
嬉しいバンド画家によるイベント、『嬉しい音楽』開催!
16人編成の嬉しいバンド・画家によるプロデュース・イベント第一弾「嬉しい音楽」がGWに開催される!! 画家+1バンド+1パフォーマー×過剰演出で送る、破壊力抜群の1日。そもそも、新代田FEVERで行われたVol.0から16ヶ月が経ち、思い出したように、Vol.1の開催が決定したというこのイベント。今回の過剰演出を率いるのは、クリエイティブ・ユニット・らくださん。ウルトラなバンドにミラクルってるパフォーマーを迎え、何となくお得感のある値段でスパイシーに炸裂します。 えげつない混乱を、嬉しくも容赦なく食らってください!!
画家 presents『嬉しい音楽 Vol.1』
2012年5月3日(木・祝)@渋谷WWW
『嬉しい音楽 Vol.1』渋谷WWW HP
出演 : 画家 / MO'SOME TONEBENDER / 鉄割アルバトロスケット
過剰演出 : らくださん&各方面の猛者
OPEN 17:30 / START 18:30
前売り ¥2,980円 / 当日 ¥3,280(税込 / ドリンク代別 / オールスタンディング)
■チケット一般販売中
>>イープラス
>>ローソンチケット (Lコード:72815)
>>ぴあ (Pコード:165-666)
16枚16色限定! 画家Tシャツ&メンバー乾杯権付きチケット!
画家HPにて、16枚限定の画家オリジナルTシャツ&メンバー乾杯権付きチケット(6000円+送料)も販売開始。
概要は下記の通り。
画家オリジナルTシャツ(16色のうちから1色をお選び下さい)付きのチケットを販売します。
Tシャツは16色。1色につき1枚限定で、先着で選べます。
当日は、そのTシャツがチケットになりますので、着用してきて下さい。
また、当日、同じTシャツを着たメンバーに声をかけて下さい。そのメンバーがドリンクを一杯奢り、乾杯をします。
メンバーが酔っ払っていれば、二杯以上も可です。強いお酒を飲ませるが吉!
>>詳細はこちら
この対談を読んだ16歳の方を無料招待いたします!
件名に「嬉しい音楽 招待希望」、本文に氏名、住所、電話番号をご記入の上、info(at)ototoy.jp((at)を@に変更)までメールをお送りください。こちらから追ってメールにてご連絡します。
応募締切 : 2012年4月30日(月)24時
※あらかじめinfo(at)ototoy.jpからのメールを受信できるよう設定してください。
画家 / 嬉しい音楽
16人編成のバンド、画家によるファースト・アルバム。とにかく思いついたことを素直にブチまけたような、ルーツの見えないスパイシーな楽曲たち。体は踊って心は躍る。大体の感情を取り揃えた、ハイ・テンション且つ人懐っこいアルバム。
画家の特集ページはこちらから!
藤森大河×百々和宏×戌井昭人×サトウアヤヒコ
16人ものメンバーからなる得体の知れない音楽集団=画家が、2012年5月3日に渋谷WWWにてイベント「嬉しい音楽 Vol.1」を開催! 出演者はMO’SOME TONEBENDER、パフォーマンス集団の鉄割アルバトロスケット、そして画家のミュージック・ビデオなども手掛けるヴィジュアル・ユニットのらくださんが場内の「過剰演出」を担当と、他に例を見ない組み合わせとなっている。4組に共通点を見出すのは簡単ではないが、あえて言うならば「カテゴライズ不能」。それぞれのジャンルにおいて既存の枠をはみ出した4組が一堂に会すことで、果たしてその夜に何が起こるのか? その答えを知るためには、あなた自身が目撃者となるしかない。
今回はイベントの開催を記念して、画家の藤森大河、MO’SOME TONEBENDERの百々和宏、鉄割アルバトロスケットの戌井昭人、らくださんのサトウアヤヒコ(都合により途中参加)の4者による対談を敢行。元々強い接点のあるメンバーではないだけに、「どうなることか…」いう不安はあったものの、始まってしまえばなんのその、それぞれの分野のはぐれ者たちによる、かなり面白い対談となった。大ボリュームでお楽しみください!
