自分たちの音楽を違う国で、違う環境でやるっていう、その熱はあります
──やっぱりそれ、音楽的な話ですよ(笑)。そして、この曲を含むLPがリリースが決定しました。
NIKE:そうなんです。まずレコードの話からすると、フランス〈Specific Recordings〉っていうレーベルの方から連絡が来て。最初はよくわからなかったんですよ。向こうも「あなたたちの音楽は素晴らしい、ファンです」って言ってくれてる感じで、単純にそういうメールをくれたんだなと思って。でも何度かメールのやりとりをしてるうちに「実は私はレーベルをやっていて、そこからあなたたちのLPを発売したいと思って連絡させてもらったんです」と。それがはじまりでした。
──驚きますよね。
NIKE:びっくりしました。
MJM:最初は「嘘なんじゃないか?」と思ってたんですけど。
NIKE:はははは。いつ僕らを知ってもらったのか、ちょっとわからないんですけど。でもほんとに音楽を愛しているんだなって伝わる文章で。「サウンドは爆音のパンクだけど、私たちが10代の時に聴いていたシューゲイザーも感じるし、とにかくメロディも本当に素晴らしい」みたいに、1曲1曲に対して熱い文章をもらって。そういう人に向こうでのはじめてのレコードをプレスしてもらえるって、すっごく嬉しいことで。
──日本語で歌っているのも、先方には魅力的に響くのかもしれないですね。
MJM:「フランスとかヨーロッパにこういう感覚の音楽はないから、それをちゃんと伝えたい」って言ってもらえましたね。僕ら、日本のロックと海外のロックを無差別的に聴いてきましたけど、でも日本で育って、出てくる風土、言葉の景色とかは絶対入ってると思うんで。あと自分は日本語の歌をすごく大事にしてきたし、同時に海外のアーティストにもたくさん刺激を受けてきたし。そういう影響がミックスされたところが届いたんだったら、すごく嬉しいなと思う。
──リリースが決まってから、“DREAMS”もLPに入れようと?
NIKE:実は“DREAMS”はまったく予定してなかったんですよ。まず選曲の段階で、Specificとしては「BALLOND’ORの歴史を辿るような1枚の作品を作りたい」と言ってくれてて、曲は共同でセレクトしていったんです。向こうの「この曲を入れたい理由」とか「レコードにしたい理由」が伝わるやりとりができたし、僕たちもそれに納得しながらトラック・リストができて。で、もうすぐフランスでのマスタリングがはじまる時に“DREAMS”が完成して、「こういう曲できたけど、聴いてみてよ」って感じで聴いてもらったんですよ。そしたら「アメイジング! この曲をぜひLPの最後に入れないか」っていう話を返してくれて。それで今回のLPが完成したんですね。結果的に、BALLOND’ORの初期の頃といまが繋がったなって思いますね。すごくおもしろいレコードになったなって。
──それだけ熱心に選曲まで関わってくれるって、嬉しいですね。愛しかない。
MJM:そうですね。自分が日本語を大事にしてる話にも繋がるんですけど、自分の作る曲って、自分の近くにいる誰かひとり、たったひとりにだけ本気で届けばいいなと思っていて。そこは未だに変わらないんですね。近くにいるひとりに届けばいい。それが国を超えて海外のひとりに、フランスにまで届いたって、ほんと凄いことだなと思って。
──当然、今後の海外ツアーもイメージしてます?
NIKE:そういうお話もなんとなくいただくんですよね。海外のバンドから「一緒にやろうよ」ってメッセージをもらったりすることも最近あって。まだ具体的にどうってことではないんですけど、自分たちの音楽を違う国で、違う環境でやるっていう、その熱はありますね。