2017/08/04 18:30

ザ・なつやすみバンド『TNB!』

レーベル TNB RECORDS  発売日 2012/06/06

01. 02. 03. 04. 05. 06. 07. 08. 09. 10.

※ 曲番をクリックすると試聴できます。

【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC

【配信価格】
単曲 250円(税込) / アルバム 1,648円(税込)

子供の頃に逃避行

「毎日が夏休みであれ」という信念をバンド名とした、ザ・なつやすみバンドの1stアルバム。本作を聴くと、過去の記憶にすっと戻ってしまう。

少なくとも私にとっては最初の2曲だ。1曲目の過ぎ去る夏を歌う「なつやすみ(終)」では、中川理沙の無垢な声が、子供の頃の思い出に引き戻してくれる。長かった夏休みが終わってしまう憂鬱。時間を持て余し、寝過ぎた昼寝や、扇風機に顔を近づけ声を出していたこと。私にも子供の頃があったのだ。

この曲の作り手同様に、地方から上京した自分自身の体験も思い出される2曲目の「世界の車窓から」。もう会えない君を置いてふるさとを離れる旅立ちを歌う。君への未練を包んでいるのは、慎ましいファンファーレとしてのMC.sirafuのトランペット。次の町への期待が伺える。ceroのサポートをつとめたり、片想いのメンバーでもあるMC.sirafuの奏でるスティールパンは、このアルバム全体において、ちょっとしたブルーな気分を快活なポップな色彩へと転じさせている。

私だけでなく、きっと誰の心にもある思い出をザ・なつやすみバンドが忘れないでいてくれるから、今を過ごしながらも、過去に思いを馳せることができる。楽しさで埋める逃避ではなく、過去を回想することで、地続きである今に向き合える逃避。それがザ・なつやすみバンドの信念なのかもしれない。(和田晴子)

ザ・なつやすみバンド/天の川
ザ・なつやすみバンド/天の川

一覧に戻る

[インタヴュー] (((さらうんど))), MU-STARS, SAKEROCK, YOUR SONG IS GOOD, cero, neco眠る, イルリメ, キセル, スカート, 片想い, 鴨田潤

TOP