インタビュー&文 : 金子厚武
取材協力 : かんがるう(新宿ゴールデン街)

自分たちが楽しみたいっていうのが根っこにあります(藤森)
――まずは、今回のイベント開催の経緯を話していただければと思うんですが。
藤森大河(以下、藤森) : 取り敢えず、画家というバンドをやっております(笑)。で、まあ、最近、お陰様で色んなイベントに呼ばれるようになってきたので、何となく、自分たちの場が欲しいなぁと思いまして。そんで、ゴールデン・ウィークって何かイベントやりたいじゃないですか? だから、自分たちのイベントをやろうかなぁと思いまして(笑)。
百々和宏(以下、百々) : 適当な理由やなあ(笑)。
藤森 : で、中でもWWWでやりたかったんですよね。
――それはなぜですか?
藤森 : 作りが面白くて、遊び甲斐があるかなぁと。あそこのコロシアムみたいな形とか、むき出しな雰囲気とかがイイなぁと思って。
――では、なぜバンドだけではなくて、パフォーマーや場内演出なども入れようと思ったんですか?
藤森 : バンドばっかり順番に出てきてハイ終わりっていうのに飽きてきてしまいまして。いつも似たような対バンとか、近いジャンルの人ばっかり集まったイベントって、客層もいつも同じような、似たような人ばっかりのことが多いじゃないですか? アレって凄く不自然だなぁと思うんですよ。だから、お客さんにも色んな人がいるし、ステージの上にも色んなのがいて、最後は「よく分かんないけど凄かったね」ってなるのが、個人的には素敵だなぁと思いまして。
――なるほど。この中では一番音楽畑なのが百々さんだと思うんですけど…。
百々 : そうなんすか!?
一同 : 笑

――だと思うんですけど(笑)、実際にはどうですか? そういう、似たような組み合わせのイベントが多いとかって感じます?
百々 : ここ数年、モーサムもだいぶ音楽から外れたところで脚光を浴びることが増えてきたなと思ってたんですけど…まあ、さっき言われてたことと一緒ですね。毎回同じような客層で似たようなイベント出ててもつまんないっていうのもあるし、モーサム自体「どこにも属さない」みたいなことは言ってて。ジャンルだったり、どっかのシーンだったりっていうのは嫌いなので。だから、今回の話はとにかく…面白そうだなって(笑)。
――今の話にもあったように、今回のイベントって、それぞれのジャンルで、どこにも属さない人たちが集まっているような印象を受けたんですが。
藤森 : ウチはそんな属す属さないというような位にないですけど(笑)。まあでも、たまたまそうなってますね。特に、そういう基準でお声かけしたわけでもないんですけど。
――順番でいくと、まず「イベントやろう」というのがあって、「バンドとパフォーマーと演出でやろう」という流れですよね?
藤森 : まあ、「過剰演出」っていう言葉を使いたかったっていうのもあるんですが、ウチのVJをやってくれたりPVを作ってくれている、らくださんという映像ユニットがいて、彼らが映像だけじゃなく色んな分野での魅せ方を考えるのが好きな人たちだったので、一緒にやりましょうか、と。それで、一昨年、ウチがCD出してレコ発やった時にも鉄割さんに声をかけさせてもらったんですが、その時はスケジュールが合わなかったということもあって、今回、改めて誘わせてもらいました。
――鉄割を誘ったポイントは?
藤森 : 鉄割さんって、何か…意味わかんないじゃないですか(笑)。
一同 : 笑
藤森 : リトルモア地下だったり、何かのフェスだったりで拝見させていただいたことはあって。で、「イベントやるなら鉄割だな!」と思いまして。で、画家、らくださん、鉄割ときたら何だろうと思った時に、「あ、モーサムだな」って。
――感覚的に、「この人たちが集まったら面白いだろうな」というチョイス?
藤森 : そうですね。面白いというか、「どうなるのか想像出来ないけど何か凄そうだな」と思って、誘わせていただきました。
――かなり異種格闘技戦だとは思いますが、戌井さんはどんな印象をお持ちですか?
戌井昭人(以下、戌井) : まあでも、普段からうろうろしてますからね。演劇ってジャンルだとあんまり属す属さないっていうようなものはないので、自分たちがどこにいるのかよく分かってないですしね。
藤森 : 渋さ(知らズ)とかと一緒にやってますよね?
戌井 : そうですね、明後日も一緒にやるんですけど。渋さにいる奴がこっちに出たり、こっちの奴が渋さに出たり、みたいな形も結構あって、一緒にやることは割とありますね。

――大所帯って部分では画家と繋がるところもありますよね。
藤森 : いやいやそんな、おこがましいですよ。
百々 : 画家って十何人だっけ?
