お客さん目線で歌詞を書くようになった
──一方、LONGMANらしさ溢れる"Time is Life"は、作りやすさもありました?
ひらい:そうですね。これはもうTHE・LONGMAN! という感じの曲なので、イメージ通りできました。シンプルなメロコアも好きなので、ライヴを見据えているという意味でも、やっぱり外せなかったです。
── そうしたらしさ溢れる楽曲もあるなかで、やっぱり新しい試みが随所に散りばめられているなと思います。今回のコンセプトに関しても、タイアップという経験があったからこそ至ったテーマなのかなとも思いますし。
ひらい:それは間違いなくありますね。アニメやドラマに自分たちの新しい扉を開いてもらった気がします。歌詞に関しては、作品に寄り添って作るために分かりやすさを重視するようにもなりましたし。いままではあえて抽象的に書いてきた部分もあるんです。でもそこを払拭して、いかに分かりやすくお客さんがイメージしやすくなるか? ということを念頭に歌詞を書くようになりました。これまでは僕が思うように書いた歌詞を受け取ってもらったら、あとは聴いた人それぞれが自由に想像したり自分の生活に当てはめてみたりしてください、という投げ方をしていたんですけど、その壁を取っ払って、聴く人の目線で書くようになりました。
さわ:私たちはお客さんがいないと成り立たないので、その気持ちは強くあります。
──相手に伝わるように、という思いは、歌い方にも出ていると思いました。先ほどキャラクターに寄せつつ歌ったというさわさんのお話もありましたけど、その話を踏まえても、いままで以上にグッと伝わる歌になっていますね。
さわ:今作の歌録りは全部地元の愛媛で行ったんですよ。いままでは楽器も歌も全部東京で録っていたんですけど、今回は楽器だけを東京で録って、あとは地元でじっくり歌録りをするという方法にしたんです。それがもう、めちゃくちゃ良かったんです。これは革命的でした。
ひらい:時間の区切りがなくなったことで、いままでの何倍もリテイクすることができたのが大きいですね。歌だけで100時間以上録ってました。
さわ:個人的には特に"Red Scarf"には時間をかけましたね。歌詞も深い内容ですし、胸が締めつけられるストーリーなので、かなり感情移入しながら歌いました。あまりにも感情を込めすぎて、ひらいさんに「もうちょっと楽にしていいよ」と言われたりもして(笑)。
ひらい:ストーリー的にも最後はふたりが会えることを願っているので、少しの希望は残しておいて欲しかったんよ。あのままだと、そのまま再会できずに終わってしまいそうだったから。
ひらい:サウンド的にも、エンジニアさんと色々と試しながらやっていったので、いままでにはない前衛的で独特なサウンドになった曲だと思います。
さわ:ベースの音作りに関しても、いままでは曲自体のイメージに合わせて作ってきたんですけど、今回は「主人公に合わせて音を作っていく」というチャレンジをしました。例えば"プロローグ"では、まだ売れていないお笑い芸人のこれから登り詰めてやるぞ! という思いを汲んでギラギラした音にしてみたり、逆に"KOSSETSU!"では、あえてチープな音にしたり。それが楽しかったし、ハマったのが嬉しかったですね。レコーディングする順番もドラム→ベース→ギターなので、自由度も高くて良かったです。

──いちばん印象に残っているのは、どの曲の主人公に合わせた時ですか?
さわ:やっぱり"プロローグ"ですかね。この曲の歌詞の状況って、バンドにも同じことが言えると思うんですよ。なので、かなり密接に自分を重ねた節はあります。
──主人公に合わせてという点では“KOSSETSU!”で放たれる、ほりほりさんの言葉もかなり説得力ありますしね。
ひらい:あれは2テイクしたんですけどね(笑)。
ほりほり:真摯な気持ちは出てるよな(笑)。
── ははは! 挑戦的な作品でも、こうした外しの曲を入れるユーモアがLONGMANらしさだと思います。リリース前に先行試聴会を開催するという試みも、かなりおもしろいと思いましたし。
ひらい:そうですね。これはアニメの先行上映会から得た着想なんですよ。さらに、今作は自分たち自身で聴いていても興奮する内容になっているので、その気持ちをお客さんと共有できたら嬉しいなと思って企画しました。
さわ:今作はストーリーやコンセプトがしっかりとしている分、歌詞も読んでほしいという思いがいままで以上にあるし。
──改めて、今作を振り返っていかがですか?
ひらい:LONGMANらしさを盛り込みつつ、しっかりと新しいことができたと思っています。自分たちとしても自信を持って届けたいと思える作品になったので、より多くの人にLONGMANを知ってもらいたいし、聴いてほしいなと思います!
編集:梶野有希
12人の「10/4」を描いたコンセプト・アルバム
LIVE INFORMATION
LONGMAN 2MANLIVE〈寿司 2023〉 ※振替公演
日付:11月7日(火)
時間:OPEN 18:00 / START 18:30
場所:大阪・Music Club JANUS
ゲスト:KUZIRA
日付:11月19日(日)
時間:OPEN 17:00 / START 17:30
場所:愛媛・松山 WstudioRED
ゲスト:四星球
過去記事
過去音源
PROFILE : LONGMAN
四国、愛媛発の男女ツインヴォーカルパンクバンド。ひらい(Gt/Vo)、さわ(Ba/Vo)、ほりほり(Dr)のスリーピースで2012年より活動をスタート。インディーズで5枚のオリジナルアルバムをリリース。全国の大型フェスにも多数出場し話題となる。2019年11月にシングル「Wish on」でソニー・ミュージックレーベルズよりデビュー。2020年2月、ドラマ『ゆるキャン△』主題歌「Replay」を含むファーストアルバム『Just A Boy』をリリース。2021年5月にリリースのドラマ『ゆるキャン△2』オープニング主題歌「Hello Youth」を収録したミニアルバム『This is Youth』はオリコンデイリー4位を記録。最新作はテレビ朝日系24局ネットドラマ『やっぱそれ、よくないと思う。』主題歌「愛を信じたいんだ」。10月4日にメジャーセカンドフルアルバム『10/4』をリリース。
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