渋谷CLUB QUATTROはすごく大事な日になると思う
──(笑)。12月上旬公開予定の"泣きたくなるほど"のショートムービーも同じキャストさんなんですよね。
佐々木:そうです。そうやって曲同士がリンクしたりする演出はすごくおもしろいなと思います。
──この曲は"一目惚れかき消して"とは一転して、とても真っ直ぐな大きな愛情を歌った楽曲で。これまで佐々木さんがお書きになってきた歌詞とは、少し違う視点から描かれているように感じました。
佐々木:歌っていて泣きそうになる曲は少ないんですけど、 結構この曲はそうなんですよね。よくひとりで部屋にいるときに自分の現状について考えるんですけど、自分の周りの人たちは皆さん損得勘定ではなく、愛情で支えてくれているなと感じるんです。そうやって見返りを求めずに自分を支えてくれる人たちの存在に、自分がどれだけ救われているか。そんな人たちに自分はなにを返せるだろうか──そういう気持ちをストーリーに落とし込んだというか。やっぱり自分は自分のやりたいことで報われたいし、それでみんなに返したいんですよね。
──大人になったからこその視点かもしれないですね。
佐々木:ちょっと遅いですけどね(苦笑)。前作と今作の間で実家を出たので、それも影響しているかもしれない。一人暮らしをはじめたから書けた歌詞かなと思います。
──佐々木さんは以前から強い気持ちを表現するためにミニマムに書いている印象があるので、それの新しい切り口だと思いました。生音を活かしたミックスも、その精神性にぴったりで。
佐々木:ドライな音に仕上げてますね。エンジニアさんもここまで全部をドライにすることはなかなかないと言っていました。歌もブロックごとに区切って歌うのではなく、最初から最後まで通しで3、4回歌って、そこから選んでいく方法を取りました。
大野:バンド3人ではストリングスの入った王道のバラードを想像していたんですけど、レフティさんが「歌詞の具体的な描写に合わせて、生活感のあるドライなアレンジにしよう」というアイデアを出してくださって。昔だったらこういう録り方をするのはちょっと怖かったかも。
木田:昔の俺らだったら、多分レコーディングが終わってないね(笑)。
──"lowkey"のようなギター・リフの効いたオルタナ風アレンジや、“彗星”のような開けたバンド・サウンドなども、ライヴで迫力が出そうです。11月3日から〈リアクション ザ ブッタ Tour 2023 A/W〉がスタートしましたが、いかがでしょうか?
佐々木:10本続くツアーの初日は千葉LOOKで迎えたのですが、とにかくあっという間に駆け抜けた!という印象でした。Atomic Skipperが熱々にしてくれたフロアは自分たちの出番まで引き継がれてとにかく良い雰囲気でしたね。アルバムリリースから数日しか経っていない状態でも、ファンの皆んなが曲を覚えていてくれているのが伝わって、すごく興奮しました。きてくれたみんな、敬愛する千葉LOOK、店長のサイトウさんから背中を押されて旅立ったツアー初日は、ぐっと心に刻まれる日になりました。
木田:やはり負けたくない相手がいるというのはいいですね。対バンツアーの醍醐味をより感じています。個人的な印象だと、これまで仙台は歌をじっくり聴いてくれて、真剣な顔でライヴをみてくれる人が多い印象だったのですが、今回はいつもと違いました。アッパーな曲でお客さんの声や突き上げる拳やタオルがたくさん見られたんです。それはお客さんが変わったというより、自分たちのライヴが変わったからではないかと思いました。これまでは曲を伝えようとストイックになり過ぎていたんでしょうね。いまは楽しむ、共有するという気持ちが僕らのなかにあって、それがお客さんに伝播したのではないかと思いました。

大野:好きなバンドの仲間と一緒にツアーを周れること、そして観に来てくださるみなさんのおかげで、すごく伸び伸びとライヴが出来ている実感があって。はじまったばかりですが非常に良いツアーを周れています。この先、久々に自分たちのツアーで行ける土地も何ヶ所かあるのでとてもワクワクしています。ぜひ我々のライブを観ていただければ嬉しいです。

