ライヴに繋がる1枚にしたいという絶対的な思いがあった
──そうした変化にも順応しつつ、変わらない部分ももちろんあって、その象徴が1曲目の"Opening"だなと思いました。
ひらい：そうですね。この作品が出る頃にはコロナ禍も終わっているといいなという期待も含めつつ、ここからみんなでブチ上がれるような、シンプルさと声出しを重視した曲になっています。
さわ：このアルバムを作る時の共通指針として、ライヴに繋がる1枚にしたいという絶対的な思いがあったんです。
ひらい：そうそう。規制があったライヴハウスでの3年間をひっくり返せるようなパワーを込めた作品にしたかったんですよね。
──LONGMANが理想とするライヴというのは、みんなで声を出して歌えるような光景？
ひらい：はい。ライヴというのはみんなでひとつになる空間であり、ライヴハウスでしか生み出せないエネルギーが間違いなくあると思っています。
──その思いが、掛け声が散りばめられている次の"Festa"にも継承されていますよね。この曲の主人公は、高校生最後の学園祭でライヴをする男の子だということも含めて。
さわ：この曲の主人公のイメージというのが、普段は大人しい男の子が、最後の学祭ではっちゃける！ というものだったので、レコーディングで歌っている時も、自分が主役だ！ という気持ちを全面に出して録りました。
──今作は、各曲の主人公のキャラクターに寄せた上で、歌い方もそれぞれ変えていったんですか？
ひらい：いや……僕は、Vaundyさんに寄せてました。
全員：（笑）。
ひらい：あとは、パンクの可能性を広げてくれたマシン・ガン・ケリーも意識しました。そのふたりが自分にとっていい歌を歌う二大巨頭なので。
ほりほり：ドラムに関しては、サウンド的には結構前に出つつ、洋楽ライクと言いますか、ドライな音作りに尽力しました。ドラムの輪郭も出ているし、聴きやすい部分があると思います。でもまあ、僕、骨折してしまったので……。
ひらい：出た！
さわ：レコーディング飛ばしてるからね！
──いまはもう大丈夫？
ほりほり：ワイヤーは入ってるんですけど、大丈夫です！
さわ：そんなバタバタした状態で進んだんですけど、音に関しては、いままででいちばんいいものができましたね。
ひらい：めちゃくちゃいいよな。
さわ：今作は曲によって、音をガラリと変えているんです。音に詳しくなくても、絶対楽しめるはずです。
──ほりほりさん、ドラムの音作り的にいちばん好きな曲はなんですか？
ほりほり：曲的には"spiral"がいちばん好きですけど、ドラムのサウンド的には"Red Scarf"がイチオシですね。
ひらい：へえ、そうなんだ。聴いてみよ。
ほりほり：え？ いま？
さわ：（笑）。私はドラム的には"Break Up"だなー！
ほりほり：分かる。マイナー調の曲の方が、ドラムのスネアの感じがハマる気がするよな。歌詞も日本語だし。
ひらい：実はいままでマイナー調の曲は英詞で歌っていたんですけど、今回はマイナー調での日本詞に初挑戦してみたんですよ。
──"Brake Up"で試みたその挑戦は、自分にとって革新的だった？
ひらい：そうですね。やっぱりメロディーがどうしても暗くなってしまうので、難しかったです。でもマイナー調でパンクなサウンドに日本語詞、なおかつラヴ・ソングという曲はあまりないと思うので、今回攻めてみました。上手くできて良かったです（笑）。
ほりほり：バンドとしてもターニングポイントになる今作で、この挑戦ができたことはデカかったよな。
