楽しそうに見えるのは、それをエンジョイしてるから

──みなさん女性ミュージシャンといわれる立場ですけど、自分の表現とジェンダーはどれくらい繋がっているものだと思ってます?
Wata:んー、私はそんなに意識してやってないんですよね。
シュガー:私も、わりと自分主導のバンドばっかりやってるから、常に私がボスなんで。もちろん苦労はないこともないとは思うけど、そういう意味では恵まれてる。自分が突き進んじゃうし、そこで何か頭を押さえつけられたとか、そういう苦い思いをしないままここまで来れてるのは幸せですよ。でもやっぱり、特に海外のメディアだと「女性でミュージシャンやるのはどうですか?」とか「日本ではどういうふうに見られているんですか?」みたいな質問はよく受けたし。だから女性であることが特殊なんだなって考えさせられることは何度もありましたね。
Wata:海外ツアーで対バンするバンドも、全員女性っていうのはあんまり見ないですけど、メンバーのなかに女性がひとりとかふたりくらい入ってるバンドはすごく多くて。男性だから女性だからというよりは、結局はその人のパーソナリティーのほうが大事というか。そういうふうに私は見てます。
TOKIE:うん。あんまり「私は女性だから」みたいなこと、意識してる人って少ないと思いますよ。やってる側は。
シュガー:意識してるとやりづらいし、相手もやりづらくなるよね、きっと。女性だから特別っていうこともないし、女性だから特別困ることもおそらくないし。同じステージに立ってればね。
──自然体というか、女らしさを隠さないところも素敵だと思います。MVみたいな衣装やメイクをみなさんは積極的に楽しんでいる。
Wata:メイクは単純に楽しいですよ。EQDセッションのときもメイクさんに付いていただいたんですけど、普段自分ではやらないようなメイクで、違う自分が出てくるみたいな感じ。シュガーさん、あのときのメイク好評でしたよね。
シュガー:あ、セッションのとき? そう、普段とは違う雰囲気だったらしくて 「かわいい、かわいい」っていわれてた。おだてんのやめて、みたいな(笑)。だけどメイクは楽しいよね? 綺麗になれるって、いいじゃないですか。
──えぇ。あのEQDセッション動画は、全員がノリノリで演奏しているのが伝わってきます。
TOKIE:こういう激しい音って、どこででも出せるものではないので(笑)。求められたときは「えっ、いいの? わーい!」みたいな感じにはなりますね。
シュガー:MVのときはとにかくヴィジュアル重視で、アテブリだから演奏もしてないし。それを経てやっと一緒に演奏できるのは、やっぱみんな気合入りますよね。生演奏で録音して、それを世界に出すとなると「よっしゃあ!」って。
──男と張り合うためにって考えると、女を捨てるみたいな話にもなってくるじゃないですか。そういう意識とは対極の考え方だと感じますね。
Wata:好きなことをやってるだけなんです。それに、3人ともそうだと思うんですけど、特に事務所にも属してないし自由に活動できる。個人対個人でやりとりをさせてもらってるから、自分たちで物事を進めていける。誰かの意見に従わなきゃいけないとか、そういうのはないんで。
TOKIE:うん。ないですね。
シュガー:自分たちのやりたいことをやってるだけ。だから楽しいし、楽しそうに見える。もちろん上手くいかないとか、もっとこうしたいのに答えが見つからないとか、そういうことって誰にでも絶対あるんですけど。でもそれが辛くないのは、自分にやりたいことがあって、それをいいものにしたいと思う気持ちがあるからで。さっきMVの話になったけど、MV撮影とかも辛いといえば辛いですよ。ウィッグのなかで髪の毛引っ張られてて頭が痛いとか。
TOKIE:あはは。めっちゃ痛かったよね。
シュガー:こういう裏話的なものをいっていいのかわからないけど(笑)、けっこう辛いんですよ。でも最終的に楽しそうに見えるのは、それをエンジョイしてるからで。最終的に出てきたものに「なんすか、これ?」って自分でも笑っちゃう。そうなると、やっぱりやって良かったなって思えるんですよね。
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