
ホニャララな一日
先行シングル『会社員と今の私』の楽曲を含む、SAKEROCKの2年ぶりとなるフル・アルバム『ホニャララ』がリリースされた。2008年も暮れに差し掛かってきた中で、傑作がまた一つ増えた。
前作『songs of instrumental』は、ハナレグミ、高田漣、蓮見重臣(PACIFIC 231)など、多数のゲストを招き"インスト・バンドの唄もの"として新境地を開いた作品だった。それに対し、今作はキーボード奏者の野村卓史(グッドラックヘイワ)、ヴァイオリン奏者の岡村美央、チェロ奏者の橋本歩の3人のみをサポート・ミュージシャンとして迎え、時間をかけて作られたものだ。気の知れたメンバーとの演奏をリラックスしながら楽しんでいるようで、余計な力が入っていない。センチメンタルが見え隠れするメロディの良さはそのままに、ポップで躍動感のあるサウンドに仕上がっている。
アルバムには聴く曲順によって生まれる流れというものがあると思うのだが、このアルバム、流れがとても良い。1曲目「会社員」のマリンバの爽快なサウンドから始まり、「菌」、「ホニャララ」と音が駆け巡り、無意識にリズムをとってしまう。踊らずには居られない愉快な曲が続くかと思えば、段々落ち着いていき、11曲目「今の私」では極上に切ない、哀愁の漂うメロディに涙腺を刺激される。朝日が昇れば夕日が沈む、そんな一日のサイクルのようなアルバムだ。
SAKEROCKの音は懐かしい。それは聴き手が自分の思い出に曲をリンクさせる、といった懐古趣味的なものではなく、万人が思い描けるような"古き良き時代"を彷彿とさせるような、温かい懐かしさだ。だから聴き手を選ぶことがなく、ポピュラーからは遠いところに置かれがちな、インディーでインストゥルメンタルでありながらも、多くの人から支持されているのではないだろうか。控えているCOUNTDOWN JAPANや全国ツアーで、さらに多くの人々にサケロック菌をばらまいてくれるだろう。そして気は早いけれど、次回作がとても楽しみなのである。(text:井上)

LIVE SCHEDULE
2008.12.25(木)心斎橋CLUB QUATTRO
2008.12.28(日)東京キネマ倶楽部
2008.12.29(月)東京キネマ倶楽部
2008.12.30(火)COUNTDOWN JAPAN 08/09 OSAKA
2008.12.31(水)COUNTDOWN JAPAN 08/09 TOKYO
「ホニャララのツアー」
2009.01.17(土)神戸 VARIT.
2009.01.18(日)徳島 JITTERBUG
2009.01.20(火)熊本 Django
2009.01.23(金)福岡 BEAT STATION
2009.01.24(土)広島 CLUB QUATTRO
2009.01.25(日)京都 磔磔
2009.01.27(火)金沢 vanvan V4
2009.02.07(土)仙台 CLUB JUNK BOX
2009.02.08(日)盛岡 Club Change WAVE
2009.02.15(日)札幌 cube garden
2009.02.21(土)名古屋 CLUB QUATTRO
2009.03.01(日)渋谷 AX
LINK
SAKEROCK website
カクバリズム
ホニャララ PV
http://jp.youtube.com/watch?v=88Bmd_I1Wm0


2000年結成。メンバーは星野源(ギター)、田中馨(ベース)、伊藤大地(ドラムス)、浜野謙太(トロンボーン)の四人。様々な音楽的要素と無駄な感覚を多分に含んだストレンジ・インストゥルメンタル・グループ。センスが湯水のごとく溢れ出る!
