Jessie Reyez 『PAID IN MEMORIES』
昨年はGREENROOM FESTIVAL'24で来日、LISA(BLACKPINK)の曲“Moonlit Floor(Kiss Me)”はじめ、さまざまなシンガーのプロデュースに人気のジェシー・レイエズが、自身の新作をリリース。彼女の特徴というと鼻にかかるようなザラついた声だが、時にラップもまじえながら、惜しみなくその魅力を披露していて実に楽しい。サウンドも“PSILOCYBIN&DAISIES”のようなロックナンバーから“NYB”のようなダンスポップ、ラテンな“PALO SANTO”まで、驚きのバリエーション。しかもそのほとんどでプロデューサーを変えて作っており、やりたい放題のアルバムだ。だいたい、リル・ウェインとリル・ヨッティとビッグ・ショーンがしれっと客演に並ぶR&Bがどこにある? R&Bファンが求めるのは“CUDN’T B ME”のような曲なのだろうが、そんな器にはおさまっていられない意欲作。(つやちゃん)
Mereba 『The Breeze Grew a Fire』
アトランタのスピレッジ・ヴィレッジとはアースギャングやJID、6LACKらが所属しているコレクティブで、メレバもその一員だ。今作は2019年以来2作目となるが、独特の浮遊感が漂うオルタナティヴな作風にすでに虜になっている人も多いのでは。低音の使い方がエレガントで、静かだが強烈な主張を残す。特に、“Hawk”などはシルキーでスタイリッシュ。 “Wild Sky”の表現力もピカイチだ。ドゥランド・ベルナール作品も手掛けるサム・ホフマンがプロデュースで参加。アルバムを聴いて惹かれた方は、ぜひ彼女が出演しているTiny Desk Concertも観てほしい。(つやちゃん)
zoey 『NE MAEU』
こういった、「普通に」クオリティの高いR&B作品が次々と出てくるのが今の韓国シーン。“YOU DON’T”はラッパーのKhundi Pandaをフィーチャーした面白い展開の曲で、“WHY WON’T YOU”はエレキギターのフレーズが曲全体を効果的に引っ張っていく一風変わったナンバー。“MICHINGEONI”のビートもワンアイデアの発想で押し切る点がユニークだし、色々と工夫しようという気概を感じるアルバムだ。R&Bシンガーとしての線がもう少し太くなれば、ますます楽しみな存在になるはず。そういった意味でも、今のK-R&Bっぽさがたくさん詰まっている。(つやちゃん)