ロックとダンスの融合、ここに極まれり! ニュー・オーダー、10年振りの最高傑作ニュー・アルバムをハイレゾ配信

2005年の『ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール』以来、実に10年ぶりの新作『ミュージック・コンプリート』をリリース! OTOTOYではもちろんハイレゾ配信。2007年からの事実上の解散状態、中核メンバーのピーター・フックの脱退を経て、2011年にライヴを中心に復活を果たしたのだが、ついに新作のリリースとなった。アルバム・タイトルにもあるとおり、2015年現在進行形の音楽が見事に詰まった内容に仕上がった最新作であり最高傑作! ぜひ高音質で楽しんでもらいたい。
New Order / Music Complete(24bit/96kHz)
【配信形態】
【左】ALAC / FLAC / WAV / AAC(24bit/48kHz)
【価格】
単曲 500円(税込) / まとめ購入 3,200円(税込)
【Track List】
01.Restless / 02.Singularityl / 03.Plastic / 04. Tutti Frutti / 05. People On The High Line / 06. Stray Dog / 07. Academic / 08. Nothing But A Fool / 09. Unlearn This Hatred / 10.The Game / 11.Superheated
ロック・バンドによるディスコ・サウンドへのアプローチ
今から時間を10年ほど遡ってみよう。当時はポスト・パンク / ニュー・ウェイヴのリヴァイヴァルがまさに最高潮を迎えていた頃。フランツ・フェルディナンド、インターポール、ザ・キラーズ、ブロック・パーティ、ザ・ディパーチャー(懐かしい!)など、英米から次々と気鋭のバンドが登場していた時期で、特にイギリスは久々のギター・ロック・ブームに湧きたっていた。そして、そんな一連のバンドにとって最大の参照点となっていたのが、ジョイ・ディヴィジョンであり、その後継にあたるニュー・オーダーだった。
雨後の筍のごとく彼らのフォロワーが現れていた2005年。ニュー・オーダーはおよそ3年半ぶりとなるアルバム『ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール』を発表している。しかし、それはジョイ・ディヴィジョンを思わせるギター・ロック寄りのアプローチだった復帰作『ゲット・レディー』からの反動ともいうべき、シンセサイザーを駆使したダンス・マナーの作品で、そのキラキラとした音色はポスト・パンク・リヴァイヴァル側の視点による再評価をするりと交わしていくようでもあった。まあ、要するにひねくれてるのだ、このバンドは。ただ、それは彼らがポスト・パンクの精神をジョイ・ディヴィジョンの時代から貫いていることの証であったことも忘れてはならない。そう、彼らはニュー・オーダーの活動開始からすでに25年がたっていたこの時点でも、「音楽的に変化しつづけること」をバンドの命題としていたのだ。
しかし、それゆえにニュー・オーダーの活動は常に順風満帆とはいかず、むしろバーナード・サムナーとピーター・フックの関係性はこのあたりからますます悪化していく。そして、ついにフッキーがバンドから脱退。ここにきてニュー・オーダーは実質上の解散状態に追い込まれてしまうが、バーニーはここからバンドの建て直しをはかり、新ベーシストにトム・チャップマンを迎える。さらに、2001年以降はバンドから離れていたジリアン・ギルバートもメンバーとして復帰し、ニュー・オーダーは5人体制となって再始動。そして2015年。新生ニュー・オーダーは、かつて所属していた〈ファクトリー〉と並んでポスト・パンク / ニューウェイヴの時代を代表するレーベル〈ミュート〉に移籍し、ここに10年ぶりの新作『ミュージック・コンプリート』を完成させたのだ。
『ミュージック・コンプリート』は、ファンがイメージするニュー・オーダー像にかなり忠実な作品と見ていいだろう。つまりそれはロック・バンドによるディスコ・サウンドへのアプローチであり、ギターとエレクトロニクスの融合である。140BPMの8ビートにアコギのストロークが絡まるクールなオープニング・トラック「Restless」。そこからビートを受け継ぐようにして始まる「Singularity」は、ケミカル・ブラザーズのトム・ローランズが手がけた曲で、アルバムはここから一気にきらびやかなディスコ・サウンドへと展開していく。中盤の「Stray Dog」では、彼らに最も影響を与えたアーティストの一人である、イギー・ポップがゲストで参加。あの低い声でホラーなナレーションを聴かせている。
マイナー調のアルペジオが印象的なギター・ポップ「Academic」をはさみ、終盤にはローランズのプロデュースによるもうひとつの楽曲「Unlearn This Hatred」が収録。この曲のビートを倍々に刻んでいくEDMみたいなアゲかたには、昨今のダンス・ミュージックに向けるバーニーなりの目配せが表れているようにも感じる。そしてアルバムの最後を飾る「Superheated」では、ザ・キラーズのブランドン・フラワーズがゲスト・ヴォーカルとして登場。壮大なストリングスによる幕開けからブランドンの華やかな歌声が立ち上がってくる展開には、彼の類い稀なスター性を改めて見せつけられるようだ。
「ロックとダンスの融合」なんていう使い古された言い回しが今でも有効であるのなら、『ミュージック・コンプリート』はそのオリジネイターが彼らであることを改めて伝えるような作品だ。そう、ニュー・オーダーはここで80年代以降にみずから生み出したサウンドの洗練とアップグレードにむかったのだ。活動開始からおよそ35年。起死回生の復活を遂げたニュー・オーダーの新章が、今ここで幕を開けた。(text by 渡辺裕也)
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PROFILE
ニュー・オーダー
メンバー : バーナード・サムナー、ジリアン・ギルバート、スティーヴン・モリス、トム・チャップマン、フィル・カニンガム。 マンチェスター出身。前身のバンドは、ジョイ・ディヴィジョン。1980年、イアン・カーティスの自殺によりジョイ・ディヴィジョンは活動停止を余儀なくされ、バーナード・サムナー、ピーター・フック、スティーヴン・モリスの残された3人のメンバーでニュー・オーダーとして活動を開始。デビュー・アルバム『ムーヴメント』(1981年)をリリース。1982年、ジリアン・ギルバート加入。1983年に2ndアルバム『権力の美学』をリリースし、ダンスとロックを融合させた彼らオリジナルのサウンドを確立した。1985年リリースのシングル「ブルー・マンデー」は大ヒットを記録、12インチ・シングルとして世界で最も売れた作品となった。同年初の来日公演を実施。所属レーベルのファクトリー・レコードが地元マンチェスターに設立したクラブ、ハシエンダ発のダンス・カルチャーは、1980年代後半にマッド・チェスター、セカンド・サマー・オブ・ラヴといった世界を牽引する音楽シーンを生み出した。その一大カルチャーの中心的存在として、3rdアルバム『ロウ・ライフ』(1985年)、4thアルバム『ブラザーフッド』(1986年), 5thアルバム『テクニーク』(1989年)をリリースし、その評価・人気共にUKユース・カルチャーの象徴となった。1993年、ロンドン・レーベル移籍第1弾として、名曲「リグレット」等が収録された6thアルバム『リパブリック』をリリース。7th アルバム『ゲット・レディー』(2001年)と8thアルバム『ウェイティング・フォー・ザ・サイレンズ・コール』(2005年)は、ギター・サウンドに比重を置いたサウンドとなった。2007年、オリジナル・メンバーのピーター・フック(b)がバンドを脱退。2001年と2005年にフジ・ロック・フェスティヴァルに、2012年にサマー・ソニックに出演。2014年、MUTE移籍が発表され、2015年9月23日に9thアルバム『ミュージック・コンプリート』をリリース。