編集部が注目する今週のリリース作品
小田 香最新作『Underground』サントラ
あらゆる"地下空間"を描き、イメージと音を通して人間の記憶を探る小田香の最新作、『Underground アンダーグラウンド』のサウンドトラック。背景を薄くぼかす環境音と、浮遊するかぼそい歌声。劇伴においてもすべてが抽象的に描かれ、耳から得た情報が自己に内包された記憶や感情を呼び起こし、乱反射していく。暗闇のなかで音に耳をすませ、自分をたらしめる境界線を見失いかけたとき、これが本来あるべき姿なのかもしれないと思った。(石川)
CAPSULEのカバー・シングル
FRUITS ZIPPERによるCAPSULE『Sugarless GiRL』のカバー。持ち味である、おしゃれなアイドルソング的なアレンジではなく、原曲の世界を現代にアップデートしたような良カバー。いまの彼女たちだからこそ、出せる味。(西田)
岡山より、揺れるは幽霊の初EP
kurayamisakaをコピーしたことが発端で結成した岡山のバンド、揺れるは幽霊の1stEP。一曲目「亡霊のきみへ」は羊文学『12 hugs』の「Hug.m4a」を想起させるラフな空気感で、途中で一気に綺麗な轟音が入り込む。アルバムを通して、空気感とメインのギターの層がとても上手に棲み分けられていながらも、曲ごとに歪み、リバーヴの質感が最適化されているのを感じます。ダイナミクスやテンポなどの起伏の付け方にもこだわりを感じる一枚です。(菅家)
ayutthayaがシングルをリリース
昨年12月にも新曲を発表したオルタナティヴ・ロックバンドayutthayaが、早くも次の新曲"まばたき"をリリース。ゆったりと心地の良いテンポやのびのびとしたメロディと反対に、押し寄せる波のような轟音ギターがまるで春の嵐のような一曲です。(藤田)
DJ KENSEIトラックの新曲
〈RAWMEN RECORDS〉から国内アンダーグラウンドで活動するDJ/トラックメイカーによるリミックス集を出したのも記憶に新しいYuima Enyaによる新曲。足音のような祭囃子のようなビートと気の抜けた掛け声とともに、魂に従い生きる人々への人間讃歌が歌われる。踊りすぎてすっかり日の上ったタイミングで聴いたら昇天しそうな、美しいシンセとソウルフルな歌声。(津田)
君島大空の4thEP
本人みずから「EP芸人」と語る君島4枚目のEP。音楽をたらふく喰らい咀嚼し、それまでなかった音楽美を更新生成するさまに圧倒される。余裕綽々の疾走感と客観的冷静さ、ポップさが鳴り響くT1〜T4を経て、ストレートなようでいて何かがおかしいソウル・バラードのT5。そして名曲っぷりを隠そうともしない、合奏形態メンバーによる制作のT6で締めくくられる。君島曰く「今年の合奏形態の活動はすごい」らしい。期待に胸弾む。(高田)
オトトイパーティー通信
3月5日(水)22:00- 〈pureppure vol.12〉 at 神宮前bonobo
3月5日(水)19:00- 〈羊水泳法〉 at 新代田FEVER
3月7日(金)22:00- 〈万化〉 at 中野OPEN SOURSE
3月7日(金)19:00- 〈BLUE XP 100th Mix Anniversary〉 at 幡ヶ谷forestlimit