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INTERVIEW : ネクライトーキー

ネクライトーキーがミニ・アルバム『MEMORIES2』を6月15日にリリースした。バンドのメイン・ソング・ライターである朝日がボカロP“石風呂”名義で過去に発表した曲を、バンドでセルフ・カヴァーする『MEMORIES』シリーズの第2弾。トリッキーな構成をした曲が多く、鳴っている音はどこまでも楽しいが、石風呂楽曲におけるそのカラフルさとは、朝日の内にある鬱屈とした感情の爆発でもある。そのうえで、ネットの海に浮かんでいた曲たちを、人力で、そしてバンドメンバー5人で、もう一度輝かせる取り組みはどこか感動的だ。バンドが結成5周年を迎えたことについてメンバーは“実感がない”と口を揃えるが、このアルバム自身がネクライトーキーの5年を何よりも雄弁に語っている気がする。そんな今作について、メンバー全員に訊いた。
インタヴュー・文 : 蜂須賀ちなみ
写真 : 作永裕範
バンドはひとりひとりの成長によってよくなっていく
──ネクライトーキーは今年結成5周年を迎えたんですよね。5年経った実感はありますか?
朝日(Gt) : まるでないですね。
中村郁香(Key)(以下、中村):こないだ他の人から聞いて「あ、もうすぐ5年なんだ」とはじめて知ったくらいなんですよ。その時自分たちでも驚いて。
もっさ(Vo/Gt):個人的には「まだ始まったばっかりだ!」という気持ちのまま、気づいたら5年経っていました(笑)。なので、いま「あ、もうそんなに経ったの?」という恐怖でおののいております。
カズマ・タケイ(Dr)(以下、タケイ):俺もそんなに気にしてなかったんですけど、ネクライトーキーを聴いてくれる人が「5周年おめでとうございます」と言ってくれるのは嬉しいなあと思います。
藤田(Ba):うん、そうだね。
──5年間で変化した部分、自分たち自身が感じている成長といえば?
タケイ:もっさはすごく成長しましたね。初めの頃はライヴでもビクビクしていたんですよ。
もっさ:だって最初はよく分からなかったから……。
藤田:もっさはこのなかで、いちばん年下ですし、他のメンバーはネクライトーキーを組む前もそれぞれバンド活動をしていたけど、もっさはそうではなかったから、大変だったと思うんですよ。
中村:しかも、もっさの両サイドに立つ2人(朝日、藤田)がバンドマンとしてのオーラをバリバリと放つ人たちだったから……。
もっさ:そう。「どうしよう~」ってなって。

──元々性格的に前にガツガツ出ていくタイプではなかったんですかね。
藤田:(もっさは)みんなで集合写真を撮る時にも後ろに隠れますから。フロントマンだから真ん中にいてほしいのに、絶対端っこにいくんですよ。
朝日:というか、5人とも真ん中に行きたがらないバンドだよね。
藤田:確かに(笑)。
中村:最初のライヴの映像を見返した時、3人が横に並んでいるはずなのに、もっさだけ後ろに下がっているように見えたんですよ。だけどそれが徐々に等しくなってきて。
タケイ:フロントマンとしてどんどん強くなっていくもっさの姿を見て「お、やるじゃん」と思っていました。
藤田:でもMCが下手なのは変わらない(笑)。この前なんて1時間のステージで、まだ4曲しか終わってないのに「以上、ネクライト……」って言いかけてたもんな(笑)。
もっさ:ふふふふ。MCはね、むしろ成長しているのかもしれない。
タケイ:どういうこと?(笑)
朝日:もっさのMCは成長してないと思うけど(笑)、メンバーの成長と言えば、地味に藤田が弾けるようになっているなあと思う瞬間が結構あるんですよね。
藤田:ネクライトーキーを組む前はコンテンポラリーな生活というバンドでベースを弾いていたんですけど、あの頃は自分自身、細かい休符にまでこだわっていなかったし、バンドのアレンジもそういう感じではなかったし。いざこのバンドをはじめることが決まって、曲を弾いてみた時に「あ、やっぱり難しいな」と思ったんです。
──ネクライトーキーの曲自体が成長のきっかけになったと。
藤田:そうですね。ベースの道はまだまだ先が長いですが、ちょっとは上手くなれたんじゃないかなと思っています。
朝日:そういう“身長がちょっと伸びた”みたいな成長って派手なものではないんですけど、バンドにとっていちばん大事なものだと思うんですよ。藤田だけではなく、メンバーみんなが成長できた5年間だったし、バンドはひとりひとりの成長によってよくなっていくものだと感じています。
