V.A.『OPEN TAPES』
LABEL:OPEN TAPES
マンチェスターのレーベル〈OPEN TAPES〉、これまでのリリースはミックステープがほとんどだったが、今回リリースされたチャリティー・コンピがなかなかに最高ということでご紹介。振付師のBianca Scoutによる幽玄なアンビエント“The Last Guardian”から、デンボウのような、ダンスホールのようなキテレツ・トラック“DH4”、そして、Low End Activistみを感じさせるAlan Johnsonの“Masterna”や、レーベル・オーナー、Jack Leverがリミックスを手がけたゴシック調(?)ブレイクビーツ(いちばんビビッときました)などなど、全部で15トラック。アンビエント、ダブ、ノイズ、ポスト・パンクなどなど、表情豊かな顔触れながらも、みな一様に、空虚さをどことなく感じる、なんとも不思議なコンピレーション・アルバム。
Junior Loves『Redriff/Piper 32』
LABEL:5 GATE TEMPLE
ロンドン・アンダーグラウンド、John T. Gast主催の〈5 GATE TEMPLE〉最新作は、お馴染みのJunior Lovesが2020年以来のカムバック。前作「YANTLET / GRAIN」と比べると、やや高速化(BPM150+くらい)、A1に至ってはBPM157で、同じくロンドン〈SELN Recordings〉あたりからの影響なのか、むしろ影響を与えている側かもしれないがどちらにしろ今のトレンドっぽい。ハーメルンの笛吹きを想起させるかのような、不穏で頽廃的なシンセは健在ながらも力強いステッパー加減は後退し、弾みあるイーブン・キックの高速ダブ・テクノみのあるトラックは流石のプロダクション。特にB1では、キックと乾いたハイハットを器用に刻みながらずっと飽きがこない展開に。クオリティが高い分、リリース頻度を悔やむばかり......。
Ivan Robirosa『Country & Western』
LABEL: Wain Records
先の〈5 GATE TEMPLE〉や〈SELN Recordings〉とも極めて近い位置にいるであろう、〈Wain Records〉。というのもIvan Robirosaは〈SELN〉でもリリース、そして今作のリミックスはそのレーベル・ボス、DJ Gonzが手がけていたりと、恐らくかなり狭いコミュニティで、何かとみんな仲が良さそう。パーティーは〈Venue MOT〉、〈Ormside〉あたりで開催してることが多い。そして、このシングルもまた、彼らの中の流行りであろうスモーキーな高速ダブ・テクノで、先のJunior Lovesだと“Piper 32”と近い感じ。少しテンポを落とし、より催眠的で弾みが増したリミックスの方もかっこよいです。姉妹レーベルである、〈Jolly Discs〉、〈Loose Trax〉(現在休止中)も合わせてチェックを。