2024/08/30 18:00

RJD2 『Visions Out Of Limelight』

かつてエル・Pが主催したレーベル〈デフィニティヴ・ジャックス〉から登場したRJD2は、緻密でいてターンテーブリストらしいライブ感のあるグルーヴを聴かせる名ビート職人だ。ソロとしては4年ぶりのリリースとなる本作は、客演はシンガーのジェイミー・リデルとジョーダン・ブラウンのみに絞ったファンキーな作品。基本的にはインストが中心で、歌モノでも歌を主役に据えるわけではなくビートとのスリリングな絡みが肝だ。「What I Do, Man」や「Wild for the Night」で聴かせるキレキレのスクラッチには思わず熱くさせられる。ヒップホップでしか味わえない興奮がここにはある。

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Starlito 『Imposter Syndrome』

ナッシュビルのラッパー、スターリートはとにかく声が良い。絞り出すようなその発声には、ギャングスタの凄味と枯れたブルージーな魅力が宿っている。緊張感のあるハードなトラップも得意とするラッパーだが、本作ではソウルフルな路線で統一。ほぼ全ての曲に哀愁が漂うブルージーな側面を強調した作りだ。そのサザン・ヒップホップマナーのビートで、スターリートは一言一言を噛み締めるようにラップしていく。共にラップデュオのステップ・ブラザーズを組む盟友ドン・トリップをはじめ、シンガーのロビン・レイネルなど客演陣の仕事ぶりも素晴らしい。ラスト間際に収められた子どもたちとの共演曲「Chase Your Dream」は感動的だ。

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TiRon & Ayomari「The Adventures of TiRon & Ayomari』

サンダーキャットやアブ・ソウルなどとの共演曲も残している、西海岸のラップ・デュオのティロン&エイヨーマリ。デュオとしては7年ぶりとなる本作で聴かせるのは、涼しげでオーガニックなサウンドと溢れる歌心だ。キーボードなどのソロパートが用意されていたり、ミュージシャンの生演奏を活かすような曲も多い。歌も織り交ぜた柔軟でスキルフルなラップを聴かせる二人にはアウトキャストを彷彿とさせる瞬間もあるが、全体に通っているのは西海岸の風が吹くリラックスした空気。初期のブラック・アイド・ピーズやアンダーソン・パーク、近年のタイラー・ザ・クリエイターなどと並べて聴きたいような作品だ。

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