藤森 : 16人です。
百々 : 多いな(笑)。
――そもそも画家って、どう始まってるんですか?
藤森 : 元々、野外に、年齢とかジャンルはバラバラで、色んな知らない人とかを集めてお酒を飲む「青空飲み」っていうのを趣味でやったりしてたんですよ。で、そこに楽器を持ち込んだら、「アレ? 楽器とお酒と野外ってイイね、じゃあバンドやろう」という。半分以上は楽器自体、初めてやるような人たちだったんですけど、技術とか知識とかは関係なく、何となく、面白そうなことに尻軽な人に声をかけた感じです。人自体が面白かったりナイスだったら、何をやろうが、出てくるものだったり反応する部分は面白いはずだと思いまして。
――元々飲み会から始まっているだけに、「楽しい場を作りたい!」というのが核にあるような感じですか?
藤森 : 自分たちが楽しみたいっていうのが根っこにありますね。で、ずっとそれでやってるうちに、お客さんがワーワー楽しんでる状況の方が自分たちも楽しいなぁってことに気付いたので、最近は、あくまで自分たちが楽しむことを目的に、お客さんたちも楽しめるようにしたいねっていう方向に意識を持ったりしてますね。
――自分たちが楽しむために、お客さんも出演者も楽しませる、というような?
藤森 : そうですね。そういう、非常にワガママな考えでやっているバンドでございます(笑)。
一同 : 笑
今となってはもう、寄り合いみたいな感じになってます(戌井)
――そんなワガママで集められたみなさんですが(笑)、今のような話で言うと、鉄割にとっては何が自分たちの活動の軸になっていますか?
戌井 : 何かもう、辞められなくなっちゃったってのはありますよね(笑)。
一同 : 笑
戌井 : もう十何年やってて、辞め時を失ったっていう。やっぱり最初は、意気込んだりしたこともあったけど、今となってはもう、寄り合いみたいな感じになってます。
藤森 : 町内会の昔の仲間が、たまに集まって、みたいな。
戌井 : そうそう。「年に一回ぐらいは集まろうか」みたいな。まあ勿論、イベントとか呼ばれた時は別なんですけど、自分たちでやる時はそんな感じですね。
――モーサムももう長いですよね?
百々 : モーサムは…97年にデビュー?
戌井 : ウチも97年だから同じなんですよ。
藤森 : ですよね。俺、中学生の時に、「冷たいコード」とか「DAWN ROCK」とか聴いてた記憶がありますね。
百々 : え!? 今いくつ?
藤森 : 25です。
百々 : (爆笑)マジで!?そんな「どんだけ修羅場くぐってきたんだ」みたいな見てくれで?
藤森 : いやいや全然、何も知らない青二才ですよ!
戌井 : 何か、諏訪瀬島から帰ってきましたみたいな(笑)。
一同 : 笑
藤森 : いやいや、ヒッピー的なアレは何にも無いっすよ。普通に都会で文明に囲まれて暮らしてきました。で、モーサムから、GANG OF FOURとかTHE LOUNGE LIZARDSなんかを聴くようになっていきました。
百々 : あらまぁ。それ、友達と話合わないでしょ?
藤森 : でも、俺らが中学生の頃って、ブランキーとかミッシェルとかが好きになる年頃だったので、そういう文脈で色々聴くっていう流れはありましたね。でもまぁ、メロコアが全盛ではありました。あれ? 金子さんておいくつですか?

――32です。僕もそれこそ、学生時代に「DAWN ROCK」とか聴いてた立場なので、藤森君は「若いのによくぞ」みたいな感じがするなあ。
藤森 : 中学の時、学校の裏かなんかで用務員的なことをしていた人とすごく仲が良かったんですね。ちょっと兄貴的な人なんですけど、その人に「ブランキーが好き」って言ったら、「最近モーサムってのがヤベェんだよ」って言われて、CDを買ってくれたんです。
百々 : うわそれ、イイ話だなぁ。ブランキーとかは元々聴いてたんだ?
