
ファースト・アルバム『蓄積タイムラグ』が特典付きで配信開始
12月30日から始まった『蓄積タイムラグ MEGA MIX by DJ COOK DO』が好評の中、ファースト・アルバム『蓄積タイムラグ』がついに発売。2011年1発目のHIP HOPは山口から届けられる。アルバムを買うと、独占特典としてデジタル・ブックレットと「THE HEAT THEORY」のPV映像が付いてきます。音源の形式もMP3とWAVの両方を揃えました。HIP HOPの枠に捕われることのないBUPPONのルーツを、是非とも聞き深めてみてほしい。
BUPPON / 蓄積タイムラグ
「情熱は場所を問わない」と叫んだ前作12inch「SYNCHRONICITY」から2年。アルバムの中でも一際存在感を放つのは、狂気と貪欲さを覗かせながらも、核心をぶちまける「THE HEAT THEORY」と、高鳴る鼓動、哀愁漂うビートの上に、自ら背負った宿命に縛られるその様、意地、己に対する情けさえも書き記した「THE ZEAL THEORY」。そして表題曲「蓄積タイムラグ」を手掛けるのはBUPPONの実弟GIZMO。ありがちなどという言葉では済まされない、切っても切れないBUPPONのルーツがここにある。
【プロデューサー】
MICHITA、Olive Oil、KEMUI、GIZMO、ALIEN ONE a.k.a 狂
【特典】
アルバム購入者には、デジタル・ブックレットと収録曲「THE HEAT THEORY」のミュージック・ビデオの特典がついてきます。
BUPPON INTERVIEW
ラップで満たされることのないラッパーBUPPON。バトルMCとして活動している彼の名前はよく聞いていたが、ラップ・スタイルは謎に包まれていた。だが今作『蓄積タイムラグ』が届いた時、彼のスタイルは確立された。日常を、自分を、環境を憂い描くそのリリックは、どんなトラックにも映える。去年あるアーティストが「HIP HOPが1番本音の音楽だと思う」と言っていた。しかし、日常の不満や負けん気をリリックにすると、説教臭い、病んでいる、あれはHIP HOPじゃないと言われる。そこまで細分化されるほど、日本語ラップの形は増えた。それでも、山口の土地から訴え続ける意思をインタビューで聞いてみた。
インタビュー & 文 : 和田 隆嗣
人生を送る上での説得力
——BUPPONの名前の由来を教えてください。
BUPPON(以下B) : 以前の苗字の読み方を変えてこうなりました。
——プロフィールにもある初めてのクラブでの初ライヴの感覚は、どのようなものでしたか?
B : 1秒1秒がすごくゆっくり流れていったのを覚えています。目の前で起こっていることに頭が追いつかないというか。興奮でしかないというか、刺激的すぎました。後にも先にもないであろう自分の貴重な体験、想い出です。

——日本語ラップの中毒性とはなんでしょうか?
B : 日本語ラップの中毒性は人それぞれだと思いますが、僕の場合は人生を送る上での説得力です。それが存在する以上、生きてく限り切っても切れないものです。
——HIP HOPのどこに惹かれましたか?
B : HIP HOPを聴き始めたのが15歳の時なんですが、その時は惹かれてるのは確かだけど具体的に、何に惹かれてるとかよく分からなかったっていうか、考えてもなかったと思います。単純にラップってスタイルがかっこよかったし、今までに出会ったことのない新しさがあった。当時周りにHIP HOPを聞いてる人も少なくて多少自慢気な自分もいました。皆が知らないものを知ってる優越感というか。自分がラップを始めるきっかけも、さっき話した通りリリックを書いたりして準備する前に、いきなりステージに上がっちゃったわけなんでね。何もかも初めてだったんですよ、何もかも。得意なことや自慢出来ること、コレってもんがそれまで1つも無かった俺が、コレなら主人公になれるんじゃないかなって思えたんです。コレは絶対掴んで離さねーって感じでね。かなり不純な動機ですけど。HIP HOPは俺に今まで味わったことのない初めてを、たくさんくれたんです。HIP HOPの外側は俺に衝動を起こさせて、引き寄せた内側から本質を学びました。また続ければ続けるほど、容赦なくなっていきましたね。それは自分が次から次に望む分の裏返しですけどね。まだまだ旅の途中なんで、この先の希望や期待、不安や謎、全部含めて今でもHIP HOPに惹かれ続けていますよ。
——今作『蓄積タイムラグ』のアルバム名の由来を教えてください。
B : 曲を聴いて欲しいので全部は言いませんが、自分の過去の行いが溜まりに溜まって、そのタイムラグを経て結局自分に返ってくる。逃げ場を失い、追い詰められる。覚悟も観念に近い覚悟ですね。ただ、色んな悪いものが返ってきたり、不条理なことを感じる中でたった1つだけプラスに働くものがあったっていう。もの凄い悔しさや苦しさに襲われると同時に、自分の中で湧き上がってくる力を感じたんですよ。それをどう生かすか。この曲の終着点は聴いて確かめてもらいたいです。

