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REPORT :〈B.O.L.T 「The LAST」〉

取材&文 : 西田健
寂しさよりも楽しさが勝つ。これはライヴ終盤のMCで、内藤るなが発した言葉だ。その言葉の通り、彼女たちは寂しさを感じさせないほど、いままででいちばん明るく元気に音楽を届けていた。
2023年4月15日。都内に春の雨が降り注いだこの日。4人組アイドルグループ、B.O.L.Tが解散ライヴ、「The LAST」を開催。その3年9ヶ月の活動にピリオドを打った。
B.O.L.Tは2019年、ロッカジャポニカの後継グループとして誕生。元ロッカジャポニカの内藤るなと高井千帆に、結成当時小学生だった青山菜花と白浜あやの2人(通称、あやなの)を加えた4人で主に活動を行なってきた。活動を始めた当初は、あやなのの2人はランドセルを背負ったままレッスンに来ることもあったという。OTOTOYでは、ファースト・アルバム『POP』のリリースのタイミングから彼女たちの活動を追っているが、初期の頃はインタヴューのときもライヴのときも、まだまだ初々しさがあったのは事実だ。しかし、彼女たちはいつのまにか大きく成長した。その年の差を感じさせないほど、仲の良い4人の関係性が徐々に出来上がり、それが表情やパフォーマンスにも表れていた。

開演前には、その最後の姿を一目見ようと、会場には多くのファンが集まっていた。チケットはソールドアウト。満員である。定刻を迎え、これまでのMVがスクリーンに流れ出すと、歓声が上がった。ステージ後方に設置されたスクリーンが上昇し、ファンからのメッセージが大量に書かれたバックドロップ幕が現れると、メンバー4人が登場。最後のライヴが始まった。セットリストの1曲目は彼女たちのはじまりの曲、「星の降る街」。会場中に4人の気合いの入った歌声が響きわたっていた。
この日のライヴは声出し可能ということで、彼女たちの最後の晴れ舞台にたくさんの声援が送られていた。B.O.L.Tは、コロナ禍を駆け抜けたグループでもある。2020年以降のライヴはほとんどが声出しNGの状態での開催だったこともあり、ファンの多くは久しぶり、いやはじめての声出し可能のライヴを経験した人も多かったのではないだろうか。その声にはしっかり熱がこもっていた。


B.O.L.Tの楽曲の軸は、メロコアを中心としたロック・サウンドである。BPMも速く、かなり激しい楽曲も多いが、B.O.L.Tの4人はそれらを歌声によって、ポップにカラフルに彩っていく。彼女たち自身が常に前向きでポジティヴだからこそ、楽曲には輝きが増していく。彼女たちのライヴには、いつも元気をもらえるのだが、この日はそれ以上に、明るく笑顔でパフォーマンスをしているように感じられた。
また、B.O.L.Tのライヴにおいて最もすごさを感じるのは、MCの空気感である。前述の通り、その仲の良さには一切、年の差を感じさせない。のだが、一方で年の差を活かしたトーク術も持っているのが彼女たちだ。年少組から年長組へのツッコミも冴え渡っているし、それを受けての返しにも愛を感じる。自身のラジオ番組「B.O.L.Tの100万ボルト」でも、しっかりとしたワードセンスを発揮していた。この空気感を体感できなくなるのは、正直少し寂しい。しかし、これから先、そういう分野での活躍も期待できるのではないかと個人的には思っている。


彼女たちは、怒涛の勢いで渾身の歌を届け続けていく。本編を“夜を抜け出して”で終えてステージを去ると、そこかしこからアンコールの声が。それは「まだ終わってほしくない」という心の声のようにも聞こえた。やがて、その声に応えるように4人が再び現れると、“寝具でSING A SONG”を披露。この日1番のシンガロングで、客席全体がひとつになっていた。
歌い終えると、彼女たちはひとりずつ想いを語る。3年9ヶ月。これまで彼女たちが過ごした日々は、かけがえのない時間だったに違いない。それぞれが目に涙を浮かべながら、しっかりと素直な感謝のことばを口にしていく。彼女たちがこの日泣いていたのは、このMCの間だけだった気がする。その言葉には一切の嘘はなかった。
そのあと印象的だったのは、大号泣してしまったメンバーが、ステージ上で鼻を噛むシーンだ。しんみりすることもなく、「最後だし、別にいっか」と、平常心で話す彼女たちの姿がすごく良かった。特にカッコつけることもなく、最後の最後まで自然体の4人だった。