藤森 : そうです。「なんてカッコいい不良たちなんだろう」みたいな(笑)。で、モーサムを聴いたら、「何だこのギターのブルブルした音は」と思って、そこから、ニュー・ウェーブとかポスト・パンクみたいなのに入っていった感じですね。
戌井 : モーサムのギターって確かに、ブルブルって感じだよね。でもそっか、ウチも何かみんな勝手だし「コイツらイヤだ」と思って、3年目ぐらいでもう辞めようってなったんだけど、何か10年ぐらいで1回サイクルがくるって言うから続けて。そしたら、ある時、山本精一さんが本かなんかで「アレは10年じゃなくて15年であった」って書いてて、「ヤベェ、10年じゃねぇの?」ってなって、それで辞め時を失い続けてるっていう(笑)。
藤森 : そもそもは、鉄割の始まりって何だったんですか?
戌井 : 始まりは、何かまぁ、友達ですね。学生時代の卒業した奴とかが何もやらなくなって、調理師になるならないとか言ってるんですけど、ちょっと一回集まって何かやろうよ、みたいな感じで。
百々 : 年でいうと、みんなそこそこ?
戌井 : そうですね、みんなもう30後半とか。最近は若い下の奴もいるんだけど。
藤森 : それは、何か演劇関係の学校ですか?
戌井 : 演劇と、あと文学座界隈の。で、あの頃って松田優作かぶれが多かったんですよ。
一同 : あー。
戌井 : 松田優作ファンが、毎年必ず入ってきて。
百々 : めんどくさそう(笑)。
戌井 : 四谷三丁目の交差点で、誰かがまずリンゴを投げたら、演技としてどうこうで乱闘になっちゃったりとか。「何で俺、こんなとこにいるんだろう?」って(笑)。それとか、駅でケンカになっちゃったりとか、何か優作さん好きってみんなデカいんですよね。何かもうデカいし強いし、酒飲んでても、「今のは一秒、間がおかしいよ」とか言ってて、「俺もうそんなもん分かんねぇよ!」って思いながら(笑)。
一同 : 笑
百々 : 優作ナイズドされてたわけですね。
戌井 : まあ勿論、ちゃんとした人もいましたけど、40人いたら3人はいましたね、優作ナイズドが。お酒はバーボンしか飲まなくて、演劇論を戦わせるような。
藤森 : ベスパに乗って、みたいな。
戌井 : あ、でも、俺、ベスパは乗ってた(笑)。
「こうですよね?」って言われると違うことしたくなっちゃう(百々)
――バッチリ40分の3じゃないっすか(笑)。面白いんですけど、かなり話がずれてきたんで、もうちょっと本筋に戻しますね(笑)。最初に、「それぞれのジャンルでのはぐれ者」っていう話がありましたけど、それは、自分からはぐれたポジションに行きたくて行ったのか、結果的にはぐれちゃったのか、それぞれどうですか?
藤森 : そうそう、聞いてみたかったんですけど、「人がやってるからそれと違うことをやる」みたいな、意図的に「人と違うことをやろう」っていうのがスタートの人と、自分のやりたいことやってたら、たまたまっていう人と、その両者で強度が全然違うように思うんですよ。
戌井 : 俺の場合は、好きなことやってたらそうなってただけですね。新しいことやろうとかアイツと違うことやろう、みたいなことは全然なかったですね。
藤森 : モーサムはどうですか?
