2024/02/29 17:00

高橋健太郎x山本浩司 対談連載

『音の良いロック名盤はコレだ!』 : 第8回

お題 : リトル・フィート『Dixie Chicken』(1973年リリース)

オーディオ評論家、山本浩司と、音楽評論家でサウンド・エンジニア、そしてOTOTOYプロデューサーでもある高橋健太郎の対談連載。本連載では、音楽、そしてオーディオ機器にもディープに精通するふたりが、ハイレゾ(一部ロスレス)音源と最新オーディオ環境を通して、改めて“音の良さ”をキーワードにロックの名盤を掘り下げてみようという連載です。毎回ロックの名盤のなかから「音の良さ」で作品を選び、解説、さらにはそのアーティストの他の作品、レコーディングされたスタジオや制作したプロデューサー / エンジニア、参加ミュージシャンなどの関連作品など、1枚のアルバムを媒介にさまざまな作品を紹介していきます。

第8回は1973年リリースのリトル・フィート『Dixie Chicken』をメインにとりあげます。そして今回フィーチャーするオーディオ機器は、ネットワーク・トランスポート、LUMIN U2。以前に本コーナーで紹介したLUMIN M1など、ネットワーク・オーディオ機器に定評のある同ブランドの、最新型ネットワーク・トランスポート。今回は本機器をすでに自身のネットワーク・オーディオの中核に導入しているという山本浩司のリスニング・ルームに高橋健太郎がお邪魔しての収録となりました。

写真(オーディオ・ルーム) : 沼田学

本連載8枚目の音の良い“名盤”

シンガー、ローウェル・ジョージの存在感

本記事でフィーチャーされている楽曲のプレイリストはコチラ、ぜひ聴きながらお読みください

今回リスニング環境として本対談を収録した山本浩司のリスニング・ルーム、メインのスピーカーはJBL、中心にアナログ・ターンテーブルとアンプ類、左側にはホームシアター関連のプレイヤー、そして右側最上段に今回フィーチャーしたLUMIN U2、そしてネットワーク・オーディオ関連機器が列ぶ、詳しくは記事後半で

高橋 : この企画は、コロナ禍で山本さんと会えなくなった時に始めたので、これまではずっとオンラインで対談していたんです。でも、今回は山本さんの自宅のリスニング・ルームにお邪魔しています。ネットワーク・オーディオ環境のことなども山本さんにいろいろ聴きたかったんで、そのあたりの話もしたいです。

山本 : 今回のお題はリトル・フィートの『ディキシー・チキン』ですね。1973年発表。それで去年、50周年記念ということでハイレゾのリマスターが出ましたが、これは良いリマスターですね。リマスタリングですごくハイファイになって、別物になっちゃったみたいな。

高橋 : そうですね。でも、このハイレゾは当時の西海岸のロックのエネルギー感が伝わってくる気がします。スタジオのラージ・モニターで、こんなサウンドが鳴っていたんだろうと思わすような。

山本 : リトル・フィートはローウェル・ジョージっていう凄いシンガーがいて、彼がリーダーだったんだけども、バンドも凄いですよね。

高橋 : はい、山本さんはいつ頃からリトル・フィートを聴いていたんですか?

山本 : 僕は高校生の時に、はっぴいえんどマニアだったんですよ。それで、はっぴいえんどがロスアンジェルスでサード・アルバムを録音した時に、リトル・フィートのメンバーが加わってとか雑誌で読んで、聴いてみたいと思って、これの次の『アメイジング』っていう日本語タイトルのアルバムを買ったのが最初ですね。

高橋 : 原題『Feats Don’t Fail Me Now』、1974年ですね。

山本 : はい、ファンキーで鋭さもある洗練されたサウンドをカッコイイなと思って聴いてました。なので、その後に『ディキシー・チキン』を聴いたら、結構、泥臭い音でびっくりしました。でも、どっちが好きかといったら、『ディキシー・チキン』の方がグルーヴィーで、リトル・フィートでは一番好きなアルバムなんですね。

高橋 : そうですか、僕は『ディキー・チキン』から聴いたんですよ。1974年、大学入学の直前に輸入盤を買って、冒頭のタイトル曲でぶっ飛ばされました。こんなの聴いたことないと。それで大学で軽音楽部入って、最初のコンパで自己紹介する時に「好きなバンドはリトル・フィートです」と言ったら、誰も知らなかった(笑)。でも、僕の世代ではリトル・フィートって、凄い影響力あったバンドでした。サザンの桑田くんが同世代ですが、初期のサザンはリトル・フィートに一番影響受けていたし。

山本 : そっくりでしたよね。

高橋 : で、僕は『ディキシー・チキン』から聴いたから、その前の『セイリン・シューズ』に行った時に、こんな泥臭い音なんだって思いました。音歪んでるし、野蛮なロックの匂いがする。

山本 : フランク・ザッパ一派的な感じがありますよね、『セイリン・シューズ』には。

高橋 : それに比べると、『ディキー・チキン』は洗練されたサウンドだと思ったんですよ。

山本 : あと、『ディキー・チキン』の時はローウェル・ジョージの存在感がすごく大きくて、僕はこのアルバム、彼のヴォーカルの素晴らしさを味わうアルバムだと思うんです。 ちょっとこれ、聞いてみていいですか、3曲目の「Roll Um Easy」。

高橋 : 素晴しい歌とギターですね。この曲はほとんどローウェル・ジョージのソロと言っていい。

[連載] Little Feat

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