2014/08/13 22:06

エレクトリック・ギターに乗せた迸る感情とメッセージ——suzumokuによる3ヶ月連続シングルを、どこよりも早く、ハイレゾで聴け!

2007年から精力的に活動を続けるSSW、suzumoku。デビュー当初のアコーティスティック・ギターでの演奏スタイルから一転、5thアルバム『Ni』以降エレクトリック・ギターによる演奏を取り入れたことにより、サウンド面はもちろん、アーティストとしても大きくレンジを広げた。常に挑戦し続ける彼が今回企むのは、7月から9月にかけての3ヶ月連続シングル・リリース。OTOTOYでは今プロジェクトをすべて1週間先行、24bit/48kHzのハイレゾ音源でお届け。いままでのsuzumokuからは想像出来ない、聴く人々に熱く何かを訴えかける、アグレッシヴかつ焦燥感に満ちたバンド・サウンドをどこよりも早く、そして高音質で体感していただきたい。そして2014年5月14日からは7ヶ月連続でのフリー・ライヴを敢行。suzumokuは止まることを知らない。そんな彼に3ヶ月連続リリース、フリーライヴへの思いを聞くべく、インタヴューで迫った。ミュージシャンとしての在り方、作品への思いを語る彼の姿は、驚くほどにピュアなものであった。

3ヶ月連続シングル配信第1弾
suzumoku / サヨナラ日常(24bit/48kHz)

【配信フォーマット】
[左] alac / flac / wav(24bit/48kHz)
[右] alac / flac / wav / mp3

【配信価格】
[左] 単曲購入 : 400円
[右] 単曲購入 : 200円

【Track List】
1. サヨナラ日常

3ヶ月連続シングル配信第2弾
suzumoku / カタパルト(24bit/48kHz)

【配信フォーマット】
[左] alac / flac / wav(24bit/48kHz)
[右] alac / flac / wav / mp3

【配信価格】
[左] 単曲購入 : 400円
[右] 単曲購入 : 200円

【Track List】
1. カタパルト

INTERVIEW : suzumoku

suzumoku

勇気持って発信していかないと

——今回の3部作ですが、ちょうど30歳になるタイミングでのリリースですよね。ひとつの節目としての意味合いもあるのかなと。

suzumoku : 30歳になることを前はすごく意識していたかもしれない。でも実際になってみると、劇的に何かが変わるとかではなくて。少し、自信や責任感が増したというか、まぁ当たり前なんですけど。

——まだ30歳になった実感はありませんか

suzumoku : 全くありません(笑)。だけど周りから言われていくうちに自覚していくのかなって。20歳の時はあったんですけどね。

——お酒が飲めるようになったり、具体的な変化がありますからね。自分が変わるというより、周りからの見られ方が変わって、そのうちに変化していくというか。

suzumoku : そうですね。この歳になったから何かを諦めようみたいな考え方も必要かもしれない。いままで好きな事ばかりやってきましたからね。周りからの見方は当然変わるわけで、東京に出てきてから7年やってきて、とくに生活感も変ってないし、甘えてばかりいられないなぁと思います。無駄は捨てて、必要な物を強化していく。それで自分の事だけじゃなく、他人の為にもなれば、という意識が芽生えてきてます。言ってみれば自然に自分がやらなきゃいけない事だけをやる。

——年齢的なこととは無関係かもしれませんが、「サヨナラ日常」と「カタパルト」を聴かせていただいて、サウンドも歌詞もすごくアグレッシヴに変化したと思ったのですが。

suzumoku : そうですか? これも意図的に出てきたわけでないです。元々自分の音楽は「衝動的」にぶちまけるというスタイルで、デビュー曲「週末」とかも大人達にぶちまけてましたから。視点が“世の中”に向けて変わってきたんだと思います。

——つまり、世の中の動きを反映した曲であると。この2曲の核には、現状に対する不満というか、変わらなきゃいけないという気持ちがありますよね。

suzumoku : 「サヨナラ日常」に関して言えば、堰を切ったように出てきたドラッグ関連の事件とか、殺人事件とか、お金を横領したとか、皆何かしら現状にたくさん不満を持っていて、そこからサヨナラしたいと。それで薬に走ったり、人を殺めてしまったりってことがあると思うんだけど、そこまで我慢しないで自身でサヨナラ日常しちゃおうぜ! みたいな。自分の音楽が楽になれるきっかけになればと。そんなに分析はできてないけど多分そんな感じだと思います。

——これまでよりも社会に目を向けるようになった?

suzumoku : それはそうですね。見ないとまずいでしょう。もう、知らぬが仏では済まされないなって。ニュースみてると何で若者達は黙ってるんだよって。昔だったらパンクとか、社会情勢がどんどん悪くなるなかで、若い人たちが「この野郎!」って出てきたわけじゃないですか。今はそういうことがもっと起こるべき時代だと思うんだけど、そういうことを冷めた目で俯瞰するような雰囲気もあって。まだ俺もその1人かもしれないけど、「ここは勇気持って発信していかないと」って思ってます。