百々 : まあ、やってることは、凄くオーソドックスなことしかやってないんですよ。ロックが死んだって言われてもう40年ぐらい経ってるわけですし、音楽ってもう、出尽くしてる感があるんですよね。
――ビートルズが全てやりつくしたっていう意見もありますしね。
百々 : そうそう。あと、育った場所が福岡だったっていうのもあるんですよ。東京の人からはよく、「福岡って音楽が凄い」とか言われるじゃないですか? めんたいロックとか井上陽水、長渕剛とか。でも、僕らがやってた時は、そういうのは全然なかったんですよ。何か一周しちゃった時で、「最近、周りからメジャー行くやついねぇなぁ」みたいな。ちょっと寂れかけの頃だったんですよ。で、元々は上下関係の厳しい土地なんですけど、そんな状況だったから特に締め付けもなくて、みんな好き勝手やるようになってきたんです。それで、自分たちは特に変わったことをやってるとも思わずに福岡で好きにやってたんですが、ライヴやりに東京とかに行くと、「変わってる」って言われて、改めて自覚したというか。
――それこそさっきの、ブランキーとかミッシェルの話でいうと、彼らって、変な話「ロックンロールの殉教者」っていうようなイメージもあると思うんですけど、モーサムの場合、勿論、ロックンロールの側面はあるんですけど、それこそエレクトロニクスを導入したり、凄くポップなものをやったりっていうのが、凄く面白いところだと思うんですよね。
百々 : そうですね。まあ、特にメジャーに行ってからなんですけど、何か、明らかにそこ(ブランキー、ミッシェルのライン)に入れようとしてんなっていう動きを感じたんですよ。丁度、今、そのポジション空いてるぞ、みたいな。
藤森 : あー、何かその、ロックンロールのアイコン的な。
百々 : そうそう、ロックンロールで不良で、男がガッとライヴに来るような。で、ブランキー、ミッシェルときて、「あ、モーサム入れちゃえ」みたいな。で、「それだけはイヤだ!」と思ってさぁ。何か、お客さんそんなんばっか来られても困るし、そんなカッコつけばっか集まられてもね(笑)。だからまあ、それには凄く抗いましたよね。
――さっきの話でいうと、自分からはぐれていったっていうのと、はぐれちゃったっていうのと、両方あるとは思うんですけど、その中に反発みたいなものはあった、と。
百々 : 「こうですよね?」って言われると違うことしたくなっちゃうっていう、ただ天邪鬼なだけかもしれないですけどね。

――鉄割はどうなんですか? それこそパフォーマンスとか演劇とか、色んなところで比較されることは多いと思うんですけど。
戌井 : やっぱり僕もオーソドックスなことをやってるつもりはあります。でも、最初、俺ら公民館みたいなとこでやってたんですけど、それも、ただ劇場借りるのって、凄い時間がかかったり照明とかPAとかが面倒だったんで、自分たちでやれるとこを探したっていうだけなんですよ。そうしたら、根津の公民館みたいなところの2階に、何か温泉のカラオケ・ステージみたいなのがあったから、そこでやったんです。でも、何かそういうところでばっかりやる人たちみたいに見られてもアレだから、特にそこばっかりやるわけではなく、その時々に好きなようにやってたら、こういう感じになっちゃったっていう。
百々 : でも何か、パンクですよね? そういうの含めて。
戌井 : そうですね、はい。最初の考え方とか。それでまあ、演劇だけど、どこでも出来るようにしようって言ってやっていったら、渋さとかとやっていくようになったりしましたね。
――画家はどうですか?
藤森 : ウチはもう、パンク・バンドですから。ピストルズよりも楽器の下手なパンク・バンドです(笑)。
一同 : 笑
百々 : でも結成の話聞いて、ピストルズを思い出しましたけどね。何か洋服屋に集まってたチンピラたちが組んだというか。
藤森 : ちょっとお利口な感じですけどね(笑)。
――まあでも、バンドの中にマルコム・マクラーレンがいる、みたいな。
藤森 : あー、そうかもしれないですね。あと、ジャム・バンド的な括りのイベントに呼ばれることが多いんですけど、俺ら、技術が足りなくてジャムれないんですよ(笑)。
――(笑)。曲ってどうやって作ってるんですか?
藤森 : 曲は何か、脚本みたいなの書いて作ることが多いですね。
一同 : へー!
藤森 : いや、そんな大したものじゃないんです(笑)。俺らは楽譜も書けないし読めないし、コードとかキーもよく分かんないんで、そういうやり方になっちゃってるだけで。
百々 : どういう風にやるの?
藤森 : 何となく適当にスタジオで音を出したりしてる時に、何かいいメロディとかリフっぽいのがあったら、「それ!」っつって、そのメロディってどういう場面かなぁとか、そのメロディを擬人化したりするんですよ。例えば、そのメロディは、オッサンが酔っ払ってゴミ捨て場に仰向けに寝っ転がってて「もうええわ!」って言ってるけど星がめっちゃ出てる、とか。
百々 : へー、それを脚本化?
藤森 : そのシーンに行くまでのストーリー、例えば、何か年下の上司が会社に来てムシャクシャして一人で酒飲んでフラフラ歩いてる、とか。そういうのを、まず、普通に文字で書くんですよ。それこそ、脚本みたいに台詞もあれば行動とか情景描写みたいなのもあったり、場所とかも指定されてたり。で、この後、オッサンがどうなったらストーリーが終わるかなっていうのを考えて、一つのまとまりにするっていう。だから、本当に文字で脚本を書いて、それをメンバーで共有して、何となく曲のストーリーを把握していくんです。
百々 : へぇー。え、元々そういう職に就きたかったとかではなくて?
