V.A.『Default』
LABEL:TAX FREE RECORDS
ベルリンを拠点に活動するDIYコレクティブ、〈TAX FREE RECORDS〉の最新作。〈TAX FREE〉は、サイケ・フォークやポストパンクから、コレクティブ・メンバー(?)のMax Graefと共鳴するようなダウンテンポやビートものまで、どこかチープだけどその抜け感が捉えようなくてカッコいいという個人的印象だが、最新作はフロアでも十分通用するようなコンピレーション作品に。正体不明のH3R32DESTROYなるアーティストの“Dois”は、蛇を呼び寄せるような奇妙で間抜けなフレーズが耳にこびりつくダンスホール風ビート、レーベルからリリース経験もあるFunkycanのLo-Fiレゲトン“Rid”や、ベッドルーム・UKハードコア(?)とでも言おうか、Jürgen Ratanの“Quai”も新感覚で興味深いところ。アートワークやフライヤーも抜群にイカしている当レーベル、きっと新たな音楽に出会うはず。
Shark In A Bathtub『Suspicious Package』
LABEL:Avon Terror Corps
インダストリアル・デュオ、Bad Trackingの片割れ、Gordon Appsと、〈Bokeh Versions〉からリリースされた傑作『Parable Of The Empty Cup』の共同制作者の1人であるD.Hamによる最新プロジェクト・Shark In A Bathtub。2人も関係が深いであろうブリストルの〈Avon Terror Corps〉から出た本作は、レーベル・リリース群のような、インダストリアル〜ノイズ色の強いサウンドは後退。〈Wordsound〉からの影響を多分に感じる“Elephant In The Room”や、ブレイクビーツの上にD.Hamの思想がひたすらスピットされる“Birdsong”、Bad Trackingエッセンスあり、金属音や扉が軋む音などが多層的に組み込まれた不穏さムンムンのドープ・トラック“Frigid”と、15分程度に、アップデートされた「イル」が濃厚凝縮。
Dubrunner『Fallen Tree』
LABEL:Menace
〈Scuffed Recordings〉や〈Future Bounce〉からのリリース歴をもつ、リーズ発のDubrunner。彼が昨年ローンチしたレーベル〈Menace〉から、UKステッパーズの拡張を試みる意欲作が到着した。重たいキックとブレイクビーツがひたすらにこだまする直系“Shangdao's Revenge”や、ログドラムチックなパーカションが混じり、よりリズミカルな方向へ振れた“Fallen Tree”など、どのトラックも重心低めのヘビー級。Dubrunnerは、Alpha & OmegaやIration SteppasといったUKニュールーツ〜ステッパーズの偉大な先人の足跡を辿りつつ、さらなる可能性を模索してくれるのではないかと密かに期待している。5月中旬あたりに大阪の〈STARFESTIVAL〉にてしれっと来日、東京も〈頭バー〉(!)でのギグが決まっている。