表現は人にメッセージを届けることとイコールではないと思う
──アルバムの録音はどうやって進めていったんでしょう?
Kato : 基本的にTomohoが出ずっぱりで動いてた感じでしたね。
Tomoho : バンドの演奏はドラムとベースのベーシックを録って、ギターをダビングして歌を録る、っていうのを全曲やりました。パソコンで作ったシーケンスをエンジニアさんのPro Toolsに移して一緒に立ち会ってミックスして。普通のバンドのレコーディングにシーケンスが増えたみたいなイメージです。
Kotaro : ドラムは曲によってはサンプリングするだけでした。通しで録るんじゃなくて、ワンショットを何パターンか録音して切り貼りする感じ。
Tomoho : ミックスしやすくするために、ドラムをパーツごとに録っていきました。ファーストは普通のスタジオ4人で集まって勢いで作ったんですけど、今回はかなり細かく追い込みましたね。
Kato : 追い込み半端なかったもん、カニの追い込み漁みたいでした。

──歌詞についても訊きたいんですが、歌詞はどうやって作っているんですか?
Tomoho : 歌は最後に乗せるんですけど、大体メロディーが大まかにあって、それを修正しながら書いていきます。でも歌詞を書くのはすごく嫌いで。録音のときも、エンジニアの人が調整してる間に歌詞を書いてそのまま録音するみたいな感じでした。
──日本語詞と英語詞の使い分けが印象的だなと思っているんですけれど、そこって意識していたりはします?
Tomoho : 歌詞は抽象的に作るのが好きなんですけど、日本語ではどんな響きや言葉が自分の琴線に触れるのか分かるけど、英語は全くわからない。ネイティブの人からしたら歌詞として変な英語だったり、違う捉え方をされちゃうかなとは思います。でもその感じをを求めてコスプレっぽく英語で作ってみたりしますね。
──Tomohoさんは、ヴォーカリストとしての自分ってどう考えています?
Tomoho : 嫌いですね。コンプレックスなんですよ。人に対して強いメッセージを届けたいという気持ちもないし。僕は油絵やアクリルで抽象画を書くんですけど、表現は人にメッセージを届けることとイコールではないと思っているんです。表現というのは「一人の人間が、世の中の現象についてどう感じたか」を形としてパッケージングする作業であって、それ自体が面白いので、そこにメッセージを載せる必要性はないかなと。面白いと思った言葉の響きを並べてるだけでいいなと思ったんです。ファーストは社会的で、人間の悩みっぽいものが作れたんですけど、今回は自分でも内容を考えてないくらいラフに歌詞を書いた感じです。

──今回のアルバム・タイトル『Self-actualization and the ignorance and hesitation towards it』、訳すと「自己実現とそれに対する無知と躊躇」という意味ですが、このタイトルはどうやって付けたんでしょう?
Tomoho : ビョークのドキュメンタリーを見たんですけど、そのなかで彼女はファーストを作ったあと、セカンドに至るまでに拠点を変えたり、機材を買ったり色々な試行錯誤をしながらアルバムを完成させたと言っていて。これって要は葛藤や躊躇いのなかで自己実現のためにあらゆる手を尽くす……俺が今回やろうとしてることと一緒だ! と思って。なのでそれをそのままタイトルにした感じです。
──なるほど。最後にアルバム・リリース後はアジアとアメリカでの海外ツアーを控えています。新しいアルバムの曲を中心に演奏していくことになると思うのですが、意気込みをお願いします。
Tomoho : 海外ツアー、初めてなんです。日本に比べるとニッチなジャンルでも大きなシーンとして成立していたり音楽カルチャーの土壌が出来上がっている気がして、そうした人々のムーヴメントだったり、対バン相手からいろいろと刺激を貰えそうで楽しみです。
Kotaro : ツアーでは新曲もやりつつ前の曲もやると思うんですけど、向こうでどういう反応の違いが出るのかなとかその辺を楽しみにしてます。
Kato : アメリカはぷっちょとかハイチューみたいなソフトキャンディが人気でめっちゃ高いらしいので、日本から大量に持っていて転売しようと思ってます。
Mikuru : 自分は…ご飯と美女ですかね (笑)。

編集補助 : 津田結衣、菅家拓真
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DISCOGRAPHY
LIVE SCHEDULE
〈“Self-actualization and the ignorance and hesitation towards it” Release Party〉
日程 : 2024年8月18日 (日)
会場 : 東京・渋谷 Spotify O-nest
開場 / 開演 : 18:00 / 19:00
出演 : ANORAK! / Track's
チケット : ¥3,500
〈ANORAK! WORLD TOUR 2024〉
ASIA
9/6/24 INFINITY CLUB - SEOUL, SOUTH KOREA
9/7/24 (TBA) - SINGAPORE
9/8/24 (TBA) - TANGERANG, INDONESIA
9/9/24 BLUEPRINT LIVEHOUSE - BANGKOK, THAILAND
9/11/24 MOW'S - MANILA, PHILIPPINES
9/12/24 THE AFTERMATH - HONG KONG, CHINA
9/13/24 MAO LIVEHOUSE - GUANGZHOU, CHINA
9/14/24 WILD COMMUNITY - WUHAN, CHINA
9/15/24 YYT MUSIC PARK - SHANGHAI, CHINA
UNITED STATES
10/16/24 CHE CAFE - SAN DIEGO, CA
10/17/24 GENGHIS COHEN - LOS ANGELES, CA
10/19/24 (TBA) - PHOENIX, AZ
10/20/24 THE MINNOW - ALBUQUERQUE, NM
10/21/24 (TBA) - OKLAHOMA CITY, OK
10/22/24 RUBBER GLOVES - DENTON, TX
10/24/24 THE WALRUS - JACKSONVILLE, FL
10/26/24 VECINOS (THE FEST) - GAINESVILLE, FL
10/31/24 WAREHOUSE XI - BOSTON, MA
11/1/24 AS220 - PROVIDENCE, RI
11/2/24 KENSINGTON PALACE - PHILADELPHIA. PA
11/3/24 TRANS PECOS - BROOKLYN, NY
11/4/24 PIE SHOP - WASHINGTON, DC
11/5/24 MR. ROBOTO - PITTSBURGH, PA
PROFILE
ANORAK!
Kotaro Nakamura (Dr/Cho)
Crystal Kato (Gt/Vo)
Mikuru Yamamoto (Ba)
Tomoho Maeda (Gt/Vo)
Based in Tokyo.
“SUPERNICEBOYS“
■X : @superniceboys
■Instagram : @superniceboys
■Web : anorak.jp