──ツアー残り5公演もいいライヴになりそうですね。
佐々木:今作にはライヴでしか味わえない感覚を出せる曲もあるし、「ライヴで聴くとこんな感じなんだ」と驚く曲もあるので、新曲たちと旧譜の曲の混ざり合いを楽しんでほしいですし、大好きなバンドばっかり声を掛けたので、対バンのみんなにも「こういう曲ができたんだぞ、見てくれよ」という気持ちで完走したいですね。
木田:エフェクターボードも1枚じゃ足りなくて2枚になったので、いろんな音色をライヴでも楽しんでもらえると思います。全箇所で「リアクション ザ ブッタってこんなにいろんなことできるんだな」と思ってもらえるライヴをしたいですね。
大野:音楽だけでなく人間としても好きなバンドばかりなんです。我々を目当てに来てくださったお客さんに、対バンを好きになってもらえたらすごくうれしいですね。
佐々木:対バンツアーでレベルアップできる手ごたえがありますね。それを来年の〈リアクション ザ ブッタ ONEMAN TOUR 2024〉にしっかりつなげていきたいです。全会場自分たちだけのライヴなので責任もあるし緊張もしますけど、楽しみたいしちゃんと頑張りたい。やっぱりファイナルの渋谷CLUB QUATTROはバンドという生き物にとっては特別なので、そういう会場にワンマンで立てることがうれしいです。いろんな気持ちが巻き起こるだろうから、いいかたちでツアーファイナルを迎えられたらと思いますね。しっかり埋めて次のステージに行きたいです。
──渋谷CLUB QUATTROはバンドマンにとっての登竜門でもあるので、ワンマンで立てる感慨もひとしおだろうなと。
木田:ずっと好きなバンドを観に行っていた場所だし、友達のバンドが渋谷CLUB QUATTROのワンマン成功させた後に規模をどんどん大きくしていったのをたくさん観てきていて。ここを成功させられるかさせられないかで、その後の加速度が変わってくると思うんです。すごく大事な日になると思います。
大野:先輩、同世代、後輩の渋谷CLUB QUATTROワンマンをたくさん観て来て、やっぱりずっと悔しかったんです。「なんであそこに立てるのが俺たちじゃないんだ」みたいな気持ちは、やっぱりずっと感じてた。だからそんな場所でワンマンができることが、うれしくて仕方がないんです。楽しみすぎるから頑張りたい。
──いまこのタイミングでその場所に立つからこそ、見せられるステージもあるでしょうしね。
木田:そうですね。いまの俺らは、ちょっと自信あります。

編集:梶野有希
思わず共感してしまうラヴ・ソングを収録
リアクション ザ ブッタの過去作はこちらから
ライヴ情報
〈リアクション ザ ブッタ Tour 2023 A/W〉
12月1日(金) 福岡 LIVE HOUSE OP’s
w/ osage
12月3日(日) 香川 高松TOONICE
w/ osage / Arakezuri
12月8日(金) 神奈川 横浜BAYSIS
w/ Organic Call / the quiet room
12月15日(金) 愛知 名古屋ell.FITS ALL
W/ なきごと
12月17日(日) 埼玉 西川口Live House Hearts
w/ YUTORI-SEDAI
※終了分は割愛
〈リアクション ザ ブッタ ONEMAN TOUR 2024〉
2024年2月3日(土)大阪府 Shangri-La
2024年2月4日(日)愛知県 ell.FITS ALL
2024年3月17日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
PROFILE:リアクション ザ ブッタ
2007年結成。埼玉県発3ピースバンド。
10代の頃からバンド選手権で入賞を重ね、〈ROCK IN JAPAN FES〉、〈COUNTDOWN JAPAN〉、〈ap bank fes〉、〈ARABAKI ROCK FEST〉、〈SUMMER SONIC〉、〈Music Matters 2019 at Singapore〉など、数々の大型フェスに出演を果たし、年々の知名度を上げている。2018年末にはTBS「CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ」にも出演。2022年に入ってからは楽曲が続々とタイアップに抜擢され、4月にはTBS ドラマストリーム「村井の恋」で初のドラマタイアップに決定。同曲のリリースツアーを開催し、ファイナル東京公演はソールドアウト。10月には初の無料ワンマンライブを東京にて開催、予想を超える応募数でチケット争奪戦となった。現在、TikTokを中心に<共感できる恋愛ソング>として「ドラマのあとで」楽曲が話題となり、Spotify日本のバイラルチャートに連日チャートインし最高位7位までランクイン、今もなお広がりを続けている。
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