COLUMN #3 深海に潜む光は、探しに行かなければ決して出会えない
Text by ニシダケン
「俺が見つけたんだぜ」──そう言いたくなる、新しい才能がここにある。
きのホ。を擁する京都のレーベル、古都レコードに所属するアイドル・グループ、「AQ」。いかに「見つけてもらうか」が重要視される現代の音楽シーンにおいて、ここまで検索しづらいグループ名は、ほとんど例がないだろう。
プロデュースを務める、古都レコードの新井ポテト氏によれば、「AQ」というグループ名の由来は、「永久」、「AnswerとQuestion」といった複数の意味が込められており、何かに対する明確な答えよりも、問い続ける姿勢こそが、このグループの本質だと感じさせる。また、トランプのカードにおいて「キング」を欠いたAとQという記号が象徴するように、アイドル・グループにおける、既存の“王道”とは距離を取っているとも言えるだろう。
さらに、AQのアイドルとしての特異性を象徴しているのが、彼女たちのアーティスト写真から、顔の全貌が全くわからない点である。アイドル・グループなのに、「顔がわからない」のである。AQとは、いったい何者なのか。この“謎が謎を呼ぶ”スタイルこそが、AQの特異性であり、そしてファースト・アルバム『S.E.A』に込められた「深海編」というコンセプトを示している。

見つけようとしても、簡単には見つからない。ただ潜っていった者だけが、見つけることができる、まさに、そんな『深海』のような場所が、AQのいまの現在地だ。彼女たちのアルバム『S.E.A』には、その「深海編」というコンセプトのもと、まだ誰にも知られていない自分たちの存在が、力強い音像で描き出されている。モールス信号を取り入れた“DEEP DIVER”や、“SKUMSCAMSCUM”の攻撃性に満ちた歌詞やサウンドは、発見されたときの衝撃を前提に作られたかのようだ。
AQの楽曲は、音楽ユニット「印象派」がトータル・プロデュースを担当。ドラムを軸に構築された楽曲群は、ダンスとハーモニーが高次に交錯する、難易度の高いパフォーマンスとともに観客を圧倒する。さらに、レッド・ツェッペリンやNewJeansといった多彩なリファレンスが内在。また“レディ?”という曲のヴォーカルには、ピアノの鍵盤では再現できない“クォータートーン(半音の中間音)”と呼ばれる音階が使われている。これらは「深海」の中に眠る宝物のように、気づいたときに“ニヤッ”と笑ってしまうような、そんな設計になっているのだ。
たとえ多くの人に見つからなくても、気づいてくれた人が喜んでくれたら良い。これくらいの潔さがいまのAQにはある。深海に潜む光は、探しに行かなければ決して出会えない。しかし、それだけに、ひとたび見つけた者には一生ものの驚きと誇りを与えてくれるのだ。

AQが放つ、衝撃のファースト・アルバム
AQを深く知るための40のQ&A──謎に包まれた、新進気鋭のアイドルの現在地
LIVE INFORMATION

AQ presents "フジョウツアー(仮)"名古屋編
2025/6/14(土)
会場 : Sound Space DEEP (愛知県)
愛知県愛知県名古屋市中区栄4丁目20-1
出演 : AQ / ねおち
OPEN 17:00 / START 17:30
ADV ¥3000 + 1D
DOOR ¥3500 + 1D
AQ presents "フジョウツアー(仮)"大阪編
2025/6/21(土)
会場 : 北堀江 club vijon (大阪府)
大阪府大阪府大阪市西区北堀江1-22-3
出演 : AQ / 0番線と夜明け前
OPEN 11:00 / START 11:30
ADV ¥3000 + 1D
DOOR ¥3500 + 1D
AQ presents "フジョウツアー(仮)"ファイナル京都編
2025/7/5(土)
会場 : 京都ROKA (京都府)
京都府京都市中京区西ノ京星池町214番地
出演 : AQ / きのホ。
OPEN 17:00 / START 17:30
ADV ¥3000 + 1D
DOOR ¥3500 + 1D
■詳しくはこちら
https://lit.link/aq8
PROFILE:AQ
■AQ オフィシャルX:
https://x.com/AQ_inf
■AQ オフィシャル リンク:
https://lit.link/aq8