——「情熱」、「清算」といったテーマが、1曲1曲のトラックに落とし込まれています。その意図を教えてください。
B : 情熱は音楽、HIP HOPにありきのもので、清算は普段の生活にありきのもの。今回、清算というものを引っ張り出したのは、このアルバムが自分の出発になるからです。自分の音楽やHIP HOPを通して、僕は自分という人間を知ってもらいたいと思ってやっています。だから音楽をしている時の自分、そうでない時の自分全部を曝けださないと知ってもらったことにはならないという思いで、このアルバムを作りました。
——1曲1曲のトラックの色が、大きく違ったように感じました。 その部分は、意識されましたか?
B : ソロだし、introもoutroもskitも無いアルバムなんで、最初は被ることのないように多少意識しました。でも曲数の分内容が違うので、その内容に合ったトラックを1つずつチョイスしていきました。これだけの楽曲を同じ期間に形にするのは初めてだったので、なかなか思い通りにいかなくて、すげー苦しかったです。でもその分、発見も変化も多々あったし、自分という人間をまた1つ知れたと思います。制作をすることによって成長させてもらいました。言い方変えると、長期の制作をしてみないと出来ない成長だったと思います。
自分に正直になれた
——今作の推し曲はどれでしょう? またその理由も教えてください。
B : PVにしたのは「THE HEAT THEORY」と「蓄積タイムラグ」です。その理由は情熱と清算という2つのキーワードの象徴ともいえる曲だからです。けど、アルバム全曲に全て自分を落とし込んでいるので全て推し曲ですよ。表裏一体ってやつです。
——アルバム『蓄積タイムラグ』の中心となるテーマはなんでしょう?
B : 情熱と清算、そして自分自身です。
——「田舎者」のリリックにあるように"怖いものしらず / 井の中の蛙 / 世間しらず / スローなほどリアル"とありました。BUPPONにとってHIP HOPのリアルとは!?
B : HIP HOPのリアルとか、何々のリアルとかの種類はよくわかりません。リアルはリアルかなと。現実ってことと、後、真実っていうのもあると思います。感じるものだし持ってるもの。
——地元や地区をレペゼンするのがHIP HOPの面白さでもありますが、地元山口から発進し続けることに迷いはありませんか? 例えば、東京で挑戦したいとか。
B : 迷いはありません。
——ラップを生活の一部にして、変わったことはありますか?
B : たくさんあります。毎日を意味深く過ごすようになりました。自分に正直になれた。常に自分と向き合えるようになって、世界が広がった。危機感を感じ、人生を歌に出来る。言い出したらキリがないくらいラップ、HIP HOPに僕は救われてます。

——自己表現として、普段からリリックを書く際に意識していることはなんでしょうか?
B : 当たり前だとは思いますが、正直であるということです。リリックは自分自身そのものなので意識というよりは前提として書いてます。
——これからはどういったアプローチを仕掛けていこうと思いますか?
B : アルバムのツアーを一か所でも多くやりたいと思ってます。実際出向いて生でLIVEして伝えたいし、証明したい。これからの動きはもちろん計画してますがそれはやることをやった後。まずは今やるべきことを全力でやるつもりです。
NEWS
『AXIS 6th ANNIVERSARY-& BUPPON 1st ALBUM「蓄積タイムラグ」RELEASE PARTY & DJ BAKU MIXCD「5th ELEMENTS」TOUR』
1月29日(土)@LIVE rise SHUNAN
RELEASE LIVE : BUPPON(THE AXIS RECORDS)
SPECIAL GUEST : DJ BAKU(POPGROUP)、NAGAN SERVER(MONO ADAPTER.) 、WOK22
当日はイベントでのBUPPONのLive映像をUstreamで中継!! 是非見逃さないでほしい!!(ライヴは1時頃からとなります。)
URLはこちら
PROFILE
時は2002年、場所は山口県徳山市(現周南市)初めて遊びに行ったクラブでまさかの初ステージ。興奮後に襲う根拠の無い悔しさからHIP HOP、ラップの魔力に心奪われるのは時間の問題だった。自分が信じるHIP HOPの表現の場を渇望し、それに引き寄せられるかの様に出会った仲間(現AXIS FAMILY)と共に2005年、今の地盤となる主催イベント 「AXIS」を始める。出来ることは全部自分達でやるDIY精神をモットーに活動を続け、全国各地のアーティスト達とも共演し刺激を分け合っている。2008年にはフリー・スタイル・バトル「ULTIMATE MC BATTLE」の 広島予選にて優勝。決勝大会出場を果たす。同年末には自主レーベル「THE AXIS RECORDS」を立ち上げ、1st 12inch EP『SYNCHRONICITY』を500枚限定でリリースする(現在完売)。そして2011年には、待望の1st full ALBUM『蓄積タイムラグ』を完成させ、初となる全国ツアーや、 ILL DANCE MUSICのDJ DOGG aka PERROとMICHITAのコラボALBUMに楽曲提供、KARASS CASTLE のコンピレーション・アルバムに楽曲提供などその勢いは当然の如く留まる所を知らない。抵抗知らずな 人間味溢れるBUPPONのLIVE、音源はまさに表裏一体。畑を超え届かせるその「声」を是非実感してほしい。2002年から続く渇きは未だ満たされることはない。