全部、実はラヴ・ソングなんです

——なるほど。でもsuzumokuさんは、歌詞の中で具体的なワードを挙げて何かを主張してはいませんよね。その分、ある意味ではパーソナルなものとしても読めるというか。

suzumoku : 音楽だから、やはり根本は楽しむものだし、そこに具体的な言葉を入れると押しつけになってしまうなと。ライヴで攻撃的な歌い方をしても、事件の詳細を歌詞にしてるわけじゃないので。ここまで言えば、あとは気づけよ! 考えろよ! 感じろよ! っていうのが本音ですかね。ライヴで盛り上がって皆が熱くなるということがなければだめだと思うし。ライヴを見てくれた人が、何かを感じて考えてくれたらいいというか。

——たとえば原発事故について具体的なワードを挙げながら、音楽で社会的な主張をするミュージシャンも少なくないじゃないですか。でもsuzumokuさんはそういうスタイルは選ばないと。

suzumoku : いえ、そういう時期も来るかもしれませんが、今は違和感というか、歌えないですよね。

——違和感というのは?

suzumoku : たとえば、斉藤和義さんが自身の歌を替え歌にして発表したじゃないですか。でもあれは、聴いた時に皆楽しんでるんですよ。それはもともと斉藤和義さんが作った格好良い曲があって、それをベースにしてるから、そこにはちゃんと音楽の空気がしっかりあって。なおかつそこで個人の明確な答えがあってメッセージを皆が共有できているじゃないですか。あれは憧れます。でも単に露骨な言葉を並べてギターをかき鳴らしてという人には、そうじゃないだろうって思ってしまいますね。

——「カタパルト」の歌詞の最後に〈君に叱られたい〉というフレーズが出てきますよね。このフレーズだけ、「現状を変えていこう」っていう歌詞のニュアンスとは少し違うというか。なぜ「叱られたい」のですか?

suzumoku : 自分に自信を持てないからです。皆見て見ぬ振りの世の中だからです。今、叱ってくれる人いないですよね? 感情的にではなくて、ちゃんと叱る人。カタパルトって飛行機を打ち出す装置じゃないですか。誰しもがそういう存在を持って生活しているわけですが、正解が分からない。失敗したくない。だから正しい人がいれば叱ってほしい。要は自立出来てないんですよ。そういう甘えの言葉です。俺も一緒だぜって。

——その基盤は社会であったり、家庭だったり。

suzumoku : そう。たった1人では動いていないということです。自分も、ファンの方々やスタッフがいて、その人たちが僕にとってのカタパルトなんだと。叱ってほしいなって。失敗した時にきちんと指摘してくれる人が、子供の時にはいたけど、今は大人だからいないのは当たり前。時々甘えた気持ちになるんです。慰めとは違う一種の厳しさをもって叱ってほしい人って多いと思いますよ。

——それはある意味、愛情でもあるというか。

suzumoku : もちろんそうだと思います。

——「サヨナラ日常」にも〈たりない愛情〉というフレーズが出てきますが、そのあたりとも繋がっていくのかなと。

suzumoku : そう。だから全部、実はラヴ・ソングなんです。〈たりない愛情〉は自分にも言い聞かせてますけどね(笑)。

——なるほど。恋愛を歌っているわけではないけど、愛を歌っていると。

suzumoku : 誰かのことを思って作ったものは全部ラヴ・ソングだと思うし、愛があるからそういう作品が出てくるんだろうなと。最初はそういう風に考えるのが恥ずかしいと思ってたんだけど。

——そういう恥じらいの気持ちというか、それが吹っ切れてきたところがある?

suzumoku : ありますね。これは今までの経験がそうさせてるんだと思います。本当に心の底からこんな世の中ぶっ壊れちまえ! っていうような思いやりのない歌だったら、たぶん音楽にもなってないと思うし。何かを伝えたいと思うのは、相手のことを考えているからであって、そこには愛情とか思いやりがあると思う。

来た人皆、心を動かします

——なるほど。ところで最近、毎月渋谷のチェルシーホテルでフリー・ライヴをされていますが、なぜこのような企画を?

suzumoku : 最初は単純に新しいお客さんに知ってもらいたいところからでした。ただ一度出演させてもらったときに、新鮮だったんですね。言葉では言い表せられないんだけど、パフォーマンスを見につけようと出演者が皆一生懸命で、そういう面が自分に欠けてると思いました。なのでフリーで来てるお客さんに衝撃を与えて、最終的には有料LIVEに来てもらいたいと。

——そういう今まで届いていなかった人たちに届けたいと。

suzumoku : そうです。今の俺を初めて見る人たちには、どんな風に見えるのか気になりますが、ただ毎月続けているだけだと新鮮味がなくなっていくので、必ず新曲を1曲持っていって発表する、という自身にもストイックな精神を身につけようと。常に何か新しいものを送り出すことによってモチヴェーションを上げていきたいと。