藤森 : いやいや、そんな大層なアレじゃなくて、元々、映画の学校とか文学部なんかに行ってたこともあって、一番身近でみんなに伝えやすい、っていうか、16人もメンバーがいると、全員で同じ内容を共有出来るものって文章ぐらいしかないんですよ(笑)。で、それでざっくり書いて大まかに共有した後、メンバーそれぞれが好き勝手にやる感じです。だから、スタジオでの会話とかホワイト・ボードとかワケ分かんないですよ。「Aメロ : 路地、キメ:思い出す、Bメロ : 彼女の仕事」みたいなことが書いてあるのを囲んで演奏してるっていう。というような、非常に雑な作り方をしてますね(笑)。
百々 : いやいや、雑じゃないでしょ(笑)。それ、いずれ本かなんかに、「画家脚本集」みたいにまとめて出したら、相当面白そうだよ。
藤森 : 曲と答え合わせとかしたら面白いかもしれないですね。
戌井 : 全然違うじゃねぇかよ、みたいなのがあったりね(笑)。
藤森 : でも、それがやりたかったわけじゃなくて、それ以外が出来ないからそうなっちゃっただけなんで、大げさなものじゃないんですけどね。
気がついたら「この空間は画家の世界か!?」みたいな感じを演出できれば(サトウ)
<らくださん・サトウ登場>
サトウアヤヒコ(以下、サトウ) : すいません、お疲れ様です。
一同 : あ、どうもどうも。

――それでは、らくださんのサトウさんが来たということで、改めて、藤森さんから、何でらくださんを今回のイベントに誘ったのかっていう話をしていただいてもいいでしょうか?
百々 : 元々、その多摩川沿いのメンバーなの?
藤森 : あ、そういうわけでは全然ないです。メンバーが綱島でルームシェアをしていて、その部屋にいた別の奴の友達みたいな。まあほぼ、画家のメンバー的にやってもらってる感じです。
百々 : 何で、「らくださん」なの?
サトウ : それはですねぇ、ウチの相方の彼女がラクダ好きで。
百々 : ひとこぶ? ふたこぶ?
サトウ : あ、ふたこぶの方ですね(笑)。
一同 : 笑
――それぞれのバンドや集団がどういう感じで始まって、何を表現しているのかっていう話を、堅苦しい感じではなく、ちょこっとしてる感じなんですけど、らくださんはどういう風に?
サトウ : 元々VJだけやってるんじゃなくて、クライアントワークっていうか、例えば、誰かにフライヤーのデザインしてよとか、看板作ってよ、CM作ってよっていうのを請け負って、表現するっていうのが僕らの仕事なので。「らくださん」っていう名前に行き着いたのは、そもそも水先案内人っていう、まあ、らくだが砂漠を案内するっていう。
一同 : おー!
サトウ : ま、後付けで(笑)。っていうのがありつつ、毎回作品を作るに当たって、誰かがやっていることを真似してもしょうがないなっていうか、どうせ作るなら新しいの作りたいなっていうのがあって。VJやり始めた時も、すでにいるVJの人たちと同じようなことやってもしょうがないなって思って、やるんだったら今まで見たこと無いようなことやりたいなって。VJって、音に対して無機質な絵を当てて、何でも合うようにするっていう…。
藤森 : メディア・プレイヤーの、あの映像みたいな?
サトウ : そうそうそうそう。あれを流してれば大体合うじゃないかっていうのもあったと思うんですけど、僕らは敢えて、具体的な、例えば実写で撮った相撲の映像だったりとか、歌舞伎の映像だったりとかを当てるようにしたんですよ。それは何故かって言うと、音に対して、意味ある映像を当てることによって、違った音の聴こえ方がするっていうのが一つの発見としてあったので。もっとVJが音に対して関わってもいいんじゃないかっていう、「シュールシンクロ」って言ってるんですけど。
――音からイメージ出来るものっていうよりかは、全然違うものを当てることによって、違う解釈を与えると。
サトウ : まあ、賑やかな画家だから成立してるっていうのはあるかもしれないですね。もちろん、意味が完全に違うものを当ててもしょうがないし、音楽をぶち壊してるものになってしまうけど、それぞれ画家のメンバーが、ワー!ってやってる中で、普通に環境みたいのを流しても見ねえだろうな、みたいな。

――らくださんは、過剰演出として会場全体を演出する立場になるわけですよね。すでにイメージのようなものはできてます?
