2013/12/10 00:00

第2部 THE TON-UP MOTORS インタヴュー

――ではここからは改めてTHE TON-UP MOTORSの皆さんにお話を伺います! よろしくお願いします!

一同 : よろしくお願いします!

――メジャー・デビューおめでとうございます! バンド結成の経緯を改めてお聞かせ下さい。

長谷川雄一(リーダー.B.Cho以下・長谷川) : 僕と上杉が元々幼馴染で仲良く遊んでたんですけど、高校を卒業するタイミングでバンドを組みたいなと思って上杉をボーカルに誘って、ギター、ドラムは今のメンバーと別の人間を集めて結成したのが最初です。その後2006年に元々のギターが脱退し、ギター不在のまま上京しまして、2008年に井上が加入しました。その後2011年にドラムが脱退しまして、2012年にドラムの堀内が加入して現在に至ります。
上杉 : 本当にメンバーの脱退を繰り返しながら、今のメンバーに落ち着いた感じですね。

――なるほど。こうみると、みなさん衣装がお揃いのグリーンのスーツで、上杉さんだけ銀ラメの派手なスーツですが、こういうスタイルというのはいつ頃からなんですか?

上杉 : 最初はGパンとTシャツでライヴをやっていたこともあったんですけど、ソウル・ミュージックとかブルースとかモッズとか、スーツを着てる音楽に憧れを持っていたのと、当時周りにもスーツのバンドってそんなにいなかったんで。そういう中で自分たちの勝負服としてステージ衣装にしました。僕の衣装は僕の好きな歌手のウィルソン・ピケットが「ソウル・トレイン」という番組の中で本当にこういうスパンコールの衣装を着ていたので、これはいいなと。地元の札幌というのは東京に比べるとバンドの数も少なめですから、自分たちの音楽を届けるのをもちろんですけど、まず“目立つこと”を考えてこういう衣装にしたんです。

――東京に出てきたきっかけというのは?

上杉 : 札幌で活動してた時に、「うちからCD出さない?」っていうお話を頂いたときがあって。でもその時はギター不在だったんで、話がなかなか動かなかったんです。それで自分たちもしばらく待ってたんですけど、それも自分たち的に辛かったですし、何か動きたいなと思ったんです。札幌では当時ありがたいことにワンマンのチケットも売り切れたりという状態だったんで、もう東京に出てもっと大きな舞台に出ようかと。で、ギターも決まらないので結局リリースの話がなくなったんですよ。なんかちょっとやけくそじゃないですけど、何の約束もなく上京してきました。
長谷川 : 「ギター探しに行こうぜ」ぐらいの感じでしたね(笑)。
上杉 : そうそう。動けばなんとかなるくらいな。北海道から、海を越えて何のあてもなくですから、本当に一念発起というか、「どうにでもなれ!」っていう根性で出てきましたね。

――それはやはり、東京で活動しないと成功はできないんじゃないか、という気持ちがあったんですか?

上杉 : そうですね。今でこそ札幌在住でメジャー・シーンに出てるバンドっていると思うんですけど、僕らの頃はまだそういう時代じゃなかったですからね。

――そこから現在のメンバーになった流れを教えて貰えますか?

長谷川 : 東京でサポート・メンバーにお手伝いしてもらってはいたんですけど、メンバーはみつからずに。井上は札幌で対バンをしていた頃から顔見知りではあったんですけど、「TON-UP に入ろうと思ってた」みたいなことをポロっと言ってたらしいのを耳にしたんです。それを僕が覚えてて、メールを送ったんですよ。それですぐ、セッションしに来てくれて、すぐに自分のバンドを解散して、すぐに上京してくれたんですよ(笑)。
井上 : めちゃくちゃな奴じゃん(笑)。色々あったんだよ?
上杉 : 仁志もどっかヤケクソな所があったんでしょうね(笑)!

――でも井上さんからすると、それだけ魅力的なバンドだったわけですよね?

井上 : 対バンした時はライバルとして観てたんですけど、同時にサポートとしてギターを弾きたいなという気持ちもあったんですよ(笑)。それでお話を頂いたんですけど、セッションした時の高揚感が忘れられなかったんですよね。本当に鮮明に覚えてますね。
上杉・長谷川 : うんうん!

――今お2人とも頷いてましたね。

上杉 : はい、やっぱりスゲェ格好良いギターだなって思いましたね。
長谷川 : でも、ひとつ問題があって、上杉がなかなか首を縦に振らなかったんですね。

――それはまたどうしてですか?

