2025/04/30 18:00

Dende 『I am, because you are...』

テキサス出身、R&Bを軸に多彩な才能を発揮するシンガー/プロデューサー、Dende。名門〈Def Jam〉からの初リリースという華々しさとは裏腹に、彼の新作『i am, because you are…』が深く問いかけるのは、極めて普遍的で根源的なテーマだ。「私はあなたがいるから存在する」というアフリカ哲学「ウブントゥ」に根差したこの言葉が、今作の核心を貫いている。過去作『'95 Civic』で描かれた個人的な喪失の痛みを知るからこそ、彼の視線が個から他者へ、そして繋がりの中に見出す自己へと広がったことに、深い感動を覚える。相手を尊重し、支え合うことの大切さを伝えるその声は、実に温かい。ジャズやラップの要素を纏ったR&Bサウンドは、決して声高ではなく、聴き手の心に自然と染み入る心地よさがある。人肌のような温かみと普遍的なメッセージが、深く心に残る一枚だ。(Cookie)

Durand Bernarr 『BLOOM』

グラミー賞にノミネートされたEP『En Route』〜ハウスを基調にした作品と、異なるコンセプトのプロジェクトを昨年発表していたデュランド・バーナーが間髪入れずにアルバムをリリース。メロウ・グルーヴが堪らない"Overqualified"、チャック・ハーモニー & クロード・ケリーが手がけた冒頭曲"Generous"など展開の仕掛けも多く、T・ペインや女性デュオGAWDらも援護射撃。外部のライターとプロデューサーを積極的に取り入れたことでヴォーカリストとしての実力が今まで以上に幅広く引き出された、聴きごたえ抜群の1時間15分だ。映画『ため息つかせて』にインスパイアされたというのも実に彼らしい。(Yacheemi)

Jon B. 『WAITING on YOU』

95年のデビュー以降、常にR&Bマナーにのっとった作風でブラック・コミュニティでも絶大な支持を得てきたジョンB.。13年ぶり(!)となる新作では近年の既発曲を交えつつ、代表曲のひとつ"Don't Talk"を思い出させるスムーズなダンサー"Still Got Love"や、リック・ロスを招いた"Hills to the Hood"など、現行サウンドに呼応しながらも自身のペンでスタイルを貫く充実作。中でもジョンとアレックス・アイズレーの清涼感あふれる歌声が相性抜群のデュエット"Show Me"は、現代版クワイエット・ストームとも言うべき名スロウ。やっぱり根っこがR&Bど真ん中の人なのだ。(Yacheemi)

TOP