サトウ : 実は今…。
藤森 : そこは明かさない感じで!
――「行ってみたい」と思わせるようなセールストークもお願いしたいのですが(笑)。
サトウ : えー、プロジェクターは6、7台ぐらい使います。あと、準備にめっちゃ時間かかります(笑)。
――それじゃあ、実際に何をやるかは伏せておくとして、その背景にある、それによってどういう効果をもたらしたいのかっていうのは、どうですか?
サトウ : 僕の勝手なイメージは、画家の一回目の自主企画イベントだから、空間全体をもう祭にしちゃえっていう。気がついたら、「この空間は画家の世界か!?」みたいな感じを演出できればっていう風には。
藤森 : 視覚を…レイプ?
サトウ : 知らないうちに巻き込まれて、もうどうにかされてるみたいな。
藤森 : まあ、帰るときに、なんかよく分かんないけどすごかったなってなればいいっすね。
――やっぱりそこなんですね。別に着地点を求めているわけではなくて、「なんかすごかったな」っていうのが…。
藤森 : それが一番尊いっすね。
百々 : なんかちょっといいなあって思ったのが、飲み放題みたいな…。
――あー、あれですか、乾杯権?
藤森 : そうそう。あれ、ナタリーが、俺らの知名度だとニュースにしてくれなくて。
一同 : 笑
藤森 : それで一個企画乗っけなきゃなみたいな(笑)。
百々 : いやー、いいなあー! やっぱそこっていうのは明かした方が良いよね。そういうのは。かっこつけて言うより。なんかそのくだりをね、ナタリーかなんかで読んで、いいなあと思ったんですよ。なんかメンバーと…。
藤森 : そう、メンバーと同じTシャツを着ていた人におごるっていう。そのために16枚Tシャツ作って。
百々 : なんかね、「馬鹿だなー」って(笑)。過剰ですよね、そういう、全然損得考えてない感じが。
――でも、過剰具合だったらモーサムも負けてないんじゃないですか?
藤森 : モーサムこの前、「みんなの戦艦」で見たときに、俺なんか、訳分かんない迫力ですげー笑えてきて、あれすげーなって。
――海外のバンドでありますよね。海外のバンドって、「すごすぎて笑っちゃう」みたいなのをよく感じて。で、モーサムは日本でそういうのが感じられる数少ないバンドの一つかなっていう。
サトウ : モーサムさんも、画家も、共通してるなと思うところは、自分たちが率先して楽しむっていうか。それがあるから誰とも違う。自分たちが楽しいことやろうって言ってできてるから、発想が自分たちの中から湧き起こってて、だから誰とも違う感じがする。
――では、サトウさんは来ていただいたばっかりで恐縮なんですが、最後にイベントに向けた意気込みで締めようかと思います。せっかくなんで1人ずつ喋っていただき、最後に藤森さんに締めていただきましょう。じゃあ、百々さんからお願いしていいですか?
百々 : あのー、あんまり前情報入れてないんです。あんまり分かっちゃうと面白くないんで、当日楽しみな感じで。でも、話聞いててより訳分かんなくなっちゃった(笑)。最初は勝手なイメージで、前衛的な感じとか、評論家チックに考えて、アートな感じとか、ハプニングがいろいろあるのかなとか思ってましたけど、でも、今日飲みながら話してて、なんか、全然一緒じゃんっていう、だから楽しみです。
――戌井さん、いかがですか?
