【REVIEW】AAAMYYYの歌う、“BODY”からの解放──1stフル・アルバムをハイレゾ配信開始

KANDYTOWNの呂布やTENDREなどへのサポートをはじめ、昨年Tempalayにも正式加入、音楽活動以外にもラジオMCやモデルとして、多方面で注目を集めているシンガー・ソングライターでトラックメイカーのAAAMYYY(エイミー)。2017年よりこの名義でソロ活動をスタートさせていた彼女から待望の1stアルバムが届いた。フィーチャリングにMATTON(PAELLAS)、CONYPLANKTON(TAWINGS)、そして海外からComputer MagicとJILも参加したこの注目作のレヴューを掲載!
AAAMYYY、待望の1stフルアルバム
REVIEW : AAAMYYY『BODY』
文 : 高久大輝
わたしとあなた。絶対的な境界線はこの身体だけなのに、どうして──Tempalayへの正式な加入やTENDREのサポートをはじめ、KANDYTOWNのRyohuやKEIJUの作品へのゲストでの参加など、いまさまざまな方向から信頼を集めるシンガー / ビートメイカー、AAAMYYY。3作のカセットテープEPのリリースを経て、彼女が送り出す1stフル・アルバム『BODY』は現代的苦悩の音楽集だ。
カナダで過ごした大学生時代に、Apple社の音楽制作ソフト「Garage Band」でループ・ミュージックの制作に没頭、現在ではスマートフォンのアプリから本格的なDTMの機材までを使いこなして作り上げるエレクトリック・サウンド。そしてコーラスとしても定評のある透き通るように流麗な歌声。音に身を任せ、心地よく身体を揺らしながらあなたは気がつくだろう。鼓膜を打つビートとメロディとともに流れ込んでくるリリックには、孤独であることの身軽さと寂しさ、そして他者と共に生きることの喜びと煩わしさがあり、ときに楽観的でありながらもその狭間で頭を抱え助けを求めていることに。
中でもゲスト・ヴォーカルにPAELLASからMATTONを迎えた「ISLAND(Feat. MATTON)」の〈願ってもみない / 夢みたいに孤独さ〉そして続く〈どこへ行こうとも / 付きまとうのは / 消せない過去〉というラインには、逃げようとしても永遠に追いかけてくる、人の持つ社会性が生み出すアンビバレンスへの絶望がストレートに表出している。ここにあるような感情の凹凸も、(わたしとあなたの)境界線を取り去って、そっくりそのまま共有できたら我々は悩むこともないのだろうが、無論そんなことは不可能だ。ただ彼女は音楽でその壁を越えようとしているように思える。弾けるようなビートとチープに鳴るシンセが特徴的な「ポリシー」で〈死んだ目をしたわたし / 裏側までは見えていないでしょ〉と歌い、リード曲「屍を越えてゆけ」で〈わたしの身体は / 果たせない無力さ〉と歌う。それはまるで内側と外側、内面と表面に身体によって分けられていることへの抵抗のよう。また、BEAMS x EYESCREAMによる番組『PLAN B』でNYに渡り、JILやComputer Magicとの共同制作を経て起きた化学反応。それを彼女は“共鳴”という言葉で形容した。そう、アーティストやリスナーという立場を問わず、意識が音に向かう瞬間、その時点で我々を分かつその壁や境界線は融解しはじめている。AAAMYYYは様々なアーティストとの共演、共作を経験し、ポップ・ミュージックが持つ、そんな可能性を実感し自らの音楽に込めたのではないだろうか。
わたしがわたしで、わたしがあなたで、あなたがあなたでありますように──このスムースでときにエッジーに鳴るエレクトロ・ポップは、メディアの発達によって他者との距離感が複雑さを増す現代に巻き起こる苦悩である。と同時に、それを音に乗せ『BODY』=「身体」という絶対的な境界線をも無効化しようという祈りでもある。越境をポップ・ミュージックのひとつの帰着点と仮定するなら、これほど突き詰められた作品は稀有だろう。
編集 : 千田祥子、鈴木雄希
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LIVE SCHEDULE
〈AAAMYYY ワンマン・ライヴ「BODY~屍を越えてゆけ~」〉 2019年3月9日(土)@渋谷 WWW
時間 : OPEN18:00 / START18:30
2019年3月30日(土)@大阪 CONPASS
時間 : OPEN18:00 / START18:30
その他ライヴ
〈IMAIKE GO NOW 2019〉
2019年3月24日(日)@名古屋今池 複数会場
時間 : OPEN13:00 / START13:30
>>>ライヴ情報詳細はこちらから
https://spaceshowermusic.com/artist/12483693/schedule/
PROFILE
AAAMYYY
長野県出身のSSW / トラックメイカー。CAを目指しカナダに留学、帰国後22歳から音楽制作をはじめる。2017年からソロとしてAAAMYYY(エイミー)名義で活動を開始。2018年6月からTempalayに正式加入、KANDYTOWNのメンバー、呂布のゲスト・ヴォーカル、TENDREのサポート・シンセ、ラジオ MC、モデル、DAOKOのアルバム『THANK YOU BLUE』へ楽曲提供、CMへの歌唱提供等、幅広い活動で注目を集める。2017年に突如自主リリースされたカセットテープ『WEEKEND EP』と、2018年2月リリースのテープ第2弾『MABOROSI EP』の2本のテープは発売後に即完売。同作2本のテープを合わせた『MABOROSI WEEKEND』を初の全国配信リリース。2018年10月17日には待望のテープ第3弾『ETCETRA EP』を配信&テープで同時リリース。
>>>公式HPはこちら
https://spaceshowermusic.com/artist/12483693/
>>>公式ツイッターはこちら
https://twitter.com/amy0aaamyyy