——新しいところに飛び出していく、という感じはそれこそ「カタパルト」に繋がってきますよね。

suzumoku : まさに! 音楽のジャンルは違えど、志が近いというか、合致する人たちとやっていきたいなと。その中でまだ自分の音楽を聴いたことのない人たちに届けられたら最高です。

——実際、新しいお客さんの反応はいかがですか?

suzumoku : 「刺さってくれてる」と信じたいですね。「意外と良かった!」とか。まぁムカつきますけど、もっと批判的なメッセージがあったら意外に燃える為には嬉しいのかもしれません(笑)。「だっせーsuzumoku」みたいな(笑)。

——フリー・ライヴだからこそ、もっと自由に反応してほしいと。

suzumoku : その方がこっちも燃えるし、そういう露骨な反応があってもいいと思う。

——この3部作の最後を飾る「泥雲」はどんな曲になりそうですか?

suzumoku : LIVEではもう披露してるんですけど、歌い上げる系のかなりどっしりとしたロックです。歌詞は怒りを通り過ぎて発狂してる感じ。モヤモヤとして、ドロドロとした世の中。「泥雲」ってもちろん造語なんだけど自分ではドロドロしたニュアンスが上手く表せたと思うので、満足してます(笑)。

——アルバムのリリースも控えていますよね。こちらも怒りに満ちた内容になりそうですか?

suzumoku : いや、そんな事ないです。違った角度の楽曲も入れていきます。理想のきれいな未来に向いたラヴ・ソングやポップ・ソングも出来てきてます。こんな世の中なので仕方ないけど、その裏側の優しさとか、本当の意味での愛情とか、そういうものも描いていきます。

——なるほど、わかりました。それでは最後に一言お願いします。

suzumoku : とにかく、2104年色々自身が変化できたと思ってます。自分は悩みも怒りも音楽を使って吐き出す! って決めたので、そんな自分の総決算的なワンマン・ライヴを12月チェルシーホテルでやります。これは必ず来てほしい。来た人皆、心を動かします(笑)。

インタヴュー&文 : 長島大輔

LIVE INFORMATION

suzumoku(BAND STYLE) × CHELSEA HOTEL
2014年8月19日(火)@渋谷CHELSEA HOTEL
時間 : OPEN 18:00 / START 18:30
料金 : 無料(ドリンク代別)
出演 : suzumoku / and more…

suzumoku(BAND STYLE) × CHELSEA HOTEL
2014年9月17日(水)@渋谷CHELSEA HOTEL
料金 : 無料(ドリンク代別)
出演 : suzumoku / and more…

suzumoku(BAND STYLE) × CHELSEA HOTEL
2014年10月15日(水)@渋谷CHELSEA HOTEL
料金 : 無料(ドリンク代別)
出演 : suzumoku / and more…

suzumoku(BAND STYLE) × CHELSEA HOTEL
2014年11月12日(水)@渋谷CHELSEA HOTEL
料金 : 無料(ドリンク代別)
出演 : suzumoku / and more…

JAPAN FOLK FESTIVAL 14
2014年9月26日(金)、27日(土)、28日(日)@ゆうパークおごせ
suzumokuの出演は26日(金)、27日(土)

「suzumoku band one-man live, 2014~明日が来るぜ~」(BAND STYLE)
2014年12月10日(水)@渋谷CHELSEA HOTEL
時間 : OPEN 18:30 / START 19:00
料金 : 前売り ¥4,000 / 当日 ¥4,500 (ドリンク代別)
出演 : suzumoku
一般販売 : 2014年10月18日(土) お問い合わせ : サンライズプロモーション TEL : 0570-00-3337

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PROFILE

suzumoku

中学2年でギターを持ち、同時に作詞 / 作曲を始め、地元静岡のストリートで歌い始める。

様々なジャンルの音楽を聴き漁り、音楽性を模索。高校卒業後、楽器製作の専門学校に入学し、ギターやベースの製作に明け暮れる。音楽は完全に趣味にしようと決め、岐阜にある国産手工ギター工場に就職し、音楽活動を一旦休止するものの再開。ギター職人の道とミュージシャンの道、どちらが本当に進むべき道なのか真剣に考え、2006年夏、プロ・ミュージシャンになることを決意。

2007年1月に上京し,10月にアルバム『コンセント』でデビュー。

2013年3月にリリースした自身初のフルアルバム『キュビスム』は、醜さ、くだらなさ、救い、ベクトルの異なる曲が全て詰め込まれ、音楽と文筆における感性、一貫したメッセージ性には定評があるsuzumokuのまさにベストな1枚。

2度に渡って全国47都道府県生声弾語りツアーを完遂させ、集大成として、2013年7月に自身による撮り下ろし写真集付きの全曲入りツアーライヴ音源『たどり着いた景色はどうだい?』、同年9月にクラシック・ギター弾き語りアルバム『Rusty Nylon』をリリース。12月には配信限定の両A面シングル『グライダー / 零ドライヴ』をリリースするなど精力的に活動を行っている。

>>suzumoku Official HP

この記事の筆者

[インタヴュー] suzumoku

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