アンコールは、“スマイルフラワー”、“OUR COLOR”と続き、自分たちの色である笑顔の大きな花を咲かせていた。ここまで披露してきたのは、持ち曲の全て37曲。彼女たちはこれまでB.O.L.Tとして世に出してきた全ての曲をパフォーマンスしたのである。約3時間に及ぶ、魂のライヴだった。
そして、彼女たちがステージを後にすると、客席からは再びアンコールの声が響く。ダブルアンコールである。彼女たちがいかに愛されてきたのか、それがしっかり伝わってきた。改めて姿を見せた彼女たちが披露したのは、この日の最初に歌った「星の降る街」。これまでの全てを出し切って、完全燃焼でB.O.L.Tの解散ライヴ、「The LAST」は幕を閉じた。

終演後、活動初期から、これまでの活動を振り返る映像がスクリーンに映し出された。そのB.O.L.Tの記録は、彼女たちの成長の記録でもある。最後には、メンバー4人の直筆の感謝のメッセージが心にグッときた。
会場を出ると、雨が止んでいた。「雨のち晴れ」を披露する前に、メンバーの青山菜花が「明日から私たちが行く道にも、皆さんが行く道にも光が降り注ぐことを祈っています」という言葉を紡いでいたことが思い出された。この言葉の通り、彼女たちの行く道にも、大きな光が降り注ぐことだろう。きっと、これからもずっと。

セットリスト : B.O.L.T 「The LAST」
2023年4月15日 KANDA SQUARE HALL
01. 星の降る街
02. ここから
03. 夜更けのプロローグ
04. 宙に浮くぐらい
05. Make Up
06. D.T.F.
07. Don't Blink
08. Yummy!
09. More Fantastic
10. JUST NOD
11. Catch The Rainbow
12. SLEEPY BUSTERS
13. New Day Rising
14. BON-NO BORN
15. BY MY SIDE
16. 未完成呼吸
17. Hear You
18. HOT CAKE
19. スーパースター
20. axis
21. 雨のち晴れ
22. 風を抱きしめて
23. わたし色のトビラ
24. 足音
25. USHIRO-META-I
26. Accent
27. Reborn
28. まわりみち
29. One Life
30. 淡い空
31. 夕日の後の夜に
32. 夜を抜け出して
<アンコール>
33. 寝具でSING A SONG
34. Please Together
35. スマイルフラワー
36. OUR COLOR
<ダブルアンコール>
37. 星の降る街
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B.O.L.T ディスコグラフィー
PROFILE:B.O.L.T

内藤るな・高井千帆・青山菜花・白浜あや4人によるアイドルグループ「B.O.L.T」(読み:ボルト) ももいろクローバーZや私立恵比寿中学が在籍するスターダストプラネットに所属。 青山・白浜は現在中学2年生でスターダストプラネットの中でも最年少(2022.6月現在)。 2019年7月結成。2020年7月に1st AL 「POP」でメジャーデビュー。同年10月にはZepp Tokyoにて初のワンマンライブを大成功に収めた。
1st SG「Don’t Blink」(TVドラマ「どんぶり委員長」主題歌)、3rd SG「More Fantastic」(桜井日奈子 主演TVドラマ「ごほうびごはん」OP主題歌)など、地上波タイアップ曲も多数。 2nd ツアー”B.O.L.T Presents Early Summer Tour 2022「RE; B.O.L.T」”で東京・大阪・仙台・名古屋の4都市を巡回。
■公式HP https://www.sdp-bolt.jp/
■公式ツイッター https://twitter.com/bolt715official