キセル『明るい幻』

キセル / 明るい幻

レーベル カクバリズム　　発売日 2014/12/03

01. 時をはなれて 02. 夏の子供 03. 君をみた 04. 覚めないの 05. 花に変わる 06. そこにいる 07. ミナスの夢 08. たまにはね 09. 今日のすべて 10. 同じではない 11. 絵の中で 12. 空の上 13. 声だけ聴こえる

※ 曲番をクリックすると試聴できます。

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC

【配信価格】
単曲 205円(税込) / アルバム 2,469円(税込)

さあ、優しい追憶の旅へ出よう

家族と乗った車窓から見える青々した木々と心地よい風、遊び疲れた夕方のオレンジ色、そして夜道の澄んだ空気と満点の星空。キセル7枚目のアルバム『明るい幻』は、私にそんな故郷の風景を思い出させた。“現在”から離れた遠い記憶が歌われている本作は、制作中に起きた東日本大震災との関わりを感じずにはいられない。

特に震災直後に披露された「覚めないの」は、この曲が元々持つメッセージ性の強いアレンジや歌詞を敢えて変え、本作に収録されることになったという。震災直後の感情的な思考が少しずつ冷静になりつつも、癒えない傷が残り続ける現実を穏やかなメロディーで隠すように歌われ、震災がまだ終わらないことを痛感させる。誰かの大切な故郷を奪った悲しい記憶はなくならないが、それと同様にその地での楽しく美しい思い出も決してなくならない。

〈今はないものにもう一度触れた　あの日の明るい幻〉(「ミナスの夢」)という歌詞が象徴するように、 “愛おしいあの時”への追憶を許してくれる本作。聴き手に寄り添う歌詞と、どこか懐かしいメロディーに、きっとあなたも故郷の風景や家族を思い出すことだろう。(相崎美帆)

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