長谷川 : 僕は札幌の時から仁志の事がギタリストとして好きで。でもその時も上杉にNG出されてるんですよ。それで、違うサポートに声を掛けたんですけど。だから僕は念願叶っての仁志の加入だったんですけど、上杉は「ちょっと彼は汚らしいからヤダ」って(笑)。
一同 : ははははは!
長谷川 : 清潔感がなさそう、という理由でNGだったんですよ(笑)。ね!?
上杉 : うん。あんな不潔そうな奴は駄目だって。
井上 : お前の家、グチャグチャじゃねえかよ(笑)!
上杉 : いやいやいや(笑)。

――でもギタリストとしてはセッションして凄い良かったわけですよね?

上杉 : 凄い良かったんです。でもそれを天秤にかけても、不潔そうだから嫌だったんです(笑)。
一同 : わははははは!
井上 : どういうこと(笑)!? めっちゃ綺麗だったよ? 格好も絶対。

――普通逆ですよね? 人間的にはどうあれギターは最高だから入れようってなりませんか?

上杉 : 本当に数日悩んで、ギターは本当に良いしな、でもなぁって(笑)。もう1つひっかかっていたのが、ベースの長谷川がメールしたんですよ、「最近俺ら東京で活動してるんだけど、元気でやってる?」っていう、所謂ジャブですよ、メンバーに誘う前の。そうしたら仁志からの返信が、「お久しぶりです。どうですか? 東京はクールな風が吹いていますか?」っていうメールで。「あ、これは絡みにくい人だ」って(笑)。
一同 : ははははは!
上杉 : やっぱりそういうちょっとした芽が、後々バンドにやって行く中で大きな広がりとなって解散となってしまうこともありますから。これは関わってはいけないな、と。
井上 : 関われよっ! 俺は試したんだよ。長谷川はどんなメールを返してくるのか、と。

――(笑)。何が正解だったんですか?

上杉 : そうそう、何がやりたかったんだよ? 言っとくけどどんどん自分の首絞めてるぞ、今? 何が正解だったんだ、じゃあ?
一同 : わははははは!
井上 : いや、すいませんでした(笑)。
上杉 : いや、ロック界のツッコミ王がそんな。
井上 : 関係ねぇだろ今(笑)!
上杉 : (笑)。いやでもそれで仁志が入りまして、アンサンブルもバシッと決まってきて、TON-UPの音が出来てきたんです。
長谷川 : それからドラムが2011年4月に抜けてしまったんで、5月から堀内にサポートしてもらって、2012年の10月に正式加入しまして。堀内も元々対バンのドラマーで、僕が好きなドラマーだったんです。彼は以前からTON-UPの曲が好きだって言ってくれてたんで、彼だったら良いドラムを叩いてくれるんじゃないかと思って誘ったんですけど。そこでまたひとつ問題があって、上杉がなかなか首を縦に…。
一同 : (笑)。

――どうしてですか、上杉さん!? 厳しいですね!?

上杉 : え、それはなんででしたっけ?
井上 : 俺は忘れてないよ。トシ(堀内)と初めてスタジオに入った時に、トシが先に帰ったんで、俺らはトシを見送ったんです。その時に「じゃあ、お疲れ!」ってこう(と親指をサムズ・アップ)したんですよ。それだけで、「あいつ駄目、チャラい!」って。
一同 : ははははは!
井上 : 「えぇ!? 今のチャラい?」って(笑)。
上杉 : いや、たぶんこう(両手の親指を立てて)「お疲れっ!」って(笑)。だから僕は気にしてるんですよ。「今は小さな芽かもしれないけど、これがやがて大きな問題に…」。
井上 : なんねえよっ(笑)!

――堀内さんは覚えてますか?

堀内俊聡(Dr.Cho以下・堀内) : まったく覚えてないです。あ、堀内です。
上杉 : 初めて喋った(笑)。

――でもバンドには入りたいと思っていたんですよね?

堀内 : まあ入りたいというか、ううん。
上杉 : 入りたくなかったの?
一同 : (笑)。

上杉 : それで今のメンバーになったんですけど、本当に最高の4人だと思ってます。

僕らの勝負どころはライヴハウスで、いかに目の前のお客さんを楽しませるか

――元々皆さんの音楽的な嗜好はソウル・ミュージックが核になってるんですか?

上杉 : 元々は違うんですけど、古い物が好きなのは同じですね。

――皆さんのリアルタイムな音楽シーンで言うと、オルタナティブ・ロックなんかが流行っていた世代だと思うんですど、音楽的な方向性がブレることは無かったんでしょうか?

上杉 : 僕はそもそもが兄貴がいまして、小学校の頃からストーンズとかがあったんですよ。で、兄貴の部屋にチャック・ベリーのバンドスコアがあったんですよ。

――チャック・ベリーのバンドスコアがあるんですか(笑)?

