディーズ期から現在に至るまでに世に放たれた数々の代表曲に加え、アルバム未収録曲、新曲まで収録した、まさにアーカイヴ的な作品となった。様々な年代の曲がランダムに散りばめられているが、全曲新録ということもあり、通して聴いても全く違和感がない。それどころか、まるで1枚のオリジナル・アルバムを聴いているようなストーリー性すら感じる。インディーズ期から一貫されたクオリィティの高いサウンドと情緒的なメロディ、そして絶品のギター・ソロは、PLAGUESの時代を超えた普遍性を改めて認識させられた。90年代を駆け抜けた後に8年間の休暇期間を経て、2010年代に再び再始動したPLAGUESは、今後も時代を超えたロックを掻き鳴らしてくれると確信できる。共に時代を生きた3~40代はもちろん、ロックを聴き始めたばかりの世代にも、充分なインパクトを与えられる作品となっている。(text by 前田将博)
ゲスの極み乙女。『ドレスの脱ぎ方』
ゲスの極み乙女。 / ドレスの脱ぎ方
【配信形式】
mp3
【価格】
単曲 200円 / アルバム 750円
indigo la End のヴォーカルでもあるMC.K(川谷絵音)を中心にした、ヒップ・ホップ・プログレ・バンド、ゲスの極み乙女。が1st EPをリリースした。最近ではオルタナティヴな音楽は増え、その種類にも限度が出来てきたのではないかと思っていたが、また新しいものが出てきた。あの透き通るような声は健在ではあるが、indigoの時とはヴォーカルの雰囲気が異なっており、MC.Kの声や歌い方の幅広さを感じ取れる。このバンドは、インディーズの頃から話題を集めており、今回のEPがより多くの人の元に届き、どのように受け取られるのかがとても楽しみである。リード曲である「ぶらっくパレード」では、綺麗だがどこか不穏な雰囲気のキーボード、低くうなるベース、力強いドラム、そして変幻自在な歌声は、一種のダンス・ミュージックのありかた。また曲を聴きながら、一緒に歌詞を口ずさみたくなってしまう。この1st EPの中には他に、メロディが美しい曲や、激しい曲などがあり、まだまだ音楽性の広がりを感じられる。曲を聴いていて、次にどんな展開が来るのか予想できないということも、ゲスの極み乙女。の特徴だろう。これから出てくるであろう新曲たちも、どんな角度から攻めてくるのか楽しみだ。(text by 益子直人)