戌井 : そうですね。普通に、純粋に楽しみたいと思います。楽しめる場があるので、自分たちも出るけど、他の人も楽しみなので、埋もれてきます。
――では、サトウさん。
サトウ : 全然準備が間に合ってなくて…間に合わないんじゃないかって思ってますけど(笑)。でも、なんとか形にして…まあ、見て下さいという感じですね。

――じゃあ最後に藤森さん、締めをお願いします。
藤森 : まずあのー、この対談を読んだ16歳は無料招待します。
一同 : 笑
藤森 : あと、あの…渡鹿野島って知ってます? 三重県にある、漁船でちょろっと行くような島で、人口も少ないし産業も無いようなところなんですけど、アパートとかマンションが幾つか建ってて、それがひたすら風俗っていうスパイシーな島らしいんですけど。何か、その島みたいな、イカす違和感が出たらイイなぁと(笑)。
一同 : 笑。
戌井 : それ(別名)女護ヶ島じゃない? たまに家族とかが行っちゃって、「どうしたら?」ってなるみたいです(笑)。
――詳しいですね(笑)。じゃあこのイベントに来てはみたものの、どうしたら良いか分からない人が現れるかもしれませんね。それはそれで面白いとは思いますが(笑)。
藤森 : それはもう、お客さんに頑張ってもらいます。どう楽しむかをね。自分で勝手に見つけて楽しんでくれっていう…それ、主催側が言うことじゃないな(笑)。
一同 : 笑。
嬉しいPROFILE
画家
16人のイイ匂いのする連中による、嬉しいバンド。 音楽の好みや知識、楽器の技術や経験、性別、年齢、身長、背景を問わず、音を鳴らすことを楽しむところの猛者が集結。 ライヴ・ハウス、クラブ、レイヴ、公園、山、無人島、芸術祭、ファッション・ショー、お笑いイベント、スペシャ列伝、ミナミホイールなど、演奏場所は多岐に渡る。 アンダー・グラウンドからオーバー・グラウンド。ジャンルを問わず、シーンを選ばぬ、何でもござれのあばずれバンド。曰く、無国籍無秩序生命力垂れ流し楽団。 尚、最近は、映像クリエイターやファッション・デザイナー、Web・ディレクターや絵本作家にクリエイティブ・エージェンシーなど、どこへ向かっているか分からないようなコラボレーション企てまくり、虎の威借りまくりの、ニュータイプDIYバンド。 「見た目も中身もバラバラな連中が、デカい真っ白なキャンバスに向かって、ワイワイ言いながら絵の具をブチまけていき、気が付いたら、壁や床や本人達もグッチャグチャに塗れ、何となく顔を見合わせてみんなで笑っていたら、素敵だね。」
MO'SOME TONEBENDER
'97年福岡でそれぞれバンド活動をしていた3人が「最初の一音で周りの風景を変える」ということだけを共有して活動開始。 '99年に1st CD「DRIVE」をリリース。年間100本以上のライヴを敢行し、強靭なバンド体力の礎を築く。 枠に収まらないその音楽性は日本オルタナティブの極致と称される 「LIGHT,SIDE,DUMMY」で結実となり、音楽専門誌から年間ベストアルバムにも上げられることに。 '06年にはバンドのロック・エッジでの集大成「Rockin' Luuula」をリリースし フジロックのメイン・ステージに立ちオーディエンスを熱狂させた。 しかしロックの権化 たるバンドは安住の地を求めることなく07年パンクとメガトランスを混ぜ合わせたハリケーンのような問題作「c.o.w.<check out world>」08'年にはMO'SOME至上POPでメロディアスに振り切れたアルバム『SING!』をリリース。 以降鋼鉄の地下活動を続けて来たが、2010年秋に新作「STRUGGLE」を発表。傷だらけのリアルしかない、乾いたロックを打ち鳴らし、2011年ついにアメリカ進出、同時に14年の歴史を初めてアーカイヴしたBEST盤「BEST OF WORST」をリリース。怒りを音の隙間に、生活をギターの歪みに、 すべての感情をメロディに満載して重量オーバーで走り続ける。
>>MO'SOME TONEBENDER official web
鉄割アルバトロスケット
東京は根津、宮永会館で結成。変テコなパフォーマンスや、踊り、歌、寸劇などを、ダダダダっと行います。 間抜けな宴会見本市みたいなものです。
らくださん
サトウアヤヒコ、ナカムラユウトによるCreative Unit。
主に、ヴィジュアルに関する企画/デザイン/制作を手がける一方、VJとしても活動。2011年春に制作した音楽バンド「画家」のミュージック・ビデオ「ツチノコ」が、各国のクリエイティブ・メディアに掲載され、注目を集める。同ビデオは、世界的権威のある映像フェスティバルonedotzero j-star 11や、DOTMOV FESTIVAL 2011 優秀作品に選出。TOKYO DESIGNERS WEEK 2011では、Kinectとハイ・スピード・カメラを用いた体験型インスタレーションを展示。観覧者数/リピート率は、会場の中でも群を抜いていた。また、VJとして、音からは想像のつかない映像をあえてあてることでシュールな状況を生み出す「シュール・シンクロ」という独自の手法を確立し、人々の笑みでフロアを温めている。