CHIYORI, YAMAAN, MARIAPEPINOS 『OMEDETOU PARABIÉN』
LABEL:聚楽録音
つくばを拠点とするシンガー&プロデューサー・デュオ、CHIYORI・YAMAANが、チリ・サンティアゴ在住で、エキゾチックなビートやレトロ・ゲームのサントラ風ミュージックを多数リリースするMARIAPEPINOSとコラボした最新作。SNS上で互いの存在を認識し、そこからオンラインでやりとりをしながら2年ほどの制作期間を経て完成したそう。アンビエント・クンビア(?)にCHIYORIとMARIAPEPINOSのスウィートなボーカルが乗っかる“おめでとう PARABIÉN”や、瑞々しいバイレファンキの“WATER”と、前作『Mystic High』に続く大発明のオンパレードで、よりダンスに振り切った各リミックス作も最高。「水風呂」に入っている感じというか、室内のプールにチャッポリ浮かんでいる感覚というか、このムードは間違いなく専売特許。
Dolphin Chime 『Iconoclast EP』
LABEL:Full Dose
一筋縄ではいかないデジダブをリリースし続ける、グラスコー発〈Full Dose〉の最新リリースは、名前もリリースもいいダブ・アーティストのscopeotakuと、レーベル・メイトでもあるBrollachan、The Three Livesの片割れによる共同名義、Dolphin Chimeが手がけたEP。Lord Tuskを想起させる、サウンド・トラックぽい壮大さを秘めたレフトフィールド・ダブでもありつつ、どこかニューエイジ的なアプローチも感じられる絶妙なバランスの一枚。特に“Safe Passage”は、ダブワイズされたこそばゆいシンセと、しっかり出た低音&クラップとの相性が抜群。割と見落とされがちですが、作り込みが丁寧でかっこいいです。
Jay Glass Dubs『Resurgence』
LABEL:Sundial
先日の〈Folestlimit〉でのライヴも神秘的だったギリシャのダブ作家、Jay Glass Dubsの新作EPは、コソボの〈Sundial〉という新興レーベルから。前作と比べると、だいぶ落ち着いた印象。最小限に楽器を配置しているものの、これでもかと言わんばかりに反響し続けるディレイが全曲を通して覆いかぶさっており、“Hyperacousis (for Miles)”では、増幅する民族楽器の音色によって荘厳な神殿に急に飛ばされたような感覚に。ラストの“Swint”では、ちょうど聴いていたJabuとも通ずる、陶酔感のあるドリーム・ポップみをほんのり感じたり......。これを機に彼の過去作もざっくり聴いてみたのだけれど、ミニマルな設計なのに重層的な音の連なりが差し迫ってくる感覚は他作ではあまり感じられなかった。ゆえに新たな境地に達した予感。