曲作りが、毒抜き的な“憂さ晴らし”

――そして3曲目の“しゃらら”は作詞が小池さん、作曲は儀間さん。どういう経緯でこの組み合わせになったんですか?
儀間:もともとはCMのコンペのために作った曲なんですよ。最初は別の歌詞が付いてたんですけど、「せっかくだからこの曲も入れようか」ということになって、尺を伸ばして。「すなお」と逆で、30秒くらいのデモを1曲にしました。歌詞は……。
小池:俺が奪ったんですよ、要は。「いい曲だから、俺にくれ。歌わせてよ」って。儀間が書いたサビが付いてたんですけど、それが“ボンヤリしたいい歌詞”という感じだったから、ちょっと変えさせてもらって、そこから生まれるストーリーを書いたというか。とにかく音色が気持ちよくて、コードの響きが美しくて。これまで自分が作ったことがない感じの曲だったし、それを拝借しながら作り上げた曲ですね。
――イントロには日本古謡の「さくらさくら」のメロディが引用されてますね。
儀間:海外向けのCMのコンペだったので、率直に日本の歌を入れてみようと。
山岡:儀間の人柄がすごく出てるんですよね、メロディにもギターのフレーズにも。こちらとしても印象が掴みやすいし、儀間の人柄に沿って演奏しましたね。
小池:よくわかんないな、それ(笑)。
yucco:(笑)。純粋にいい曲ですよね。
佐藤:最初のデモはポップな印象だったんですけど、歌詞とメロディが付いて、クールさみたいなところも出てきて。あと、この曲はメンバー全員が主役になる場面があるんですよ。そこは細かく整理して、みんなが目立つところをちゃんと作ろうと思ってましたね。
――ライヴ映えしそうですよね、“しゃらら”は。「憂さ晴らせ♪ EP」というタイトルについては?
小池:憂さ晴らししたかったんじゃないですか。今回のEPは「リリースしましょう」と思って作ったというより、普通に遊んでたら出来た感覚なんですよ。“嵐坊”“しゃらら”もそうなんですけど、試しに作ってみて、「いいじゃん」みたいな。あとは聴きやすくしたり、聴きづらくして……っていう。それが結果的に見たら、ガス抜きというか、毒抜きになったのかもしれないですね。
――曲作りが憂さ晴らしになってる、と?
小池:というか、曲作りくらいしか楽しいことがないんですよ。もともとはリスナーで、やる側に変わったわけですけど、音楽を作るのって本当に面白いので。そんなにいいことじゃない気がしますけどね。ボーリングとかカラオケを楽しめたほうがいいんだろうけど、まあ、しょうがないですね。
――今後も憂さ晴らしに曲を作ってください。鬱憤もたまってるだろうし。
小池:(笑)。それも皆さんと同じですね。
――11月末から12月にかけて、名古屋FUCK FINN、新宿LOFT、京都磔磔で〈the dadadadys 憂さ晴らせ♪ EP RELEASE TOUR〉を開催。どんなツアーにしたいと思ってますか?
小池:ライヴの強度は高めたいですね。「ただ演奏して、お客さんが嬉しい」っていうのもいいんですけど、自分たちの強度を高めることでもっと楽しくなると思うので。あと、これは個人的なことなんだけど、今まではそんなに歌うのが好きじゃなかったんですよ。流れというかノリでヴォーカルになっただけで「歌うの、そんな好きじゃねえな」と思ってたんだけど──儀間が作ってくれた“しゃらら”だったり──ようやく歌うのが楽しくなってきて。次のツアーではちゃんと歌おうと思ってます。
――“しゃらら”もきっかけになってるんですね。
小池:そうですね。自分が作った曲はぞんざいに扱っちゃうんですよ、どうしても。「自分のもんだし、いいか」って叫びに変えちゃったり。そういうエネルギーに満ちたやり方も楽しいんだけど、儀間が作ってくれた曲はちゃんとやらないと。背筋が伸びました。
儀間:ありがたいです。
――小池さんのヴォーカルの変化を含めて、今後のライヴもめちゃくちゃ楽しみです。次の作品のビジョンもあるんですか?
小池:まだ1枚も盤をリリースしてないんですよ。最初にレコード(『Do Wah dadadady』)を出したんだけど、それ以降は全部デジタル配信で。ちゃんと盤にするのはファースト・アルバムって決めてるので、そのときは200%のものを作りたいと思ってます。今まではそれに向けた準備体操というか、ストレッチくらいの感じなんですよ。もちろん「面白い」「いいな」と思ってるから出してるんだけど、アルバムはもっとがんばりたいですね。
佐藤:そういう作品がないとバンドをやってる意味がないし、そのために自分がやれることはたくさんあるはずなので。
――儀間さんも曲を書き始めたところだし。
儀間:そうですね。まだそんなに書いてないんですけど、がんばってやっていこうかなと。
――yuccoさん、山岡さんはどうですか?
yucco:最近のライヴは丁寧にやることを意識していて。それをしっかりやっていけたらなと思ってます。
山岡:俺は……もうちょっと不真面目にやりたくて。
佐藤:ハハハ(笑)。
山岡:その場を楽しめるようになりたいんですよね。つい真面目になり過ぎるところがあるので。
佐藤:それも真面目な意見だね(笑)。
小池:よくわかんない(笑)。グダグダ言ってるんじゃないよ!

編集 : 石川幸穂
キャラ立ちまくりの3曲入りEP!!!
ライヴ情報
〈the dadadadys 憂さ晴らせ♪ EP RELEASE TOUR〉
2024年 11月29日(金) 名古屋 HUCK FINN
OPEN 18:30 / START 19:00
2024年 12月13日(金) 新宿 LOFT
OPEN 18:00 / START 19:00
2024年 12月19日(木) 京都磔磔
OPEN 18:00 / START 18:30
※全会場、 オープニング・アクトして「dadadadys MK-II」が出演します。
時速 36km presents SUPER ORDINARY 〈秋の関東交通安全運動ツアー〉
2024年 12月1日(日) club SONIC mito
w / 時速 36km
〈THE SUN ALSO RISES vol.302〉
2024年 12月16日(月) 横浜 F.A.D
w / 大木温之(ピーズ)
※小池貞利 弾き語り出演
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PROFILE:the dadadadys
メンバーは小池貞利(Vo / Gt)、 儀間陽柄(Gt)、山岡錬(Gt)、 yucco(Dr) 、佐藤健一郎(Ba)。2022年1月26日、tetoとして6年間の活動をしていたヴォーカル・ギターの小池貞利、ベースの佐藤健一郎に加え、あらたに元2のドラマー、yuccoが正式加入し、この3人でthe dadadadysを結成。サポート・ギターとして参加していた山岡錬が正式メンバーとしてバンドに加入し、4人編成となる。2023年1月26日、儀間陽柄(ex.ヤングオオハラ)がバンドに加入し、5人編成となる。2023年3月22日に配信限定EP『だ』『da』2作同時リリース。バンド結成日の2024年1月26日、配信EP『(茜)』をリリース。
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