上杉 : 今はチャック・ベリーなんてスコアみてやる音楽じゃねえよ、と思うんですけど(笑)、そういう環境ではありましたね。同時に、僕らが高校生の頃って、ミッシェル・ガンエレファントだとか、ブランキーとか、ハイロウズとかゆらゆら帝国だとか、色んなバンドがいて、彼らが1つの扉となってルーツ・ミュージックに入って行ったというは大きいかもしれないですね。

――ではメジャー・デビューとなるアルバム『THE TON-UP MOTORS』について伺いますが、メジャーでのリリースというのは意識しましたか?

上杉 : 改めてTHE TON-UP MOTORSというのはどんなバンドなんだろうということを話し合いました。僕らの勝負どころはライヴハウスで、13年間いかに目の前のお客さんを楽しませるかということを考えてきたバンドなので、そういう熱量をストレートに乗せたかったです。新しいチャレンジもしていまして、メンバーそれぞれで曲を書いてみたりしても良いんじゃないかということでドラムのトシが一曲、作曲しています(9曲目「街の灯り」)。

――井上さんはインディーズと比べて、メジャーでのリリースというのはどの辺に差を感じますか?

井上 : インディーズだと隅々まで行き届かなかった所まで行けるんじゃないかという可能性ですね。広報力というか、そういう部分に期待しています。今まで自分たちの音楽を届けられなかった方々にも届けられるんじゃないかな、という想いが乗せられるのがメジャーだと思います。

――リリース後のライヴはどのような予定ですか?

上杉 : はい、12月28日(土)から「ファイティング・ステップ〜炎のタイトルマッチ〜」というツーマン・ライヴのツアーが始まります。今回のアルバムにも「ファイティング・ステップ」という曲が入ってるんですけど、やはりメジャーに行くからにはタイトルに手を伸ばすという意味も込めて。これは地元の札幌cube gardenという所でやります。全12ヶ所のツアーを予定しています。

――東京でのライヴの予定はありますか?

堀内 : 3月13日に、渋谷のクラブクアトロで。こちらはワンマン・ライヴです。

――アルバムについて、聴きどころを教えて頂けますか?

上杉 : タイトルも『THE TON-UP MOTORS』というバンド名をそのまま付けているんですけど、色んな角度からのTHE TON-UP MOTORSがこのアルバムに10曲入っているので、きっとみなさんの生活の色んなシーンのテーマ・ソングになるんじゃないかと思います。自信を持ってレコーディングした10曲なので、ここからTHE TON-UP MOTORSは突っ走って行きますので何卒みなさんよろしくお願いします!

――はい、今日はミッシェルガンエレファントの4人にお越しいただきました!

井上 : いや違うし!
一同 : (笑)。

――(笑)。どうもありがとうございました!

一同 : ありがとうございました!

LIVE INFORMATION

2013年12月18日(水)@タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
2013年12月19日(木)@名古屋ell.SIZE
2013年12月20日(金)@長野 松本Sound Hall a.C
2013年12月21日(土)@TOWER RECORDS 渋谷店 3Fイベントスペース
2013年12月22日(日)@新宿レッドクロス
2013年12月23日(月・祝)@【昼】タワーレコード札幌ピヴォ店イベントスペース
2013年12月23日(月・祝)@【夜】HMV札幌ステラプレイス イベントスペース
2013年12月24日(火)@STV内 Sプラザ
2013年12月28日(土)@札幌cube garden
2013年12月31日(大晦日)@下北沢CLUB Que

Profile

THE TON-UP MOTORS

2000年札幌市結成。 ソウル、ファンク、ブルース等の黒人音楽に影響を受けたメロディーに日本語の歌詞を乗せた楽曲と、 圧倒的なライヴ・パフォーマンスを魅せるソウル・ロック・バンド。 現在までにフル・アルバム『SOUL is DYNAMITE』(2009年)、ミニ・アルバム『Hey!!people,』(2011年)を発売。 数年経った今でも売れ続けており、ロングセラーとなっている。また多くのイベントや学園祭出演、 北海道各地でのインストア・ライヴでは記録的な動員となるなど着実にファンを獲得している。

またVoの上杉周大はSTV(札幌テレビ放送)制作のバラエティ番組「ブギウギ専務」にて主役を務め、 現在はマハトマパンチ内コーナー「流れ星雁太郎」やテレビCMに出演。 他にも同局STVラジオ『THE TON-UP MOTORS 上杉 周大のアタックヤング』にてメイン・パーソナリティーを担当するなど、 音楽以外でも幅広い活動を行っている。

>>official HP

[インタヴュー] THE TON-UP MOTORS

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